【今週の債券】長期金利は1.2%前後か、米債下落が一服-総裁会見注目

今週の債券市場で長期金利は1.2% 前後での推移が見込まれている。景気回復期待を背景にした米国債相 場の下落傾向が一段落しており、円債市場では買い安心感が広がり、 相場の下支えとなる見通し。一方、21日の白川方明日銀総裁の定例会 見では、最近の金利上昇についてどう言及するかが注目されている。

三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長は、今週の長 期金利について、1.2%を挟んで値動きの荒い展開が続くと予想する。 「先週は国債の大量償還に絡む投資家の買いで相場は戻したが、引き 続きリスクを取りづらい銀行が多い。米10年債利回りが3.5%を付け て達成感もあるが、まだ動きには不透明感がある」との見方を示した。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが17日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ は全体で1.15%から1.26%となった。前週末の終値は1.195%。

前週の長期金利は序盤から水準を切り上げる展開となり、一時は 約7カ月ぶりの高水準となる1.295%を付けた。米国では強めの経済 指標発表が相次いだことで景気回復期待が強まり、米10年債利回りが 5月以来の高水準となる3.5%台まで上振れたことで、日本の長期金 利にも上昇圧力がかかった。もっとも、週末には買いが優勢となって

1.2%を割り込んで取引を終えた。

引き続き米国債市場の動向をにらんだ相場展開が見込まれている。 17日の米国債相場は続伸して、米10年債利回りは3.33%程度に下げ た。同利回りは一時3.56%と5月以来の水準まで急騰したが、その後 は低下に転じている。日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ス トラテジストは、今回の国内債相場の一段安の要因となった米国債が 下げ止まれば、円債には「底打ち機運が台頭しそうだ」と予想する。

日銀会合、政策据え置き予想

こうした中、日本銀行は20、21日に金融政策決定会合を開く。15 日発表の企業短期経済観測調査(短観)が市場予想ほどには落ち込ま ず、過度な景気悪化懸念は出ていないほか、足元で日本株は堅調さを 維持しており、円相場も円高基調が一服。今回の会合では金融政策の 据え置きが見込まれている。ブルームバーグが日銀ウオッチャー16人 に調査したところ全員が現状維持を予想した。

しかし、前回11月上旬の会合時の長期金利は0.9%台だったが、 前週には5月半ば以来の高水準となる1.3%近くまで上昇した。10月 5日に追加金融緩和が実施されたにもかかわらず、金利水準は大きく 切り上がっている。日興コーディアル証の野村氏は「市場の一部には 日銀の包括緩和決定後の長期金利上昇に対する不満が出ているだけに、 日銀総裁会見が注目される」と言う。日銀総裁の定例会見は21日午後 3時半の予定。

みずほインベスターズ証券の落合昂二チーフマーケットエコノミ ストは「金利上昇をけん制するような発言が出れば、相場は反発する」 との見方を示した。一方、三井住友海上の高野氏は「金利の急激な動 きに言及することはあっても、懸念は示されないだろう」とみている。

2年債入札、需要集まるとの声

22日には2年利付国債の入札が実施される。前回入札された2年 物の299回債利回りは前週に一時0.235%を付け、新発2年債として は昨年11月以来の水準まで上昇した。週末には低下に転じたものの、 今月上旬の0.1%台後半から水準が切り上がっており、投資家から一 定の需要が見込まれている。

三井住友海上の高野氏は、「2年債入札は利回り水準が上がったこ とで、余資消化の需要が集まる」とみている。

今回の2年債入札について、17日の入札前取引では0.205%程度 で推移した。このため、表面利率(クーポン)は前回債と同じ0.2% が予想されている。発行額は2兆6000億円程度。

市場参加者の予想レンジとコメント

12月17日に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は3月物、新発10年国債利回りは312回債。

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物12月物139円25銭-140円25銭

新発10年債利回り=1.15%-1.25%

「長期金利は1.2%を挟む推移か。海外金利が落ち着かないよう だとボラティリティ(変動率)の高い状況が続くが、直近の金利急騰 とその後の低下を通じて相場がひと山越えた感があり、クリスマス休 暇前に相場が小休止することも考えられる。市場が落ち着きを取り戻 しさえすれば、投資家が年内最後に買いに動く場面がありそう」

◎みずほインベスターズ証券の落合昂二チーフマーケットエコノミス ト

先物3月物139円00銭-140円20銭

新発10年債利回り=1.15%-1.26%

「先週末は水準感から投資家の押し目買いを確認した形となり、 このところの急激な金利上昇もひと段落した可能性があるとみている。 長期金利は1.2%を下回る水準で低下余地を試すのではないか。日銀 金融政策決定会合後の会見で、金利上昇をけん制するような発言が出 れば、相場は反発するともみている」

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物3月物138円85銭-140円35銭

新発10年債利回り=1.165%-1.255%

「米国債相場が下げ止まれば、底打ち機運が台頭しそう。ただ、 相場の調整局面が長期化したこともあり、市場の不安心理が一掃され るためには一定の時間が必要。長期金利で1.2%前後を中心としたレ ンジでの推移を見込む。市場の一部には、日銀の包括緩和決定後の長 期金利上昇に対する不満が出ているだけに、総裁会見が注目される」

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物3月物139円00銭-140円50銭

新発10年債利回り=1.15%-1.25%

「長期金利は1.2%を挟んで値動きの荒い展開が続き、買い安心 感が戻るまでには至らないだろう。先週は国債大量償還に絡む投資家 の買いで相場は戻したが、引き続きリスクを取りづらい銀行が多い。 米10年債が3.5%を付けて達成感もあるが、まだ動きには不透明感が ある。総裁会見は金利の急激な動きに言及することはあっても懸念は 示されないだろう」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors:Masaru Aoki, Joji Mochida

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