12月17日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドル上昇、欧州債務懸念などで

ニューヨーク外国為替市場ではドルがユーロに対して2週間ぶり の高値に上昇。米国債利回りがほぼ7カ月ぶり高水準にあることや、 欧州の政策当局者による域内債務危機への対応が不十分との懸念を背 景に米国の金融資産に対する需要が増大した。

ユーロはこれより先、上昇する場面もあった。欧州連合(EU) 各国の首脳が将来の債務危機を封じ込めるためのメカニズム創設で合 意したほか、ドイツの企業景況感指数が予想外に上昇したことに反応 した。ただ、恒久的な危機管理メカニズムの2013年創設を除いて、 EU首脳会議では債券市場の安定化に向けた緊急措置をめぐる隔たり を埋めることができなかった。

トロント・ドミニオン銀行のチーフ通貨ストラテジスト、ショー ン・オズボーン氏は、「ドルがやや堅調に推移する状況が見込まれる」 と指摘。「ユーロ圏諸国はかなり大規模な財政難を抱えていることか ら、ユーロは恐らく一段安となるだろう」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時6分現在、ドルはユーロに対して前日 比0.5%高の1ユーロ=1.3181ドル(前日は1.3244ドル)。一 時は1.3133ドルと2日以来の高値となった。ドルは円に対して

0.1%高の1ドル=83円97銭(同83円91銭)。15日には9月 24日以来の高値となる84円51銭を付けた。

米10年債利回りは9ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)低下の3.33%。一時は3.44%に上昇。前日は3.56% と5月13日以来の高水準を付けた。

EU首脳会議

EU首脳会議は2日間の日程を終了。同会議では恒久的な危機管 理メカニズムの2013年創設に向けた条約修正の文言で合意した。

シティグループのG10通貨戦略責任者、スティーブン・イング ランダー氏(ニューヨーク在勤)はブルームバーグラジオとのインタ ビューで、「明らかに必要とされているソブリン債務危機への広範な 解決策を首脳会議では見いだせなかったことに市場はやや失望してい る」と指摘。「市場はユーロ圏の金融崩壊について心配している」と 述べた。

欧州によるギリシャとアイルランド向けの支援で最大の拠出国の ドイツは、ユーロ圏の「防衛が不可欠な場合に」金融支援を認め、将 来の救済コストの一部を債券保有者に負担させることが可能となるメ カニズムの創設について合意するよう主張した。

ドイツのメルケル首相は、現行の欧州金融安定基金の規模拡大の 可能性を排除した。

この日発表された12月の独Ifo企業景況感指数は109.9と、 前月の109.3から上昇。これは東西ドイツ再統一後の1991年に統 計が始まって以来の最高。ブルームバーグがまとめたエコノミスト 36人の調査では109.0への低下が見込まれていた。

アイルランドの格下げ

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、アイ ルランドの信用格付けを5段階引き下げ「Baa1」に設定した。同 国政府は国際社会からの緊急支援策を受けた。

ムーディーズは「アイルランドの経済成長が現在の予想よりも弱 くなるか、もしくは銀行システム安定化のコストが現在の見通しより も高くなった場合には、同国政府の財政力は一段と低下する可能性が ある」と説明した。

ユーロは主要16通貨の大半に対して下落。先進10カ国の通貨 で構成するブルームバーグ相関加重通貨指数によると、ユーロは年初 から9.7%安。円は11%高、ドルは1%下落となっている。

◎米国株:買い優勢、企業利益や買収を好感

米株式市場では買いが優勢となり、S&P500種株価指数は2 年ぶり高値をつけた。欧州債務危機が拡大するとの懸念もあったが、 ソフトウエアのオラクルや多機能携帯端末「ブラックベリー」を製造 するリサーチ・イン・モーションの業績が予想を上回ったほか、銀行 の買収が材料視された。

オラクルは2001年以来の高値に上昇。カナダのバンク・オ ブ・モントリオール(BMO)が買収(41億ドル)することで合意 した米地銀マーシャル・アンド・イルズリー(M&I)は急伸。資源 のフリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールドも高い。 一方、メルクなど製薬株は下落。英製薬アストラゼネカが新薬で米当 局の認可を得られなかったのが嫌気された。

米証券取引所全体の騰落比率は約6対5。S&P500種株価指 数は前日比0.1%上昇して1243.91。終値ベースでは2008年9 月以来の高値。ダウ工業株30種平均は7.34ドル(0.1%)下落し

11491.91ドル。

フェデレーテッド・インベスターズの株式市場チーフストラテジ スト、フィリップ・オーランド氏(ニューヨーク在勤)は、「経済統 計の内容が安定してきた」と指摘。「企業利益も非常に堅調だ。市場 もこれを認識しており、マクロ経済への信頼感回復を反映し、すばら しいサンタクロース・ラリー(年末にかけての上昇局面)が始まるだ ろう」と述べた。

オラクル

オラクルは3.9%高。同社の9-11月(第2四半期)決算は、 利益がアナリスト予想を上回った。データベースの売り上げに加え、 コンピューターのハードウエアに事業を拡大したことが寄与した。オ ッペンハイマーはオラクルの株式投資判断を「マーケットパフォーム」 から「アウトパフォーム」に引き上げた。

リサーチ・イン・モーション(RIM)は1.6%高。RIMに よると、10年12月-11年2月(第4四半期)の1株利益は少な くとも1.74ドルの見込み。アナリスト予想平均を上回った。

S&P500種株価指数に含まれる地銀11銘柄で構成する株価 指数は1.5%高。BMOが17日発表した合意条件によると、M& I株1株につきBMO株0.1257株と交換される。M&Iの買収価 格は1株当たり7.75ドルとなる。これは前日の同社終値5.79ド ルを34%上回る水準。M&Iはこの日、18%値上がりした。

オプション取引

米オプショントレーダーは銀行株に対して、強気なポジションを 過去1年超で最も膨らませている。景気回復に伴い金融機関の業績も 拡大するとの観測が背景にある。アナリストの来年の増益率予想は 21%。

ジョーンズトレーディング・インスティチューショナル・サービ シズ(シカゴ)のオプションストラテジスト責任者、クリス・リッチ 氏は、「オプション市場の参加者は金融株が値上がりすることに大き くに賭けている」と指摘。「行使価格が銀行株の市場価格よりも高い コールオプションへ、いわゆるスマートマネーが殺到している。資金 が同じ時期に同じ方向に向かっているのは強いシグナルだ」と述べた。

メルクは1%安。同業のファイザーも1.1%値下がりした。

◎米国債:2日間の上げとしては6月以降で最大

米国債相場は上昇。10年債は、2日間の上げとしては6月以降 で最大となった。利回りが高水準で推移していたことから、投資家を 引き寄せた。

ニューヨーク連銀はこの日、米国債20億3000万ドルを買い 入れた。これも手掛かりに相場は上昇した。減税措置の延長で景気が 刺激され、財政赤字が膨らむとの観測から、10年債と2年債の利回 り格差は3週連続で拡大した。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダの米国債トレーダー、ダン・マ ルホランド氏は「短期間で非常に大きな支援材料が出た」と指摘。 「供給分の多くは消化されている」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時17分現在、10年債利回りは前日比9ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下し3.34%。同年債(表面利率

2.625%、2020年11月償還)価格は23/32上げて94 1/32。

30年債は1ポイント余り上昇し、利回りは10bp低下の

4.40%となった。2年債利回りは4bp下げて0.61%。

10年債利回りはこの2日間で21bp低下と、22bp下げた6 月7日までの2日間以来で最大の低下となっている。10年債利回り は16日に3.56%と、5月13日以来の高水準を付けた。

10年債と2年債の利回り格差は今週、272bpに拡大。15日 に289bpと、2月23日以降で最大となった。

相対力指数

ブルームバーグのデータによれば、10年債利回りの相対力指数 (RSI、期間14日)は62。15日には74.384と、2009年5 月以来の高水準に上昇した。同指数が70以上になると、利回りが低 下する可能性がある。

