ユーロ上昇、米金利低下で一時1.33ドル台回復-ドル・円83円後半

東京外国為替市場ではユーロが 対ドルで上昇。米債利回りの低下を背景にユーロ買い・ドル売りが優勢 となった海外市場の流れが続いた。16日から始まった欧州連合(EU) 首脳会議は、恒久的な危機管理メカニズムの2013年創設に向けた条約 修正の文言で合意した。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.32ドル台前半から一時、1.3327 ドルまでユーロ高が進行。ただ、その後は米格付け会社ムーディーズ・ インべスターズ・サービスがアイルランドの格下げを発表したことを受 け、再び1.3300ドルを割り込む場面も見られている。

ユーロ・円相場も1ユーロ=111円台前半から一時、111円85銭 までユーロが上昇。一方、ドル・円相場は1ドル=84円ちょうど前後 から一時、83円79銭までドル売りが進んだ。

野村証券金融市場部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターは、 「ユーロ全体に対するリスクについてのコメントなどでユーロが買われ たり売られたりするなかで、ベースは米金利上昇によるユーロ売り・ド ル買いで、持ち高がややユーロ・ドルのショート(対ドルでのユーロ売 り持ち)に傾いていた」と説明。ユーロ買い戻しの背景には、前日から 米金利が多少低下していることもあるとしたうえで、「年末に向けては 持ち高の解消が中心になっていくだろう」と語った。

危機管理メカニズム

オーストリアのファイマン首相は16日、EU首脳会議が開かれた ブリュッセルで記者団に対し、2年余り先の実施に向けて危機管理メカ ニズムのコンセンサスが形成できたことで「市場は間違いなく沈静化」 に向かうはずだと語った。

一方、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ル クセンブルク首相兼国庫相)は、EUの首脳が欧州金融安定ファシリテ ィー(EFSF)の規模を拡大しないことで一致したと明らかにした。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、欧州の債務問題に 関しては根本的な解決は見込みにくいものの、一応、救済スキームがで きつつあるということで、「マーケット全体の安定化につながっている 」と指摘。欧州中央銀行(ECB)も資本増強で域内の債務危機に備え る姿勢を示しており、米金利上昇の一服感も相まって、目先はユーロ 安・ドル高の進行に「歯止めがかかる」と話していた。

もっとも、バークレイズ銀の山本氏は、「今ある基金が足りないか もしれないというのが問題で、そこがクリアされればかなり大きなユー ロの支援材料になるが、不十分な規模で恒久化してもあまりいい材料に はならない」と主張。また、ECBの資本増強も、将来的な国債購入余 力を高める可能性はあるものの、「ウェーバー独連銀総裁などの購入慎 重姿勢が変わるわけではなく、これですぐにユーロをどんどん買うこと にはならない」と指摘している。

ECBは16日、資本をほぼ倍に増やすと発表した。ソブリン債危 機対応で実施しているポルトガルやアイルランド国債購入によって生じ 得る損失に備え、資本基盤を強化する。一方、国際通貨基金(IMF) 理事会は同日、アイルランド向けの融資225億ユーロ(約2兆5000億 円、期間3年)を承認した。

米金利

米下院本会議は、ブッシュ政権時代の所得税減税をすべて2年間延 長する法案を賛成277、反対148の賛成多数で可決した。オバマ大統 領の署名を経て成立する。

野村証券の高松氏は、「減税法案の通過を受け、米金利は再び上が りそうだが、今のところ反応は限定的だ。ただ、米債に関してはレベル 感で買ってくるプレーヤーがいないので、金利が上がり続けることもあ り得るだろう。年末までに金利がどこで上げ止まるかが注目だ」と語っ た。

米国市場では、オバマ大統領がブッシュ減税の延長に同意した6日 以降、景気下支え期待や財政悪化懸念を背景に国債相場が大幅に下落 (利回りは上昇)している。

16日にはフィラデルフィア連銀製造業景況指数などの上振れを手 掛かりに、米10年債利回りが一時、3.56%と7カ月ぶりの水準まで上 昇。ただ、ムーディーズによるギリシャの格下げ方向での見直しを懸念 して、その後低下し、日本時間17日午後には3.40%を割り込んでい る。

ムーディーズはアイルランドの信用格付けを「Aa2」から「Ba a1」に引き下げた。格付け見通しはネガティブ(弱含み)とした。

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