【11年日本株話題】資金潤沢で増配やM&A増加も、政治改善期待

2011年の日本株の話題として市場 関係者らが候補に挙げるのは、企業による「手元資金の有効活用」と波 乱含みの「政局」だ。経営環境の改善に伴い、企業は増配などの株主還 元のほか、M&A(合併・買収)など業容拡大に向けた動きを活発化さ せる見通し。政治については、変化への期待が出ている。

足元の業績回復に加え、リーマン・ショック後の不透明な経営環境 で企業は資金の内部留保に努めてきたため、手元資金が積み上がってい る。日興コーディアル証券によると、東証1部上場の3月決算企業のう ち、四半期ベースで継続的にデータを取得できる1153社の「現金・預 金」残高は、08年7-9月期の42兆8554億円を底に増加傾向。10年 7-9月は50兆4782億円となっている。

日興コーデ証・国際市場分析部の小林久恒部長は、11年に予想さ れる企業の経営行動は、「自社株買いや増配といった株主還元に目を配 ることと、増産・増販投資やM&Aなどを通じて業容を拡大させ、本格 的な業績回復につなげることにある」と指摘した。

東証1部上場企業の10、11、12年度の経常増益率を47%、12%、

8.4%と見込むUBS証券の平川昇二チーフストラテジストは、収益の 増加基調を考慮すれば、「設備投資の先行指標である企業のキャッシュ フローは当面、前年比での増加傾向が続くと予想され、設備投資の拡大 サイクルが日本の景気、株価をサポートする」との見解だ。

同氏はまた、財務体質の好転や負債コストの低下などで、「日本企 業でもリレバレッジ(再借り入れ)が重要な投資テーマになり得る」と し、M&Aを含め本業の成長につながる投資が増えるとみている。

法人税減税やTPP、政界再編の可能性

一方、エコカー補助金に続き、家電エコポイントが来年3月末に終 了する予定であるため、政策効果のはく落による経済の落ち込みが警戒 されるところ。こうしたなかで菅直人首相は12月、政府の「新成長戦 略」に基づき、実効税率が約40%と世界的に高水準にある法人税を、 来年度に5%引き下げることを決めた。

野村証券金融経済研究所の岩澤誠一郎チーフ・ストラテジストは、 法人税減税は基本的に純利益の増加につながり、企業の競争力強化や海 外資本の日本への流入を促進する可能性があり、「日本株市場にポジテ ィブ」としている。

「平成の開国」とのキャッチフレーズで、菅首相が積極的に取り組 む考えを示した「環太平洋連携協定」(TPP)の参加にこぎ着けられ るかどうかも要注目だ。政府は、来年6月をめどに農業改革の基本方針 をまとめるのに合わせ、TPP交渉参加の是非を決める意向。

TPPは関税撤廃が原則で、農業団体などの反発が強い。農林水産 省は米や小麦など主要農産品19品目について、全世界を対象に関税を 撤廃し何の対策も講じない場合、関連産業も含め国内総生産(GDP) は年間7兆9000億円程度(実質GDPの1.6%)減少すると試算する。 一方、内閣府の分析によれば、日本がTPPに参加した場合は、輸出拡 大が生産や設備投資などの増加を促し、実質GDPが2.4兆-3.2兆円 (0.48-0.65%)増えるとされ、グローバル企業が恩恵を受けそうだ。

大和住銀投信投資顧問の門司総一郎投資戦略部長は、グローバルな 規制緩和のTPPへの参加について、「日本企業の海外での競争力向上 につながるメリット」を強調。現内閣では実現困難とみられているだけ に、「逆に実現したときの相場へのプラス効果は大きい」と話す。

このほか、来年4月には統一地方選挙が予定されている。その前哨 戦と位置付けられた12月の茨城県議選では、政権与党の民主党が惨敗。 年明け早々の11年度予算案審議を見据え、衆参両院の多数派が異なる ねじれ国会の行き詰まり感が強まっている。

「与野党とも支持率が低レベルできっ抗している状況で、政界大再 編に期待したい」と、話すのはアイエヌジー投信の王子田賢史インベス トメント・マネジャー。政界再編により、年金や医療財政の問題などで 劇的な構造改革に踏み込む体制に変われば、タクティカル(短期の戦術 的)に日本株を買っている海外投資家が、05年の郵政解散後のような 腰の入った買い姿勢に変わる公算が大きい、と予測する。

花粉飛散、3D、新学習指導要領

話題としては、花粉飛散の増加が春先のテーマの1つになりそう。 ことし7-9月の平均気温が前年を2度上回る記録的猛暑になったこと などから、日本気象協会によると、飛散量は関東で今春の5-10倍に 達する見通し。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、 「花粉症患者を中心に外出が控えられ、マクロ経済に悪影響を及ぼす」 と指摘。来年1-3月期の実質家計消費は前年同期比0.6%減少し、同 時期の実質GDPを0.3%下げると試算する。

経済全体ではマイナスでも、鼻炎薬や目薬、マスク、空気清浄機と いった花粉症関連市場には特需が生まれる可能性がある。関連銘柄とし てはロート製薬や参天製薬、ダイワボウホールディングス、スギホール ディングス、ニチバンなどの名前が挙がっている。

また、任天堂が2月26日に携帯ゲーム機の最新機種「ニンテンド ー3DS」を発売する。映画やテレビ、デジタルカメラに続いてゲーム 分野が加わり、3D関連市場への注目度が高まりそうだ。大和証券が発 行する「セクタートレンド」(12月17日号)では、関連銘柄としてカ プコン、有沢製作所、メガチップス、ウシオ電機などを挙げている。

4月からは小学校で新学習指導要領が完全実施される。30年ぶり に小学校の授業数が増え、英語の時間が5、6年生に必修化される。ゆ とり教育からの脱却でリソー教育、明光ネットワークジャパン、東京個 別指導学院、学研ホールディングス、早稲田アカデミーなど学習塾銘柄 が恩恵を受ける可能性もある。

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