【今週の債券】長期金利は1.15%挟み、米国債にらみも円高進めば買い

今週の債券市場で長期金利は前週 末の終値1.15%を挟んだ推移が見込まれている。国内では、年内の国 債入札や日銀金融政策決定会合といった材料が終了しており、米国債 市場をにらんだ展開となる可能性が高いことが背景。外国為替市場で は足元で円高・ドル安基調となっており、円高が進めば債券が買われ るとの見方が出ている。

三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長は、今週の長 期金利について、1.15%を中心に推移すると予想する。「年末で市場参 加者が少ない上、年明け早々に実施される10年債入札と米国の雇用統 計の発表を見極める必要がある」と説明した。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが24日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ は全体で1.12%から1.225%となった。

前週の長期金利は水準を切り上げる展開となり、22日には約3週 間ぶり低水準となる1.125%を付けた。最近の金利上昇要因となって いた米国債相場の下落が一段落したことで、7カ月ぶり高水準の

1.3%付近まで利回りが上昇していた長期債などに買いが入った。米国 では強めの経済指標が相次いだことから景気回復期待が強まり、米10 年国債利回りは16日に5月以来の高水準となる3.56%まで急上昇し た。その後は低下に転じており、前週は3.3%台に戻して推移した。

今週も引き続き米国債市場の動向をにらんだ展開が見込まれる。 日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは「米国 債市場の動き次第では、取引が細る中で再びボラティリティ(相場変 動性)が高まる可能性がある」とみている。

円高進めば債券買い強まるとの声

一方、前週の外国為替市場では、円相場が1ドル=82円86銭と 今月14日以来の円高・ドル安水準を付けた。円高が進めば、日本株の 下落を受けて債券に買いが入りやすくなる。三井住友海上火災の高野 氏は、「米債利回りが上昇してもドルが買われづらくなっており、予想 以上に円高が進めば、株安を受けた債券先物の買いが強まる可能性も ある」と話した。

日本株は中国が2カ月ぶりに0.25%の利上げに踏み切った影響 を受けて軟調な展開になりやすい。大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥 国内債券運用第2グループリーダーは「日本株は上海株の影響が大き い」と指摘している。

前週は超長期債に生命保険などからの買いが増え、20年物の123 回債利回りは1週間で9ベーシスポイント(bp)低下した。みずほイン ベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジストは「超長期債に対す る先週の買いが継続するのかどうかに注目している」と指摘した上で、 年内最後の買いが入れば堅調推移になるとの見方を示した。

28日には鉱工業生産や消費者物価(CPI)など月次の重要な経 済統計が発表される。11月の鉱工業生産(速報)について、ブルーム バーグの調査では前月比0.9%の上昇と、10月確報の同2.0%低下か らプラスに転じる見通し。みずほインベスターズ証の井上氏は「上向 きの数字が予想されており、持ち直しが示されるかどうかがポイント」 だと言う。一方、11月の全国の消費者物価指数(除く生鮮食品、コア CPI)は前年同月比0.6%低下と、前月と横ばいが見込まれている。

市場参加者の予想レンジとコメント

12月24日に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は3月物、新発10年国債利回りは312回債。

◎みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト

先物3月物139円20銭-140円00銭

新発10年債利回り=1.13%-1.20%

「今週は鉱工業生産などの経済指標の発表があるが、国債入札と いったイベントはなく、年内最後の買いが入るかどうかが注目される。 先週の超長期ゾーンの買われ方は、生命保険などの投資家が動いた感 じだ。20年債利回りの2%の水準では十分買えると判断したのではな いか。月末に向けた年限長期化の需要を前倒ししたのか、今週も投資 家からの買いが入るかどうかが、特段の材料がないだけにポイントに なりそうだ」

◎大和住銀投信投資顧問伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダー

先物3月物139円20銭-140円10銭

新発10年債利回り=1.13%-1.20%

「米国債と日本株の動向次第とみている。米国市場はクリスマス 休暇明けであまり動かないだろう。全国のコアCPIなど月次ベース の経済指標が発表されるが、債券市場の材料にはなりにくいとみてい る。鉱工業生産も米国ほどではないにしても改善の見通しとなってい るが、市場予想比で大幅に振れない限り、相場の反応は鈍いのではな いか」

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物3月物139円15銭-140円15銭

新発10年債利回り=1.125%-1.225%

「債券相場は弱気な市場センチメントが後退した一方、戻りを試 す材料にも乏しい。米国債市場の動き次第では、取引が細る中で再び ボラティリティ(相場変動性)が高まる可能性がある。年末年始にか けて調整局面からレンジ相場に移行するとみるが、現物債全般あるい は外部環境を勘案すると、強気に転じるのは時期早尚ではないかとみ ている」

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物3月物139円20銭-140円20銭

新発10年債利回り=1.12%-1.22%

「相場は上下とも大きく動きづらく、10年債は1.15%を中心に推 移しそうだ。年末で市場参加者が少ない上、年明け早々に実施される 10年債入札と米雇用統計を見極める必要がある。10債入札は表面利率 を1.2%で維持したい参加者が多いとみられ、入札前は買い進みづら い。為替動向が注目で、米債利回りが上昇してもドルが買われづらく なっており、予想以上に円高が進めば、株安を受けた先物の買いが強 まる可能性もある」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors:Hitoshi Ozawa,Masaru Aoki

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