12月21日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ユーロが下落、ギリシャやポルトガルの格下げを警戒

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロが主要通貨の大半に対して 下落。ユーロ圏で格下げが続く可能性が示され、一部の国で債券市場で の資金調達が困難になるとの懸念が高まった。

ユーロはドルに対して2週間ぶり安値。格付け会社フィッチ・レ ーティングスは、現在投資適格級で最低の「BBB-」としているギ リシャの発行体格付けを、引き下げ方向で検討する「ウォッチ・ネガ ティブ」に指定した。別の格付け会社ムーディーズ・インベスター ズ・サービスがポルトガル国債の格付けを引き下げる可能性を示唆す ると、スイス・フランは対ユーロで上げを拡大した。ブラジル・レア ルは上昇。商品の値上がりが材料視された。

ナショナル・バンク・オブ・カナダの外為担当マネジングディレ クター、ジャック・スピッツ氏は、「普通ならユーロに向かう資金が スイス・フランに流れている。フランは通常、リスク選好が高まって いる状況では売られる」と述べた。

ニューヨーク時間午後5時1分現在、ユーロは対ドルで前日比

0.2%安の1ユーロ=1.3100ドル(前日は1.3131ドル)。一時

1.3074ドルと、2日以来の安値を付けた。対円では0.3%下げて 109円71銭。ドルは対円でほぼ変わらずの1ドル=83円75銭。

フランは対ユーロで0.9%高の1ユーロ=1.2551フラン。一時

1.2546フランと、ユーロ発足以来の高値を付ける場面もあった。

商品相場

商品19銘柄で構成するロイター・ジェフリーズCRB指数は一時

0.9%上昇し、10月3日以来の高水準となった。これを手掛かりに商 品輸出国の通貨が値上がりした。

ユーロは一時、ドルに対して0.5%上げる場面があった。中国の 王岐山副首相が、中国は「一部のEU加盟国がソブリン債危機に対応 するのを助けるため、すでに具体的な行動を起こした」と述べたこと に反応した。この発言を受け、巨額の外貨準備高を抱える中国からの 投資が欧州の財政危機を和らげ、域内資産の魅力を高めるとの観測が 広がった。

ただ、信用格付けや見通しの変更が相次ぐ中で、欧州の一部の国 が資金調達難に見舞われるとの観測が広がると、ユーロは下げに転じ た。

格下げの恐れ

ムーディーズは、ポルトガル経済成長の「弱さ」を理由に同国の 格付けを引き下げる可能性を示唆した。同社は先週、アイルランドの 格付けを5段階引き下げ、またギリシャの格付けを引き下げ方向で検 討すると発表した。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、 アイルランドとポルトガル、ギリシャについて、格付けの見直しを進 めている。

ポルトガル10年債とドイツ10年債のスプレッド(利回り格差) は10営業日連続で拡大し、355ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)となった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)の南北アメリカ地域G10通貨 戦略責任者、パレシュ・ウパダヤ氏は、「ムーディーズがポルトガル 格下げの可能性を示唆したことは、欧州の債務問題を象徴する出来事 だ。この債務問題は、2011年に入っても引き続き欧州を苦しめること になるだろう」と指摘。「こうした根本的な問題が消え去ることはな い」と続けた。

ブラジル・レアルは、対ドルでの上昇率が主要通貨中でフランに 次いで2位となった。0.7%高の1ドル=1.6954レアル。

◎米国株:上昇、リーマン破綻前の水準を回復-企業業績への期待

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は2008年9月の米リ ーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻前の水準を回復した。デザ インソフト最大手アドビ・システムズの業績見通しを手掛かりに、企業 業績の急速な回復で株価の割安感が強まったとの見方が背景。

S&P500種は0.6%高の1254.60で終了し、リーマン破綻 直前の営業日である08年9月12日の終値1251.70を上回った。 09年6月に始まった景気拡大で、同株価指数は09年3月9日に付 けた12年ぶり安値の676.53から85%上昇。株式時価総額では約 7兆ドルを取り戻した。

