日銀会合:金利、基金とも現状維持、長めの資金供給着実に

(会合予定の変更に伴い発表内容を更新し、見出しも差し替えます)

【記者:日高正裕】

12月21日(ブルームバーグ):日本銀行は21日午後、同日開いた 金融政策決定会合で、資産買い入れ等基金のうち、長期国債や社債、 指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT) など金融資産買い入れの規模を「5兆円」に、また新型オペ(固定金 利方式の共通担保オペ)は「30兆円」にそれぞれ据え置いたと発表し た。政策金利も「0-0.1%」に据え置いた。いずれも全員一致。

国内の長期金利は上昇しているが、円高の一服に加え、株価が堅 調なこともあり、日銀は当面情勢を見守る構え。ただ、長めの市場金 利の低下を打ち出しているにもかかわらず、金利が上昇していること を受けて「長めの資金供給を着実に」進めることを声明で表明した。

日銀は10月5日の決定会合で①政策金利を0-0.1%に変更②物 価の安定が展望できるまで実質ゼロ金利政策を継続する③ETF、J -REITなどの金融資産を買い入れる5兆円の基金創設-の3本柱 から成る包括緩和を決定。15日にはETF、16日にはREITの買い 入れを開始した。

一方、11月3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は6000億 ドルの国債を購入する量的緩和第2弾(QE2)を決定。これがイン フレ期待を醸成したことに加え、ブッシュ減税が延長されたこともあ って、景気楽観論が台頭。財政赤字拡大への警戒感もあり、FOMC 前は2.5%台だった米10年債利回りは一時3.5%強まで上昇した。

円安、株高、金利高

国内の金融市場では、11月初めに1ドル=80円割れ寸前まで円高 が進んだ円の対ドル相場は、足元では同83円台後半で推移。日経平均 株価は11月初めから12%、東証REIT指数は包括緩和前から13% 上昇した。一方、長期金利(新発10年物の312回債利回り)は15日、 一時1.295%と約7カ月ぶりの水準に上昇。0.8%台前半まで下落した 10月初めから水準を切り上げている。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、日本では短期ゾーン も含めイールドカーブ全体が、昨年12月に日銀が臨時会合を開き新型 オペを導入する前の水準に戻ったと指摘。「つまり、量的緩和効果を否 定する水準へ戻っており、これは緩和打ち止めがまだ市場のコンセン サスとなっていない現状ではやや先走り感が見える」という。

モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミス トは「円金利市場の動向は利上げを織り込むようなカーブの形状とな っており、『長めの金利の低下』と『リスクプレミアムの縮小』を促 すという包括緩和の目的と合致していない」と指摘。「日銀は包括緩 和の2点目の柱である時間軸へのコミットメント明確化の趣旨に沿い、 市場の不合理な利上げ期待をけん制する必要があろう」という。

日銀は当面、静観の構え

もっとも、日銀を包括緩和に踏み切るきっかけとなった円高の動 きが一服しているだけに、目先、追加緩和観測はやや後退している。 HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは「足元では米国景気見 通しの改善を受けてやや円安方向に振れる展開となっており、この点 において力ずくでも2年債金利を元のさやに戻すといったインセンテ ィブは今の日銀にはさほどないだろう」と指摘する。

日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト も、金利の上昇は「米国がけん引したものであり、日本のファンダメ ンタルズを反映した動きとは言い難い。日銀が対応する必然性は乏し い」と指摘する。

ただ、景気は決して盤石ではない。日銀の企業短期経済観測調査 (短観)では大企業・製造業の業況判断指数(DI)が前回調査比3 ポイント低下のプラス5と、足元こそ予想ほど悪化しなかったが、先 行きはマイナス2と大幅な悪化を見込んでいる。日本経済は外的なシ ョックにぜい弱な状態が続いているだけに、再び円高、株安の大波が くれば、日銀は再度、追加緩和に踏み切るとの見方は根強い。

年度末は日銀にとって鬼門

年度末は日銀にとって毎年、鬼門だ。今年3月会合では新型オペ を10兆円から20兆円に拡大。09年3月会合では長期国債の買入額を 月4000億円増額し、1.8兆円に拡大した。来年2月中旬発表の10-12 月実質国内総生産(GDP)はマイナス転落が必至で、政府は追加の 経済対策の策定に踏み切る可能性もある。審議委員の国会同意人事も 控えており、日銀に対する圧力が高まる要因には事欠かない。

岩下氏は、年度末を前に金融市場が不安定化し、企業や家計のマ インドが冷え込む可能性が高まった場合は、資産買い入れ等基金の拡 大が見込まれると指摘。「期末の株価への危機感が強まる状況となった 場合はETFの増額の可能性もあるように思われる」としている。

議事要旨は1月28日に公表される。白川方明総裁は午後3時半に 記者会見する。

金融政策決定会合、金融経済月報等の予定は以下の通り。

会合開催       総裁会見 金融経済月報  議事要旨
1月24、25日   1月25日     1月26日    2月18日
2月14、15日   2月15日     2月16日    3月18日
3月14、15日   3月15日     3月16日    4月12日
4月6、7日   4月7日     4月8日    5月9日
4月28日       4月28日       -        5月25日
5月19、20日   5月20日     5月23日    6月17日
6月13、14日   6月14日     6月15日    7月15日
7月11、12日   7月12日     7月13日    8月10日
8月4、5日   8月5日     8月8日    9月12日
9月6、7日   9月7日     9月8日    10月13日
10月6、7日   10月7日     10月11日    11月1日
10月27日       10月27日      -         11月21日
11月15、16日  11月16日     11月17日  12月27日
12月20、21日  12月21日    12月22日    未定

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、経済・物価情 勢の展望(展望リポート)は4月28日、10月27日。議事要旨は午前 8時50分。

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