クイズ全正解で有給休暇丸々1年、不景気でも異例の待遇-未来工業

丸々1年間の有給休暇--。これ が岐阜県に本社を置く未来工業が来年2月の社員旅行中に実施するク イズに全問正解した社員に与える褒賞だ。景気低迷下、厳しい雇用情 勢を横目に、異例の福利厚生で社員を遇する。

社員旅行はエジプトに4泊6日を計画。全社員の約65%に当たる 500人前後が参加し、経費は総額1億円にのぼる。クイズは、例えば 「ツタンカーメンの黄金のマスクはどこに展示されているか?」 などで、全50問に写真付きの解答を求められる。うち49問は既に社 員食堂に張り出されているという。

開発部所属で今回の旅行と褒賞を企画した一員である石井隆之氏 は「クイズが難し過ぎて可能性がなければ面白くないでしょう」と述 べ、5人程度の全問正解者を予想する。対象者には1年間の有給消化 後も職位や待遇、福利厚生などの現状復帰を保証する。

プライスウォーターハウスクーパースの人事・チェンジマネジメ ントの吉田健之統括パートナーは、有給1年は極めて異例だと前置き した上で、「面白い企画で心理的な壁がなくなり、仕事上の情報共有 がうまくいっている」と評価した。「このような企業文化が製品力 に影響、面白さや楽しさが人事に影響し、みんなで助け合うファミリ ー的企業文化を築き上げている」と分析した。

未来工業は主にスイッチボックスなどの電気配線設備資機材を製 造。リーマンショック後の需要激減で前期(2010年3月期)に3割以 上の減益を経験したが、今期は純利益2.3倍増のV字回復を見込む。 顧客ニーズに素早く対応する製品の開発や改善スピードを武器にスイ ッチボックスの国内シェアは8割を維持、1965年の創立以来赤字にな ったことがないとしている。

前回はバンジーや男性エステも

厚生労働省によれば、2008年の派遣労働者数の41.6%は製造業に 就業している。また、完全失業率は厳しい雇用情勢を反映して10月ま で8カ月連続で5%を上回った。こうした中、未来工業は全社員を正 社員として雇用しているうえ、定年は70歳だ。年間休日数は日本平均 (106.4日、10年)を大きく上回る140日、平均年収も日本人民間平均 (406万円、 09年)を上回る600万円だ。残業も基本的に全面禁止だ という。

創立者の山田昭男氏は「社員は大切な人財だ。発想は規則で縛ら れた環境からではなく、ゆとりから生まれる」と語る。同社は06年に も社員旅行でオーストラリアを訪れ、会社設立40周年を記念して40 種類の企画を実施した。社員はくじで当たれば、バンジージャンプや 男性社員でもエステを体験した。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所で労務に詳しい今津幸子弁 護士は未来工業について、「残業することが美徳とされている日本社会 が見習うべき姿だと思う」と評価した。一方で、「福利厚生が手厚過ぎ ても社員は甘えてしまうので、手加減が難しいところだ」とも指摘し た。

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