償還年限2-30年の米国債の店頭オプション価格を基にしたボ ラティリティの指数であるバンク・オブ・アメリカ(BOA)メリル リンチのMOVE指数は15日、125.20と、09年9月以来の高水 準を付けた。

10年債利回りは今週、2bp上昇。10日終了週は31bp上昇 と、5日間の上げとしては09年8月以降で最大だった。

米経済成長

ブルームバーグがエコノミスト24人を対象にした調査によれば、 7-9月(第3四半期)の米国内総生産(GDP)確定値は2.8% 増(中央値)と、改定値の2.5%増からの上方修正が見込まれてい る。

米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表した11月の米景 気先行指標総合指数(LEI)は前月比1.1%上昇。ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミト予想の中央値と一致した。前月は

0.4%上昇(速報値0.5%上昇)に修正された。

期間が短めの米国債は一時上昇。米格付け会社ムーディーズ・イ ンベスターズ・サービスがアイルランドの信用格付けを「Aa2」か ら「Baa1」に5段階引き下げたことに反応した。格付け見通しは 「ネガティブ(弱含み)」としている。

◎NY金:上昇、欧州債務危機で逃避需要-終値1379.20ドル

ニューヨーク金先物相場は上昇。欧州の債務危機が深刻化すると の懸念から安全な逃避先としての需要が膨らんだ。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスがアイルランドの信用 格付けを引き下げたため、同国国債が下落。ムーディーズは今週、ス ペインの格付けを引き下げ方向で検討するとも発表している。金は年 初から26%高、10年連続で上昇している。欧州の債務危機に加え、 米連邦準備制度理事会(FRB)が国債を購入したことが背景。

ラサール・フューチャーズ・グループ(シカゴ)の金属トレーダ ー、マット・ジーマン氏は「FRBは国債購入拡大の可能性を残して いる。ユーロ圏の債務危機は再燃している。それらが金価格の下値を 固くしている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 2月限は前日比8.20ドル(0.6%)高の1オンス=1379.20ド ルで終了した。

◎NY原油:反発、景気先行指標の上昇で-終値88.02ドル

ニューヨーク原油先物相場は反発。11月の米景気先行指数が高 い伸びを示し、来年の景気回復の継続と燃料需要の拡大を示唆したた め、買いが入った。景気先行指標総合指数は過去8カ月で最大の伸び。

12月の独企業景況感指数が市場予想に反して上昇し、過去最高 を記録したことも原油の支援材料となった。米石油協会(API)が 17日発表した統計によると、11月の米燃料消費は前年同月比

6.5%増加した。

コンサルティング会社、プレステージ・エコノミクス(テキサス 州オースティン)のジェイソン・シェンカー社長は「現在、世界と米 国内の経済成長見通しが原油相場の材料となっている。このように強 い景気先行指標は明るい成長見通しを一段と裏付けている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物1月限は前日 比32セント(0.4%)高の1バレル=88.02ドルで終了した。週 間では0.3%高、年初からは11%上昇している。

◎欧州株:下落、債務危機を懸念-アイルランド銀安い

欧州株式相場は下落。欧州連合(EU)各国の首脳が危機管理メ カニズム創設で合意したものの、一部ユーロ加盟国が債務返済困難に 陥るとの懸念を取り除けなかった。

約2年ぶり大幅安となった英製薬メーカーのアストラゼネカを中 心にヘルスケア銘柄が下落。銀行株も総じて安く、アイルランド銀行 は1週間ぶり安値を付けた。

一方、ドイツのビジネス管理ソフトメーカー、SAPは上昇。同 業の米オラクルの利益が市場予想を上回ったことが買いを誘った。仏 コンピューターサービス企業、キャップ・ジェミニは1.8%上げた。 技術コンサルティング会社、米アクセンチュアの今四半期の売り上げ 見通しがアナリスト予想を上回ったことが好感された。