米政府や米連邦準備制度理事会(FRB)による景気刺激策のほ か、S&P500種構成銘柄の70%以上の業績が過去最長となる6四 半期連続で予想を上回っていることが好感され、株価は上昇。ウォー ル街の大手銀行のストラテジスト11人の予想平均によれば、同株価 指数は2011年を1374で終了するもようだ。

マニング・アンド・ナピアー・アドバイザーズのジェフリー・ク ーンズ社長は、「リーマンの破綻は不安の時代の始まりを告げる銃声 だった。市場はこうした不安をまだ完全には克服していないが、立ち 直りのプロセスにある」と指摘。「リーマン破綻直後から現在も続く FRBの積極的な行動は、株価安定に向けた重要な推進力となってい る。成長環境は引き続き厳しいと見込まれるが、景気の自律回復が定 着し始めている」と述べた。

アドビやメーシーズが上昇

アドビは6%高。銀行株も上昇し、銀行株指数はS&P500種 の業種別24指数で値上がり率トップとなった。カナダのトロント・ ドミニオン(TD)銀行が、自動車金融会社クライスラー・ファイナ ンシャル買収で合意したことから、業界での買収案件が増えるとの期 待が高まった。小売りのメーシーズとリミテッド・ブランズも高い。 18日終了週の米既存店売上高が今年の年末商戦で最大の伸びとなっ たことが背景。

S&P500種はこれで4営業日続伸。ダウ工業株30種平均は

55.03ドル(0.5%)上昇の11533.16ドル。ダウ平均は先月、 リーマン破綻以降の下げを埋めていた。

ブルームバーグがまとめたアナリスト調査によると、S&P500 種構成銘柄の業績は来年に14%、2012年には13%それぞれ拡大 すると見込まれている。ブルームバーグがまとめたデータによれば、 同株価指数全体の株価収益率(PER)は来年の業績見通しに基づく と平均で12.9倍。1956年以降の同収益率は平均で16.4倍とな っている。

「自信が強まった」

PNCウェルス・マネジメントのジェームズ・ダニガン最高投資 責任者(CIO)は「少なくとも米国では、将来の見通しに関する自 信が強まってきた」と指摘。「企業業績や見通しは力強く、経済状況 は改善した。欧州からの悪いサプライズがなくなった場合には、株式 は好まれる投資先となるだろう」と述べた。

アドビは6%高。同社は10年12月-11年2月(第1四半期) の利益について、アナリスト予想を上回る見通しを示した。一部費用 を除いた1株当たり利益は54-59セントになると予想。ブルーム バーグがまとめたアナリストの予想平均は51セントだった。

銀行株も高い

銀行株指数は2.1%高と、S&P500種の業種別24指数で値 上がり率トップだった。TD銀行は、自動車金融会社クライスラー・ ファイナンシャルを米投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメン トから63億ドルで買収することで合意した。TD銀にとっては過去 2番目に大きな買収となる。17日には、同じくカナダのバンク・オ ブ・モントリオール(BMO)が米地銀マーシャル・アンド・イルズ リーを約41億ドルで買収することで合意している。

JPモルガン・チェースは2.6%高。バンク・オブ・アメリカ (BOA)は2.9%値上がり。

小売株も上昇。米既存店売上高は18日終了週に前年同期比で

4.2%増加した。米国際ショッピングセンター評議会(ICSC)と ゴールドマン・サックス・グループがこの日に発表したチェーン店小 売り指数によると、18日の時点で、買い物客のほぼ74%がプレゼ ントの購入を終了していた。前週は56.6%だった。

米百貨店チェーン2位のメーシーズは1.5%高。ランジェリー 店チェーン「ビクトリアズ・シークレット」などを展開するリミテッ ド・ブランズは2.1%値上がり。

◎米国債:もみ合い、FRBは国債94億ドル購入-10年債3.32%

米国債相場は上昇。10年債利回りは一時、1週間ぶりの低水準に 迫った。量的緩和策第2弾の一環で、連邦準備制度理事会(FRB)が 94億ドル相当の国債とインフレ連動債(TIPS)を購入したことが 買いを誘った。

