【クレジット市場】商船三井:ライバルしのぐ改善-CDSスプレッド

船隊数で世界最大の商船三井は、 負債削減など財務改善を進めており、クレジットリスクのコストがラ イバルのマレーシア海運大手MISCや日本郵船よりも大幅な低下と なった。

信用リスクを取引する5年物のクレジット・デフォルト・スワッ プ(CDS)は、CMA提供で、商船三井が12月17日付で64ベーシ スポイント(1bp=0.01%)と1年前の140bpの半分以下にスプ レッド(金利上乗せ幅)を縮小した。郵船は同65bp(前年122bp) とほぼ同水準。MISCは同75bp(同82bp)で、1年前との比較 で逆転した格好になった。

商船三井は今期(2011年3月期)末で4年ぶりとなる有利子負債 の削減に取り組んでいる。ばら積み船などのドライバルク市況の堅調 などで業績が順調に推移していることがある。CDSとは、企業が倒 産した場合などを想定し、社債や融資などの焦げ付きをカバーするの が主な目的の金融派生商品で、購入者は手数料を支払って元本の保証 を受けることができる。

BNPパリバ証券の中空麻奈クレジット調査部長は、商船三井の CDSスプレッドの大幅低下について、5兆円規模の金融資産を買い 入れる日本銀行の基金創設も支援要因であるほか、ライバルと比べて 「株式というよりは債券投資家に対するフレンドリーな戦略」もある とみている。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは発行体格 付けで、商船三井とMISCに「A3」、郵船に「Baa1」を付与し ている。ムーディーズは11月18日、商船三井の長期発行体格付と無 担保長期債務格付け「A3」の見通しを「ネガティブ」から「安定的」 に変更。収益力の回復に伴い、財務改善が期待されるためとしている。

カギはフリーキャッシュフロー

ムーディーズ・ジャパンのコーポレート・ファイナンス・グルー プ、澤村美奈アナリストは「商船三井は今後、財務的にはより改善す るだろう」との見通しを示し、「カギを握るのはフリーキャッシュフロ ーとなる」と指摘した。

収益を拡大する商船三井は、7-9月期の営業活動によるキャッ シュフローが645億円に増大。ブルームバーグ・データによると、過 去2年で最大規模。来年の490億円の社債償還では、新規の社債発行 は見送る方針だ。9月末に残存する社債総額は約2230億円。

ムーディーズの澤村氏は、社債の返済能力を重視し、キャッシュ フローの安定度合いと負債額を注視しているという。ライバルの郵船 と比較し、商船三井については船隊数が多く、多様な対応ができるの が強みで、安定的に利益を計上できるとみている。

髙木証券の勇崎聡株式情報部長は、新興国向け中心に鉄鉱石など の需要が高まる中で、「商船三井が他社に先駆けて、スポットの船隊を 増強していく戦略はこれまで有利に働いてきた」と指摘する。

有利子負債は中期計画よりも圧縮

商船三井の青砥修吾常務は11月24日のインタビューで、今期末 の有利子負債について「いまの営業キャッシュフロー、業績からみて 7500億円前後に少なくとも圧縮させる」と述べた。前期末は7751億 円。中期計画では今期末7700億円としていた。

負債削減と格付引き上げの効果に関し、新生証券の松本康宏アナ リストは、社債発行による資金調達よりも、銀行からの借り入れを容 易にするだろうと指摘。銀行は融資機会不足の状態で、「知名度の高い 会社ならば非常に有利なレートが示されるだろう」との見方を示した。

商船三井は10月29日、欧米での景気回復基調と新興国の強い需 要を背景に、今期予想の営業、経常利益を上方修正した。いずれも、 従来の1200億円から1300億円に増額した。期中平均の為替前提は1 ドル=84.81円と、ドル円相場は前期比8.44円の円高になる。

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