ストックス欧州600指数は前日比0.4%安の276.42で終了。 前週末比ではほぼ変わらず。

アセナゴン(ミュンヘン)のチーフエコノミスト、マーティン・ ヒューフナー氏は、「欧州危機はまだ終わっていない」と述べ、「E U首脳会議の前日の決定は良いものだが、世界を変えることはできな い。格付けの引き下げや見直しを深刻に受け止めなければならない。 プラス面としては、ファンダメンタル面で良好な経済データと、好調 な企業業績がある」と続けた。

17日の西欧市場では、18カ国中12カ国で主要株価指数が下 落。アストラゼネカは6.7%下げた。アライド・アイリッシュ銀行 は1.1%、アイルランド銀は14%それぞれ下落した。一方、SAP は1.6%高となった。

◎欧州債:アイルランド国債が下落、格下げに反応

欧州債市場ではアイルランド国債相場が下落した一方、ドイツ国 債が買われた。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス がアイルランドの信用格付けを引き下げたことを背景に、欧州の債務 危機抑制への取り組みが難航するとの懸念が強まり、域内で最も安全 とされるドイツ国債に対する需要が高まった。

アイルランド国債とドイツ国債のスプレッド(利回り格差)は拡 大。欧州連合(EU)各国の首脳は危機管理メカニズムで合意したほ か、欧州中央銀行(ECB)が資本強化を決定した。

ムーディーズはアイルランド国債の格付けを「Aa2」から「B aa1」へと5段階引き下げた。格付け見通しは「ネガティブ(弱含 み)」にした。

この日はポルトガル国債も軟調。ポルトガルが支援要請する次の 国になるとの観測が広がったことが背景にある。

コメルツ銀行(フランクフルト)の債券ストラテジスト、クリス トフ・リーガー氏は「格下げの度合いはやや懸念材料だ」と述べ、ア イルランド国債の「投資家基盤はさらに失われる恐れがある。市場参 加者は不安を高めている」と続けた。

ロンドン時間午後3時40分現在、アイルランド10年債利回り は前日比22ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の

8.64%。ポルトガル10年債利回りは2bp上げ6.58%。

ドイツ10年債利回りは4bp低下の3.03%。同国債(表面利 率2.5%、2021年1月償還)価格は0.31ポイント上げ95.48。 アイルランド国債とのスプレッドは12bp拡大し534bp。11月 30日にはユーロ導入後最大となる680bpまで拡大した。

◎英国債:上昇、アイルランド格下げで質への逃避

英国債相場が上昇。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・ サービスがアイルランドの信用格付けを引き下げたほか、消費者信頼 感の悪化を背景に、安全資産とされる国債に対する需要が高まった。 週間ベースでは3週続落。

10年債利回りは、前日付けた7カ月ぶり高水準から低下した。 ムーディーズはアイルランド国債の格付けを「Aa2」から「Baa 1」へと5段階引き下げた。格付け見通しは「ネガティブ(弱含 み)」。ネーションワイド・ビルディング・ソサエティーのまとめに よると、11月の英消費者信頼感指数は1年8カ月ぶり低水準に落ち 込んだ。

ロイズTSB・コーポレート・マーケッツ(ロンドン)の債券ス トラテジスト、デービッド・ページ氏は、「アイルランド格下げに伴 う安全資産への資金移動から英国債相場は上昇した」と述べ、「質へ の逃避は続き、年末に向けて若干加速する可能性がある」と発言。 「英国が通貨と金融政策でユーロ圏よりも柔軟性を有しているとの認 識から、英国債は恩恵を受けている」とも語った。

ロンドン時間午後4時36分現在、10年債利回りは前日比6ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.6%。週間ベー スでの上げ幅は4bp弱。同国債(表面利率4.75%、2020年3月 償還)価格は0.48ポイント上げ109.28。前日は3.65%まで上 げ、5月20日以来の高水準を付けた。

2年債利回りは前日比3bp低下の1.20%。前週末10日は

1.10%だった。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 大塚 美佳 Mika Otsuka +1-212-617-5823 motsuka3@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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