来年度国債市中発行額は144.9兆円、連続で過去最大-需給懸念は限定

機関投資家などへの入札方式で2011 年度内に販売する国債の市中発行額は、144兆9000億円と2年連続で 過去最大を更新する。もっとも、1兆円に満たない微増にとどまった 上、事前予想通りだったことから、市場では国債需給悪化への懸念は 限定的との見方が出ている。

野田佳彦財務相が24日の臨時閣議に出した11年度国債発行計画 によると、国債の発行総額は10年度当初予算で前年度比7兆2000億 円増の169兆6000億円と3年連続で増額となり、過去最大を記録する。

このうち、実際に月々の入札を通じて市場に影響を及ぼすカレン ダーベース(11年4月1日―12年3月31日)の市中発行額は、前年 度当初計画比で6000億円多い144兆9000億円となる。10年度当初は 前の年度当初比で31兆円増となっており、過去最高を更新したとはい え増加額は急減する。

新規財源債は前年度当初予算比で50億円減少の44兆2980億円。 民主党政権が来年度の新規国債発行額を前年度(44.3兆円)以内に抑 えるとしていた方針を実現できた格好だ。市場では、「財政運営戦略」 と「中期財政フレーム」に示された歳出71兆円と新規国債発行44兆 円の枠を堅持できるかが注目されていた。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、財政支出が予 想外に膨らめば売り材料となっていたがそれは回避された形と指摘し た上で、「市場の予想通りで、相場への影響はほとんどないだろう」と 述べた。

借り換え債は8.7兆円増

一方、過去に発行した国債の償還財源とする借り換え債は、前年 度比8兆7000億円増の111兆3000億円となる。特別会計仕分けの結 果を反映し、国債整理基金の取り崩しなどを財源とした買い入れ消却 を総額3兆円程度実施し、増額幅を抑制する。財政投融資特別会計に おける買い入れ消却も含む。財投債は前年度比1兆5000億円減額し 14兆円となる。

国債の消化方式には、市中発行、個人向け販売、公的部門の引き 受けの3つがある。来年度の発行総額の内訳をみると、市中発行分が 前年度当初比6兆9804億円増加の155兆2943億円、個人向け販売分 は同3000億円減額の2兆5000億円となる。公的部門の引き受けは、 日銀乗り換えによる11兆8000億円だけとなる。

30年、40年債を増額

カレンダーベースの市中発行額を年限別にみると、30年利付国債 は前年度当初計画比8000億円増の5兆6000億円、40年利付国債は同 4000億円増の1兆6000億円となる。財務省は、超長期債市場の育成 との観点に加え、生命保険・年金などの機関投資家の長期運用ニーズ の増大を踏まえ、超長期債の流動性向上にも配慮し、30年債、40年債 の発行額を増額するとしている。

前年度当初計画では、30年債については、1回当たり6000億円 で8回発行し、年4兆8000億円としていたが、11年度は、1回7000 億円で8回発行し、年5兆6000円とする。40年債は、前年度は四半 期ごとに1回3000億円、年1兆2000億円としていたが、11年度は1 回当たり4000億円で4回発行し、年1兆6000億円とする。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、「30年、40年債が増額されるが、5年や10年債の金利上昇に は影響ないだろう。新規財源債は先行きも発行額は抑制されずに44 兆円台が続くのではないか。国債発行計画自体は債券相場に良い材料 ではないと思う」と述べた。

超長期債の発行増額により、カレンダーベース市中発行の平均償 還年限は7年9カ月となり、前年度から3カ月長期化する。

一方、割引短期国債、2年債、5年債、10年債、20年債は前年度 当初計画比で据え置きとなる。

15年変動利付国債と、10年物価連動債は、いずれも当初計画には 発行を計上しない。前年度当初計画では、いずれも1回当たり3000 億円、年1回発行を予定していたが、発行を取りやめていた。10年物 価連動債については、発表資料で、償還時の元本保証の付与など商品 性の見直しを検討しつつ、市場の状況によっては発行を再開するとし ている。

流動性供給入札については、前年度と同額で年7兆2000億円(毎 月6000億円)とする。

【当初計画の国債発行額比較】(単位:億円)
                  2010年度当初   10年度補正後   11年度当初
=========================================================
国債総発行額        1,624,139    1,622,078       1,695,943
  新規財源債          443,030      443,030         442,980
  借換債            1,026,109    1,024,048       1,112,963
  財投債              155,000      155,000         140,000

市中発行分          1,483,139    1,495,078       1,552,943
  カレンダーベース  1,443,000    1,428,000       1,449,000
  第Ⅱ非価格競争入札   39,825       61,770          40,050
  前倒し債発行減額        314        5,308          63,893
  による調整分
個人向け販売(窓販も) 28,000       14,000          25,000
公的部門(日銀乗換)  113,000      113,000         118,000
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カレンダーベース種類別発行予定額
40年債             1.2兆円        1.2兆円         1.6兆円
30年債             4.8兆円        4.8兆円         5.6兆円
20年債            13.2兆円       13.2兆円        13.2兆円
10年債            26.4兆円       26.4兆円        26.4兆円
5年債             28.8兆円       28.8兆円        28.8兆円
2年債             31.2兆円       31.2兆円        31.2兆円
割引短期国債1年   30.0兆円       30.0兆円        30.0兆円
割引短期国債6カ月  0.9兆円       -------          0.9兆円
15年変動利付債     0.3兆円        -------          ------
10年物価連動債     0.3兆円        -------          ------
流動性供給入札     7.2兆円         7.2兆円         7.2兆円
===========================================================
年限別国債(市中消化)発行額・回数は次の通り
40年債            1.6兆円          0.4兆円、年4回
30年債            5.6兆円          0.7兆円、年8回
20年債            13.2兆円         1.1兆円、年12回
10年債            26.4兆円         2.2兆円、年12回
5年債             28.8兆円         2.4兆円、年12回
2年債             31.2兆円         2.6兆円、年12回
割引短期国債1年   30.0兆円         2.5兆円、年12回
割引短期国債6カ月  0.9兆円         0.9兆円
15年変動利付債    ------            ------
10年物価連動債    ------            ------
流動性供給        7.2兆円            0.6兆円、年12カ月
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計                144.9兆円

--取材協力:澤和世、山中英典 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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