自民・林氏:民主政権で財政は危険ゾーン、「Xデイ」対策提言も

自民党のシャドウ・キャビネット で財務相を務める林芳正政調会長代理(参院議員)は民主党政権下で 日本の財政が「危険ゾーン」に差しかかっているとの認識を示した。 このため投資家の間で日本国債に対するリスク懸念が高まり、長期金 利が急騰する「Xデイ」への対応策を党としてまとめ、来年前半にも 政府に提言する考えを明らかにした。

日本銀行の資金循環統計によると、10年9月末時点の個人金融資 産は約1442兆円で、負債約365兆円を差し引いたネットの資産は約 1077兆円。財務省の資料によると、10年度末の普通国債残高は約643 兆円で、地方を合わせた長期債務残高は対国内総生産(GDP)比180% の868兆円程度に膨らむ見通しで、このまま債務残高の膨張が続けば ネットの個人金融資産を数年後に上回る可能性がある。

林氏は20日のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、日 本の財政について「国と地方の長期債務にある程度短期債務まで入れ ると、もうすぐ1000兆円を超えるのではないかという数字もある」と 指摘した。

その上で、林氏は「危険な、ある意味では心配しなければいけな いゾーンにもう差しかかっているという認識がまずあって、そういう 時に何がきっかけで国債の暴落は起こり得るということを冷静に見な ければいけない」と国債暴落のリスクに備えた検討が必要との考えを 示した。ただ、公的債務残高がネットの個人金融資産を上回った場合 でも「実際のマーケットは、他の国の方が国債を買ったりするので、 その数字に1円でも到達すると、必ず何かが起こるということではな い」とも述べた。

林氏は49歳。三井物産勤務などを経て95年の参院選山口選挙区 で初当選。現在3期目。政策通として知られ、自民党政権下では内閣 府副大臣、防衛相、経済財政担当相などを歴任した。東大法学部、ハ ーバード大学ケネディ行政大学院を卒業しており、英語にも堪能な国 際派だ。

Xデイ

自らが座長を務める「X-dayプロジェクト」を自民党政務調査会 内に設立、14日には第1回会合を開催した。同プロジェクトは設立文 書で「民主党政権下では、国債が暴落するという悪夢が実際に起こら ないとは言い切れない。民主党政権に警鐘を鳴らす意味で現実に国債 価格が大幅に下落しないようにするために政府・日銀が取るべき対応 について事前に検討を行う」と明記している。

林氏は同プロジェクトの今後の議論について「どういうメカニズ ムでどういうことが起こり得るか、どういうふうにすれば防ぐことが できるか、起こった場合にはどのように対処するかということを冷静 に議論しておいた方がいい」と指摘。具体的な活動方針に関しては「1 月、2月に何回か有識者を呼んで勉強会をして、われわれとしての考 え方をまとめて政府に必要があれば提言できればと思っている」と語 った。

中期財政フレーム

政府は6月に決定した「財政運営戦略」で、国・地方の基礎的財 政収支(プライマリー・バランス)を「遅くとも2015年度までにその 赤字の対GDP比を10年度の水準から半減し、20年度までに黒字化す ることを目標とする」と明記。それに基づく「中期財政フレーム」で は、11年度から13年度までの3年間、国債費を除く歳出は約71兆円 までとしたほか、11年度の新規国債発行額を44.3兆円以下とする方針 を打ち出している。

林氏は中期財政フレームは「5年後の目標とかい離している。71 兆円、44兆円は『このままでずっといく』ということでいいというメ ッセージだとすれば、それは非常に大きな間違い」と指摘。新規国債 発行の抑制に向けた15年度までの具体的な計画を示すべきだとの認識 も示した。

その上で、民主党政権の経済財政運営に関しては「衆院選のマニ フェストを一度白紙にするだけでかなり楽になる。もっと効き目のあ る政策に対応させることができる」と政策転換を求めた。

団塊の世代

一方、林氏は、2012年がいわゆる「団塊の世代」の中心にある1947 年生まれの人が年金受給開始年齢の65歳に達する年であることを挙げ、 財政健全化を進めるにあたって12年が「一つのポイント、大事な年に なる」との認識も示す。

林氏は税と社会保障の抜本改革について「法律の規定に従って来 年度中にはやらなければいけない」と指摘。「当然、それをやった上で の再来年度の予算編成となるとみんなが思っているから、もし、それ ができないとなるとかなり間違ったメッセージが市場に出てしまう」 と述べた。

ただ、菅直人政権が呼び掛ける超党派協議への対応については「少 なくとも消費税が何%になるというような案を出さないと、ただ集ま っても意味がない。素案を政府・与党が作るということが大前提、必 要条件だ」と強調した。

--取材協力:乙馬真由美Editor: Hitoshi Sugimoto, Kiyo Sakihama

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