ユーロ下落、欧州債務不安で約2週間ぶり安値-ドル・円は83円後半

東京外国為替市場ではユーロが下 落。欧州連合(EU)首脳による危機管理メカニズムの創設合意後も、 一部ユーロ加盟国が債務返済困難に陥るとの懸念が払しょくされず、 ユーロは対ドルで今月2日以来、対円では同7日以来の安値を更新し た。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.31ドル台後半から、一時1.3125 ドルまでユーロ安が進行。ユーロ・円相場は1ユーロ=110円台後半 から一時、110円18銭まで値を切り下げる場面が見られた。午後4時 現在はそれぞれ1.3152ドル、83円88銭前後で取引されている。

一方、ドル・円相場は1ドル=84円12銭までドル買いが進んだ が、その後は対ユーロなどでの円買い圧力が加わり、83円82銭まで 円が強含んだ。

バンク・オブ・アメリカ-メリルリンチの藤井知子シニアFXス トラテジストは、ユーロについて「アイルランドの格下げもあったし、 あの程度のEUサミットの合意では保有債券の価値がどんどん下がっ ていくのではないかという現実的な問題の解消ができるわけではない」 と指摘。「ユーロの悪材料出尽くしは当分先だ」と語った。

また、朝鮮半島情勢の緊迫化や資本流出入の抑制強化案を嫌気し て、韓国ウォンは対ドルで一時、大幅安となったが、その後上昇に転 じている。

欧州債務懸念

EUは16、17日に開いた首脳会議で、13年に恒久的な危機管理 メカニズムを創設することで合意し、そのために必要なEU基本条約 の改正で意見が一致した。ただ、債券市場安定化のための迅速な措置 をめぐっては意見が対立した。

新生銀行キャピタルマーケッツ部の政井貴子部長は、救済基金の 拡大や共通債発行計画について何も出ず、「後ろ倒しになってしまった」 と指摘。また、2013年以降は「ケース・バイ・ケース」で債券保有者 の負担を決めるということで、欧州重債務国は13年6月以降に償還が 来る債券の発行が難しくなるのではないかとの思惑もある、とユーロ 売りの背景を説明した。

一方、欧州中央銀行(ECB)はウェブサイトに掲載した17日付 の文書で、アイルランド政府が同国の銀行システム改善に向け導入を 目指す法律が、ユーロ圏に流動性を供給するECBの能力を脅かす恐 れがあるとして、「深刻に懸念している」ことを明らかにした。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは先週末、 アイルランドの信用格付けを「Baa1」に5段階引き下げ、格付け 見通しを「ネガティブ(弱含み)」にすると発表。国際通貨基金(IM F )は、アイルランドの金融危機がギリシャやポルトガル、スペイン などユーロ圏各国に影響が及ぶ重大な波及リスクがあると指摘した。

クレディ・スイス証券外国為替調査部の深谷幸司チーフ通貨スト ラテジストは「アイルランドの格下げの話は今さらという感じもある が、欧州周縁国の対独スプレッド(利回り格差)も再び広がっている し、ユーロにはまだダウンサイドのリスクがある」と語った。

地政学リスク

20日のアジア株式相場は下落。欧州の債務危機が波及するとの懸 念が広がったほか、韓国が射撃訓練の開始を明らかにしたことで、北 朝鮮が報復措置に出る恐れが高まった。また、中国当局がインフレ抑 制のため利上げするとの懸念も重しとなり、中国株は一時約1カ月ぶ りの大幅安となる場面が見られた。

クレディ・スイス証の深谷氏は、朝鮮半島情勢の緊迫について、 一時的な相場の波乱要因となる可能性はあるが、その場合でも日本は 地理的に近いため、円買いにはなりにくいと指摘。「結論的にドルが強 い状況は変わらない」とした上で、米長期金利の低下もあり、ドルは 対円で「上にどんどんいく感じではないが、下は堅い」との見方を示 した。

韓国国防省は午後2時半から延坪島での射撃訓練を行った。この 訓練計画に対して北朝鮮は報復を警告。国連安全保障理事会は朝鮮半 島の緊張緩和に向けて緊急会合を開いたものの、合意には至らなかっ た。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE