【日本株週間展望】反落へ、円高警戒と短期過熱感-米景気回復支え

12月4週(20-24日)の日本株 は、反落が予想される。11月以降の株価上昇で米国経済の改善を急ピ ッチで織り込む中、為替の円高警戒やテクニカル分析上の短期過熱感 から相場を一段と買い上げる材料には乏しくなってきた。クリスマス 休暇で売買参加者も減少するとみられ、上値は重そうだ。

大和投資信託の長野吉納シニアストラテジストは、「米国景気の持 ち直しで投資家は相場先行きに楽観的になっている。この結果、いい 材料が出ても織り込み済みとなりそうな半面、悪い材料には過敏に反 応する可能性がある」と指摘。相場過熱感が強い間は、「しばらく放熱 期間が必要だ」と話している。

第3週の日経平均株価は、前週末比0.9%(91円)高の1万303 円。 週間ベースでは7週連続での上昇となった。米国景気は3週に入って も、小売売上高など改善を示す指標が続いた。16日には、12月フィラ デルフィア同地区製造業景況指数が上昇、11日までの1週間の新規失 業保険申請件数(季節調整済み)は前週比で、事前の増加予想に反し て減少した。「製造業の拡大ペースの持ち直し、雇用情勢の緩やかだが 着実な改善を示した」と、シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコ ノミストは言う。

第4週の米国では、22日に7-9月期の国内総生産(GDP、確 定値)や11月の中古住宅販売件数、23日には11月の個人所得・消費 支出や耐久財受注、新規失業保険申請件数など重要統計の発表が予定 されている。前期比年率2.5%だった改定値が2.8%増に上方修正され そうなGDPをはじめ、おおむね良好な結果となりそう。住宅につい ても、「よほどひどくなければ、不安が高まらないだろう」と大和投信 の長野氏は予想する。

上位快走の日本株

16日のダウ工業株30種平均は2008年9月8日以来の高値となっ たが、堅調な米景気、米株式相場が追い風となって海外景気依存度の 強い日本株も依然として上昇基調にある。11月から12月16日までの 世界主要84指数を比較すると、日経平均はモンゴルやロシアなどに次 ぐ上昇率8位(12%)で、主要先進国ではトップの好成績となってい る。米S&P500種株価指数は15位(9.6%)。

しかし、好成績を続ける裏返しとして、相場の過熱感はぬぐえな い状況だ。東証1部の値上がり、値下がり銘柄数の百分比を示す騰落 レシオ(25日平均)は17日時点で145%。遡及(そきゅう)可能な 1970年以降の最高記録(大和証券キャピタル・マーケッツ調べ)だっ た9日の163%からは低下したものの、なお通常の相場のピークとな る120-130%を上回る。

また、米景気動向を表すことから日本株と連動性の強い米10年債 利回りは、足元で上昇の勢いがやや鈍化。三菱UFJモルガン・スタ ンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは、「足元の金利上昇 はファンド勢が年末や特別清算値(SQ)算出を控えてポジション(持 ち高)を閉じるための損失確定売りの需給的な色彩が強かった」とし、 その勢いはピークを過ぎつつあると見ている。米金利上昇の一服は、 為替面でドル安・円高再燃への懸念につながりかねない。

時価総額上位敬遠、個別選別に

第4週は、23日が天皇誕生日で東京市場が休場となるほか、24 日 はクリスマスイヴで米国など欧米株式市場も休場の予定。東海東京調 査センターの隅谷俊夫投資調査部長は、「週後半はクリスマス休暇に入 る市場参加者が多く、利益確定売りに押されて米ダウは一目均衡表の 転換線(1万1423ドル)を割り込む可能性がある」と分析。そうなれ ば、1万1200ドル台が下値めどになるという。

海外株安懸念や、11月以降の日本株上昇を主導した海外投資家の 不在から、東京市場でも時価総額上位銘柄は手掛けづらく、個人投資 家を中心に材料銘柄に対する選別投資色が強まりそうだ。

日本株全体の上値は重い半面、米景気の改善基調を支えに大きな 調整へ向かう可能性も少ないとみられる。株価上昇をけん引してきた 輸出関連株の動きは鈍くなってきたが、このところ金融株などは堅調 で、出遅れ株を循環的に買い上げる姿勢が垣間見える。市場全体の底 上げ機運は強く、日経平均の下値めどは25日線の1万97円、心理的 節目の1万円あたりが想定され、過熱感の調整は値幅より日柄調整に なる公算が大きそうだ。

このほか、日本株に影響を与えそうな材料では、20日から21日 の予定で日本銀行の金融政策決定会合が開催される。指数連動型上場 投信受益権(ETF)や不動産投資法人投資口(J-REIT)など を5兆円購入する資産購入等基金などの包括的な金融緩和策について、 21日の総裁会見でどのような見解を示すのかが注目される。

【市場関係者の日本株の見方】 ●マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジスト

こう着感は強いが、銀行や新興銘柄など出遅れ業種や銘柄が買わ れ、相場は着実に値を切り上げている。限られた一部の銘柄が買われ るのではなく、物色が広がっており、好循環だ。海外勢はクリスマス 休暇に入るが、TOPIXは16日の取引で一時昨年来プラスとなった。 日経平均もキャッチアップし、年末にかけて12月SQ値1万420円を 上回り、1万500円を目指す掉尾(とうび)の一振となろう。

●オフィスセントポーリアの馬渕治好代表

外国人投資家の年内のポジションはほぼめどが付いているようで、 投資家サイドの大きな動きは考えづらい。上にも下にも動きにくい状 況だが、大納会が迫るにつれ、来年の日本株上昇を織り込みにいくだ ろうから、日経平均は1万円台の後半を目指すのではないか。11 年の 日経平均は前半が1万-1万2500円、後半は1万500-1万3500 円 のレンジを予想している。

●日興コーディアル証券国際市場分析部の小林久恒次長

米国で緩やかな景気回復期待が出てくる中、米金融当局は腰の入 った緩和政策を続ける姿勢を示しており、株式市場から資金が流出し づらい環境になってきた。もっとも、11月以降の株価上昇は需給相場 の色彩が濃く、目先は一段の力強い上げは望み難い。最大のリスク要 因は米金利動向。仮に米金利の上昇が加速すると、米住宅市場の低迷 が長引くとの警戒感から米国株が下げ、日本株も悪影響を受ける。

●立花証券の平野憲一執行役員

最近の株価を下支えしている外国人買いがどうなるかが注目だ。 騰落レシオは調整すべき時期になっているが、実際は調整していない。 上値を追いにくい状態なのに、下値がないのは外国人買いが粛々と入 っているから。この流れがしばらく続くとみられるが、クリスマス休 暇などで海外投資家のエネルギーが減少するもよう。また、21日の日 銀政策決定の会見内容が失望する内容であれば、調整もあり得る。日 経平均は1万-1万500円を予想。

--取材協力:常冨浩太郎、鷺池秀樹、河野敏、岩谷多佳子 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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