郵船:印向け鉄原料輸送を今後5年で4倍に-中国に次ぐ市場

高成長が期待されるインド向けに、 日本郵船は今後5年をめどに石炭など鉄鋼向け原料輸送量を4倍近い 水準まで引き上げる方針だ。インドがインフラ整備を進める中、中国 に次ぐ重要市場と位置付け、鉄鋼原料の運搬契約拡大を目指す。

郵船の小笠原和夫経営委員(製鉄原料グループ長)は21日のイン タビューで、インド向け事業について、現在は同国最大の製鉄メーカ ーのタタ・スチールのグループ企業と4隻の運搬契約があるとした上 で、「今後5年をめどに15程度にまで増やしたい」と述べた。中国向 けは現在18隻で、これに次ぐ水準へ引き上げる。

鉄鉱石、石炭などを運搬するばら積み船のうち、積載重量12万ト ンを超えるケープサイズの船は、郵船に9月30日時点で95隻がある。

インドの石炭需要について、小笠原氏は2010年の約3000万トン に対し、15年には2億トン程度まで拡大する可能性があるとの見通し を示した。鉄鋼向け原料炭のほか、電力需要増大で火力発電用の一般 炭などを見込んでいるという。

また、小笠原氏は、インドが今後、鉄鉱石の輸入に転じる可能性 もあると指摘した。実際に、「タタ・スチールはブラジルの鉱山に投 資している」と述べ、郵船などの海運会社に鉄鉱石輸送の契約獲得の チャンスが出てくるとの認識を示した。契約対象に関しては、タタグ ループのみならず、他の大手鉄鋼メーカーも視野に入れており、幅広 く契約を獲得する方針だ。

現地のペースに合わせて対応

インド事業の留意点として、小笠原氏は、中国とスピードが違う と指摘する。中国が中央政府の強い指導力の下で、高成長を実現して きたのに対し、インドでは大型船向けの港湾整備などを民主的なプロ セスで、住民や州政府と協議しながら進めていくとみている。インド では「極めてゆっくり進むだろう」と述べ、契約面などもインド発展 のペースに合わせて対応していく考えを明らかにした。

人口約12億のインド市場をめぐって、郵船は自動車輸送や陸上輸 送事業への取り組みも進めている。また、経済特区などで他社と共同 のターミナル建設なども計画中だ。

郵船の前期(10年3月期)連結決算で、ドライバルカー(ばら積 み船)部門を中心に自動車船部門や液化天然ガス(LNG)船部門など の不定期専用船事業は売上高で7335億円と会社全体の約43%を占め、 他事業では赤字もある中、稼ぎ頭となっている。

想定外に中国の鉄鉱石輸入が減る事態も

小笠原氏は中国の鉄鉱石の輸入の見通しについて、中国の粗鋼生 産量は引き続き堅調に増えるという。ただ、3大鉱山を占めるブラジル と豪州2社の供給量の伸びが「2013年までは増産効果が明確に出てこな いと言われている。11年、12年は供給量が伸びず、鉄鉱石の価格が高 止まりすることになり、輸入もそう伸びないのではないかと懸念してい る」と語った。中国は世界の鉄鉱石の約半分を輸入している。

中国は今年の粗鋼生産は増えたものの鉄鉱石輸入は減っており、 これは「過去初めてで、誰も想定していなかったはずだ」という。要 因について、欧州と日本のリーマンショック後の経済回復が意外に早 く、今年前半に鉄鉱石を多く買い付けたため、ブラジルなどが中国向 けに十分な量を供給できなくなり、価格が高止まりしたことが背景に あるという。このため中国としてはやむを得ず国内鉄鉱石にシフトし たと説明。この状況が来年も続く見通しだとしており、小笠原氏は、 世界のばら積み船の船舶需給が弱含む要因の一つになるとの認識を示 した。

日本郵船の株価終値は前営業日比5円(1.4%)安の364円。年初 来では28%の上昇となった。

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