10年債利回りは、年初来の低水準を約1ポイント上回ってい る。米減税延長が経済成長を押し上げる一方で、財政赤字も拡大す るとの見方が背景だ。この日は株高を背景に、安全投資先としての 米国債需要が後退し、利回りは上昇する場面もあった。

ソシエテ・ジェネラルの米国債トレーディング責任者、セオド ア・エーク氏は、「明るい材料は相場が崩れていないことだ。しか し、FRBの購入を考えると、相場は間違いなくもっと上昇しても いいはずだ」と述べ、「商いが非常に薄い。その分、値動きが大き い。これは来週まで続くだろう」と続けた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後3時59分現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)低下の3.31%。同年債(表面利率

2.625%、2020年11月償還)価格は1/4上げて94 9/32。

10年債利回りは前日に3.25%と、今月10日以来の低水準 をつけた。年初来の最低は10月8日の2.33%。利回りは今月16 日、3.56%と、5月13日以来の高水準まで上昇した。

利回り見通し

ブルームバーグ・ニュースがストラテジストやエコノミスト 67人を対象にまとめた予想平均によると、10年債利回りは、来年 3月31日までに3.05%まで低下するとみられている。

一方、シティグループの金利ストラテジスト、ニーラ・ゴラプ ディ氏が電話インタビューで答えたところによると、同社が実施し た資産運用担当者や保険会社、そのほかの金融サービス会社を対象 にした調査では、回答者の65%以上が10年債利回りは来年第1四 半期末までに上昇すると予想していることが分かった。

ゴラプディ氏は、回答者の53%は利回りが3.5%を上回る水 準に上昇するのを見込んでいると述べたが、全体の回答者数につい ては明らかにしなかった。

FRBは償還期限2016年6月-2017年11月の国債を77 億9000万ドル、償還期限2012年7月-2040年2月のTIPS を16億1900万ドル購入した。

10年債と同年限TIPSの利回り格差は、トレーダーのイン フレ加速見通しが強まっていることを示唆している。今後10年間の 投資家のインフレ期待を示す同利回り格差(ブレークイーブンレー ト)は、2.31ポイントと、今年8月に記録した年初来低水準の

1.47ポイントから上昇した。5年間の平均は2.09ポイント。

欧州各国の格付け

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがポルト ガル国債の長期格付け「A1」と短期格付け「プライム1」を引き 下げ方向で見直すと発表したことは朝方の買い材料となった。

また、フィッチ・レーティングスは21日、ギリシャ財政の持 続性について見直しを実施した後、6週間以内に同国の格付けを投 機的等級(ジャンク級)に引き下げる可能性があることを明らかに した。

◎NY金:3日続伸、欧州の債務危機拡大を警戒-1388.80ドル

ニューヨーク金先物相場は3日続伸。欧州の債務危機がさらに拡 大するとの見方から、価値保存手段としての貴金属の需要が高まった。

格付け会社のフィッチ・レーティングスがギリシャを投資不適格 級に格下げする可能性があることを明らかにすると、外国為替市場で ユーロが対ドルで下落した。金は年初来27%の値上がり。今月7日 には1オンス=1432.50ドルの過去最高値を記録した。欧州の債務 危機が深刻化したのが金買いの背景にある。

ラサール・フューチャーズ・グループ(シカゴ)の金属トレーダ ー、マット・ジーマン氏は、「ソブリン債に対する不安が今もなお金 融市場を圧迫している」と指摘。「年明けの金相場は上昇基調になる だろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 2月限は前日比2.70ドル(0.2%)高の1オンス=1388.80ドル で終了した。この2営業日で1.1%の値上がり。

◎NY原油:3日続伸、2年ぶり高値-米小売りや株式の好調で

ニューヨーク原油先物相場は3日続伸。2年ぶりの高値をつけた。 米小売り大手の既存店売上高が4月以来の大幅な伸びを示したことを 好感して買いが入った。S&P500種株価指数が2008年以降の下 落分を埋めたことも支援材料。

民間の統計によると、18日に終わった週の既存店売上高は前年 同期比4.2%増加した。S&P500種はリーマン・ブラザーズ・ホ ールディングス破綻直前の営業日の水準に回復した。

ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチの マイケル・リンチ社長は、「年末商戦は好調なようであり、来年の景 気に対する楽観が強まっている」と指摘。「恐らく早過ぎるが、需給 逼迫(ひっぱく)を予想して原油価格は上昇している」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物2月限は前日 比45セント(0.50%)高の1バレル=89.82ドルで終了した。終 値としては2008年10月7日以来の高値。年初からは13%高。

◎欧州株:上昇、債務問題で中国が支援表明-商品高で鉱山株に買い

欧州株式相場は上昇。ストックス欧州600指数はリーマン・ブ ラザーズ・ホールディングス破たん前の水準に回復した。中国が欧州 ソブリン債危機の抑制支援に向け「具体的な行動」を講じたと明らか にしたことが好感された。

商品相場の上昇を背景に、鉱山株が高い。オランダのサプリメン ト(栄養補助食品)、メーカーロイヤルDSMは米同業のマーテク・ バイオサイエンシズに10億9000万ドルの買収案を提示したことが 好感され、買われた。フィンランドの製紙会社、UPMキンメネも高 い。同社による競合2社の買収合意が材料視された。

ストックス欧州600指数は前日比1%高の281.11で終了。リ ーマンが破たんする前営業日である08年9月12日の終値 (280.41)を上回った。同指数は月初来では7.4%上昇。欧州の債 務問題が景気回復を損なわないとの観測の高まりが背景にある。

ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントで約20億ドル相 当の資産運用に携わるケビン・リリー氏は、「経済ニュースは総じて 改善が続いている。ソブリン債をめぐる懸念も既に織り込み済みだ」 と指摘。「企業の合併や買収が活発になってきたことも支援要因だ」 と付け加えた。

21日の西欧市場では、ルクセンブルクを除く17カ国で主要株 価指数が上昇。中国の王岐山副首相はこの日、欧州連合(EU)の確 実な金融安定化への取り組みを中国は支援していると表明した。

鉱山株では、オーストラリアのBHPビリトンが2.9%上昇、英 豪系リオ・ティントが2.6%上げた。

DSMは3.9%高と、少なくとも1989年以来の高値で引けた。 UPMキンメネは6.8%の大幅高。

◎欧州債:ポルトガル債下落、格付け見直しで-アイルランド債も安い

欧州債市場ではポルトガルとアイルランドの国債相場が下落した 一方、ドイツ国債は朝方の下げを縮小した。格付け会社ムーディー ズ・インベスターズ・サービスがポルトガルの信用格付けを引き下げ 方向で見直す方針を示したことが背景にある。

ポルトガル10年債とドイツ10年債のスプレッド(利回り格差) は10営業日連続で拡大。ムーディーズはこの日、ポルトガルの経済 成長の「弱さ」を理由に、同国に付与している「A1」の格付けを1 段階または2段階引き下げる可能性を示唆した。ムーディーズは17 日にアイルランドの格付けを5段階引き下げた。

RBCキャピタル・マーケッツの欧州金利戦略責任者、ピータ ー・シャフリク氏(ロンドン在勤)は、「最近の動向を考慮すると、 欧州諸国の信用の質に対する懸念はまだ多い」と述べ、「これが周辺 国の国債への重しとなっている。ただ、年末の薄商いで値動きが増幅 されてはいる」と続けた。

ロンドン時間午後4時5分現在、ポルトガル10年債利回りは前 日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の6.75%。 ドイツ10年債とのスプレッドは357bpに拡大した。アイルランド 10年債利回りは25bp上昇し9.1%。

独10年債利回りは1bp上げ2.98%。中国の王岐山副首相が 欧州連合(EU)の確実な金融安定化への取り組みを中国が支援して いると表明したことを受け、同利回りは一時3.01%まで上昇した。

◎英国債:下落、10年債利回り3.51%に上昇-2年債利回り1.2%

英国債相場は下落。10年債利回りは前日比2ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の3.51%。2年債利回りも2bp 上昇し1.2%となった。

ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS) がまとめた指数によると、英国債の年初来のリターン(投資収益率) はプラス6.7%。これに対し米国債は5.7%、ドイツ国債は6%と なっている。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor:Tsuneo Yamahiro 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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