金相場高騰の予期せぬ帰結-アフリカの村、鉛中毒で子供の死亡相次ぐ

ナイジェリア北部にある村スンケ では、泥れんが造りの家が寄り添うように建ち、9家族が暮らしてい る。金採掘熱の高まりを背景に、子供が相次ぎ亡くなる事態がこの村 を襲った。

村に住む子供25人のうちウムル・ムサさんの1歳の娘ナフィサち ゃんを含む5人が5月に命を落とした。村人たちが近くの丘から鉱石 を掘り出した後のことだ。村人は鉱石に鉛が含まれていることを知ら なかった。金相場の上昇は思いがけない大きな利益を約束した。一方 で、近代医学史上で最悪の鉛中毒危機を引き起こしている。

大人たちが穀物粉砕機で鉱石を砕くと、地面に鉛ダストがまき散 らされる。そのそばでは子供たちが遊び、ニワトリは鉛ダストを食べ ている。金をふるい分けるため鉱石を洗う共同井戸の周辺ではさらに 多くの鉛が拡散される。鉛を大量に摂取した場合、子供たちは死に至 る。

「金採掘の代償は大きい。神が与えられるもので人間以上のもの はない」-。ムサさん(40)は先月、白いマスクを装着した作業チー ムが自宅の中庭にまき散らされた鉛ダストを取り除く間、こう語った。

政府当局者によると、ナイジェリアのザムファラ州では小規模金 鉱山での採掘の結果、8つの村で5歳未満の子供少なくとも284人が 鉛中毒のため死亡した。国境なき医師団(MSF)によると、血中鉛 濃度が高水準の742人が治療を受けており、この数は来年末までに 3000人に達する恐れがある。

脳障害

米コロンビア大学のジョゼフ・グラチアノ教授(環境衛生科学) は、脳障害や流産など鉛中毒による健康被害は数年間にわたってこの 地域をむしばむと予想する。

相次ぐ死者は、21世紀のゴールドラッシュの予期せぬ帰結だ。金 の仲買人の頻繁な訪問に駆り立てられるように、村人たちは過去2年 の間にこぞって採掘業に転じた。この間、金融危機の後遺症に苦しむ 投資家が安全な投資先を求め、金現物価格は58%上昇。今月7日には 過去最高値の1オンス=1431.25ドルに達した。

米疾病対策予防センター(CDC)の予備検査によると、ナイジ ェリアでは29の村の土壌から子供たちにとって危険な水準の鉛が検 出された。CDCは今回の危機について、死者数と子供たちの血中鉛 濃度は「前例がない」と指摘している。CDCはこの地域で検査や治 療体制の整備を支援した。MSFによると、一部の症例では、血中鉛 濃度は緊急治療を必要とする水準の約15倍に達していた。

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