シャープ:多機能端末「ガラパゴス」を世界展開へ-欧中でも

携帯電話メーカー国内最大手のシャ ープは、電子書籍リーダー「ガラパゴス」を米国のほか、欧州や中国で の投入も検討するなど世界展開を計画している。日本独自に進化した携 帯電話で培った電子書籍制作のノウハウで、米アップルのiPadやア マゾン・ドット・コムのキンドルなど先行するライバルに戦いを挑む。

シャープでモバイル端末事業を統括する大畠昌巳執行役員兼通信 システム事業本部長が20日、大阪市内の本社でのインタビューで、10 日に国内で発売したガラパゴスについて、来年に米国で発売するほか、 「電子書籍の文化が広がっていきつつある欧州や中国もマーケットに なりうる」として、発売を検討していることを明らかにした。参入時期 についてはコメントを控えた。

ガラパゴスは5.5インチと10.8インチの2モデルがあり、価格は それぞれ3万9800円と5万4800円(いずれも税込み)。高速無線LA NのWiFi(ワイファイ)機能で書籍や雑誌、漫画などのコンテンツ を、端末にダウンロードして楽しめる。

電子書籍端末ではソニーも「リーダー」を10月から米国で発売し たほか、キンドル、iPadや韓国サムスン電子の「ギャラクシー」も 既に世界展開しており、ガラパゴスは海外では後発組となる。

しかし調査会社、アイサプライによると、世界の電子書籍端末の出 荷台数は2014年に2650万台と09年比で5倍以上に拡大する見込み。 市場の急拡大により、後発でも大きなシェアを取る余地はある。大畠氏 はシャープが提唱する電子書籍フォーマット「XMDF」のコスト面な どの優位性から、他社端末とも十分に勝負ができると指摘する。

低コストで簡単

大畠氏によると、XMDFはコンテンツ制作会社が電子書籍データ を作るためのフォーマットで、シャープが10年以上前から研究開発を 進めてきた技術。日本の携帯電話に搭載され、国内では標準フォーマッ トになっている、という。

大畠氏はアップルなど競合他社が採用するフォーマットでは「かな り金をかけて作りこんでいる」ケースもあり、それらと比べてXMDF では低コストで簡単に電子書籍データが作れるとしている。この方式が 海外でコンテンツ制作会社に支持され、コンテンツが増加し端末販売に 好影響を与えることを期待している、と述べた。

CLSAアジアパシフィック・マーケッツのアナリスト、アツー ル・ゴーヤル氏はガラパゴスで世界展開を狙うシャープの戦略に関し、 「うまくいくとは思えない」と述べ、「競争相手がこれほど多い市場で どうやって利益を出していくか」と疑問視する。

XMDF技術については「実際にみないとわからない」と前置きし たうえで、シャープのガラパゴスは競合他社の製品に比べて「高価なう えに競争優位性もブランド力もない」と話した。

ネーミング

大畠氏はガラパゴスの販売状況について、具体的な台数は明らかに しなかったが、「結構いい滑り出し」と表現。「早期に100万台」として いた当面の販売目標について「来年中にも」達成できるとの見通しを示 した。ガラパゴスで提供されるコンテンツの数は現在約2万4000。来春 にカルチュア・コンビニエンス・クラブと提携することで、20万に増え る計画で、それ以降に大幅な販売増加を見込んでいると述べた。

大畠氏は、現在の世界的なスマートフォンの普及までには、携帯電 話に最初にカメラ機能をつけたシャープのような「ネットでコミュニケ ーションを取る手段や技術を世界に先駆けてやり、それを進化させてき た」日本企業の貢献が大きいと強調。「ガラパゴス」の命名は「そうい う技術を日本の企業として誇りを持って、もっとアピールしないといけ ない」という思いだったとして、同端末で世界市場でのシェア拡大を目 指す、という。

シャープの株価終値は前日比14円(1.7%)高の853円。年初来で は27%下落している。アップルの株価は同期間中に53%上昇、アマゾ ンも36%値を上げている。

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