【2011年日本株】上昇へ、高値めど10%超-時期見方は二分

2011年の日本株相場は、企業の1 株利益の成長に応じた10%超の上昇を見込む市場関係者が多いよう だ。米国経済の回復で輸出が堅調に推移し、為替の円高も一服。投資 家や企業経営者の心理が徐々に改善することで、国内では設備投資や 住宅投資が増え、株価を後押しするとみられる。

11年の高値について、メリルリンチ日本証券やUBS証券、ドイ ツ証券、ゴールドマン・サックス証券、野村証券、大和証券キャピタ ル・マーケッツ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券 の主要証券8社の見通しをまとめたところ、TOPIXで1100ポイン ト、日経平均株価で1万1500円-1万2000円前後をめどに挙げる向 きが過半数を占めた。安値めどとして指摘された水準は、TOPIX で800-850、日経平均で9000円-1万円程度。

メリル日本証の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、「ドルの上 昇や経済協力開発機構(OECD)景気先行指数の底入れなどから夏 にかけて日経平均は上昇ピッチを速め、1万2000円まで上昇しそうだ」 と予想している。ただ、年後半には米国の追加量的緩和(QE2)打 ち切りや引き締めによるアジア諸国の景気鈍化懸念で、1万1000円程 度で終えると見る。日経平均の21日午前終値は1万291円だった。

米金融政策にらみ高値時期は真っ二つ

一方、高値時期については「年央までの前半高」と「年末高」に ほぼ二分される。メリル日本やゴールドマン、ドイツなどの前半高派 は、景気が順調に推移することが米連邦準備制度理事会(FRB)の QE2の前半での打ち切りにつながり、その後に逆金融相場の色彩が 強まる可能性に警戒感を示す。

それに対し野村やUBSなど年末高派は、景気や業績の回復が年 後半に強まる点にむしろ注目。UBSでは、日本の実質国内総生産(G DP)成長率は10年の3.5%から11年は1.4%へ低下すると見るが、 四半期では来1-3月の1.4%から10-12月は1.8%、翌12年10- 12月には2.4%までの伸びを想定。「米国は11年10-12月の成長率が 最も高くなるが、日本は12年まで加速し続ける。この流れは日米の株 価を見通す上で重要」と、平川昇二チーフストラテジストは言う。

ゴールドマン・サックス証券では12月に入り、11年の米実質国 内総生産(GDP)の成長率予想を2%から3.4%へ2度上方修正し た。民間部門の節約行動の反転による国内需要の堅調、雇用や信用の 質の改善、減税政策の延長が要因だ。

同証では11年の日本株について、米経済の見通し改善が米個人消 費への依存度が高い日本の輸出の伸びの支援材料となる、と分析。上 期(1-6月)には大半のアジア諸国がインフレ対策を迫られる一方、 日本は緩和的な政策環境が持続し、年前半は日本株が世界株をアウト パフォームするとの予想を立てる。

上昇予想底流に米経済回復、円高一服

米経済の改善期待に連動し、円高圧力の低下も見込まれている。 UBS証券の会田卓司シニアエコノミストは、「米国の実体経済が堅調 なことが意識されれば、先の追加的量的金融緩和でFRBの金融緩和 は打ち止めという見方が強くなる」と指摘。ドル・円相場と連動する 米2年債利回りが年前半に1%程度(20日0.59%)まで上がれば、「円 高リスクはなくなるだろう」と見ている。

このほか、野村証券金融経済研究所の岩澤誠一郎チーフ・ストラ テジストは、6月末の米国の金融資産構成比が債券50%、株式30%で、 投資家の債券保有比率は過去との比較で高水準な点に言及。FRBと 日本銀行がともに株式リスクプレミアム(株式の予想益利回りと10 年債利回りの差)の縮小を目指していることもあり、投資マネーが「集 団的弱気心理からの脱却で債券から株式へ移る」と予想している。

10%超の増益予想、投資対象は輸出有望

10年のTOPIX高値(12月21日時点)は、4月に付けた1001 で、安値は11月の799。12月20日終値は前年末(907.59)比1%安 の898.55。一方、日経平均は高値が4月の1万1408円、安値が9月 の8796円、20日終値は前年末(1万546円)比3.1%安の1万216 円で、両指数ともことしは年間で小幅な変動となりそう。

こうした中、11年度の主要上場企業の経常増益率は、野村証券予 想で13%増、大和CM予想で15%増益が見込まれている。「循環回復 によって来年の米個人消費は復活する可能性がある。損益分岐点が下 がって企業収益面から魅力的になっている日本株は、為替の安定が進 むなら見直しが起こる」と話すのは、インベスコ投信投資顧問の杉尾 邦彦最高投資責任者(CIO)だ。

11年の日本株をけん引する業種として、市場参加者らの間で有望 視されているのは輸出関連株。バークレイズ・キャピタル証券による と、輸出株のROE(株主資本利益率)は09年末にMSCI世界指数 のROEに比べ大幅に落ち込んだが、10年は急回復し、ギャップが縮 小した。しかし、株価はほとんど戻っておらず、「円高で業績の持続性 が不安視されたためで、足元の円高修正が株価にインパクトを与える 可能性がある」と同証の高橋文行ストラテジストは読む。

メリル証の菊地氏は、11年に金融引き締めが予想される中国関連 株から、総合電機や電子部品など景気回復が期待される米国消費関連 へのシフトを推奨。野村証の岩澤氏は、デフレ懸念の緩和が長期金利 の上昇をもたらすとし、イールドカーブのスティープ化(長期金利と 短期金利の差拡大)予測から金融や住宅・不動産株などに強気だ。ド イツ証券の神山直樹チーフエクイティストラテジストは、銀行など低 バリュエーションに放置された内需関連にも投資対象拡大を予想する。

りそな銀行アセットマネジメント部の黒瀬浩一チーフ・ストラテ ジストは、「現在の製造業の稼働率は日米とも企業が安定的に雇用を増 やし始める分岐点の少し手前にあり、それを超えるかどうかで景気は ぶれやすい」と指摘。米金融政策のサポートなしで、景気がこのまま 自律的な成長に入れるかどうかが高値のタイミングを決めるとし、11 年は投資タイミングが重要な年になると見る。

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