政府:中国の動向懸念、南西諸島の防衛強化-大綱・中期防

政府は17日、新たな「防衛計画 の大綱」を閣議決定した。中国の軍事動向を「地域・国際社会の懸念 事項」と指摘しているのが特徴で、同時に決定した「中期防衛力整備 計画」(2011-15年度)では、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を新たに配 置するなど南西諸島の防衛態勢を強化する方針を打ち出した。

おおむね10年後までの日本の防衛力整備の在り方を示した大綱の 策定は6年ぶりで民主党政権下では初めて。中期防は大綱に基づき、 当面の5年間で進める内容を盛り込んでいる。

大綱は中国について「国防費を継続的に増加し、核・ミサイル戦 力や海・空軍を中心とした軍事力の広範かつ急速な近代化を進めてい る」と分析。こうした動向は「軍事や安全保障に関する透明性の不足 とあいまって、地域・国際社会の懸念事項となっている」と明記した。

仙谷由人官房長官は閣議後の記者会見で、決定した防衛大綱と中 期防の意義について「海洋国家として全体的に海に守られた環境を効 果的に防衛の態勢を取る。国民の安心感、安全のためにもどのような 態勢を構築するかという問題意識だ」と指摘。中国については「年々、 不透明な形で軍事費が増大しているとか、一年間でも抗議や申し入れ をしなければならないような事態が出ているとかがある。これは懸念 材料であるという基本認識だ」と語った。

中期防では①南西地域の島しょ部に、陸上自衛隊の沿岸監視部隊 を新編し配置②1個飛行隊が配置されている航空自衛隊那覇基地に戦 闘機部隊1個飛行隊を移動させ、2個飛行隊態勢に増強③移動警戒レ ーダーを南西地域の島しょ部に展開-することなどを盛り込んだ。

一方、焦点となっていた武器輸出3原則の見直しは大綱には明記 されなかった。ただ、武器の国際共同開発・生産への参加について 「装備品の高性能化を実現しつつ、コストの高騰に対応することが先 進諸国で主流になっている。このような大きな変化に対応するための 方策について検討する」と指摘し、今後の課題として位置付けた。

仙谷氏は閣議後会見で、大綱と中期防の決定に当たり官房長官談 話を発表。武器輸出3原則については「国際紛争などを助長すること を回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、こ の基本理念は引き続き堅持する」と語った。

これに対し、日本経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)は防衛 大綱について「防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策に ついての検討が盛り込まれたのは前進であり、防衛装備品の国際共同 開発・生産への参加が可能となるよう、武器輸出3原則などの具体的 な見直しを求めたい」と評価するコメントを文書で発表した。

防衛大綱は陸上自衛隊の編成定数を現在の15万5000人から1000 人削減して15万4000人とするほか、戦車の保有を約600両から約 400両に削減。これに対し、護衛艦を47隻から48隻、潜水艦を16隻 から22隻に増やす方針も明記した。護衛艦のうち、弾道ミサイル防衛 に対応できるイージス・システム搭載護衛艦を4隻から6隻に増強す る。

--取材協力:小笹俊一 Editor: Kenshiro Okimoto,Keiichi Yamamura, Junko Hayashi

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