ドル84円前半、米経済指標を見極め-スペイン入札控えユーロ上値重い

東京外国為替市場では、ドルが1 ドル=84円台前半を維持して底堅く推移した。目先は良好な米国の経 済指標などを背景とした景気回復期待がドルの下支え要因となった。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の伊庭剛バイスプレ ジデントは、足元の米景気は「そんなに悪くない」といった状況の中 で、金利先高観が強くなってきており、「あまりドルを売るような感じ ではない」と説明。ただ、クリスマス休暇を来週に控えて、市場の商 いが薄くなる中で、しっかりとした相場の方向感は出にくく、需給動 向や短期的な材料に振らされやすい面もあるとしている。

前日の海外市場で一時84円51銭と、9月24日以来のドル高値を 更新したドル・円相場は、この日の東京市場で国内輸出企業のドル売 り需要を指摘する声もあり、84円39銭を上値に84円15銭まで水準 を切り下げる場面も見られた。午後の取引は午前に形成された値幅24 銭のレンジ内でこう着感が増し、午後3時50分現在は84円26銭付近 で取引されている。

この日の海外時間には、新規失業保険申請件数や11月の住宅着工 件数などの米指標の発表が控えているほか、欧州連合(EU)首脳会 議が開かれる。

米金利動向を見極め

ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想によると、12月11 日までの1週間の米新規失業保険申請件数は42万5000件と、前週の 42万1000件からわずかに増加が見込まれている。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、前日の一部指 標で雇用の悪さが確認されているだけに、他の指標と比べて回復基調 が「ついてきてない」との見方が強まれば、金利上昇・ドル高の流れ に調整が入る可能性もあるとみている。

ニューヨーク連銀が15日に発表した12月の同地区の製造業景況 指数は10.6と、前月のマイナス11.1から上昇。ブルームバーグ・ニ ュースがまとめた市場予想の5(中央値)も大きく上回った。しかし、 雇用はマイナス3.4(前月は9.1)に低下し、1年ぶりの縮小を示して いた。

前日の米国債市場では10年債の利回りが一時3.56%と、5月13 日以来の水準まで上昇する場面が見られていたが、アジア時間の取引 では伸び悩む展開となっている。

また、米上院は15日、オバマ大統領と共和党の間で合意が成立し た8580億ドル(約72兆円)規模の減税延長法案を賛成81、反対19 で可決。法案は下院に送付され、民主党指導者は16日に採決に持ち込 む可能性が強い。

減税延長による景気刺激が期待される一方で、前日の米株式市場 では、米金利高の影響を嫌気した売りも指摘されている。NTTスマ ートトレードの工藤隆市場情報部部長は、減税の延長について「財政 赤字の拡大懸念に市場が注目し始めると、リスク回避の動きにつなが る可能性がある」とみている。

スペイン入札やEU首脳会議を警戒

一方、前日には格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サー ビスがスペインの信用格付け「Aa1」を引き下げ方向で見直すと発 表。スペイン政府は16日に、今年最後の国債入札を計画しているが、 同国がギリシャとアイルランドに続き救済要請に追い込まれるとの懸 念がくすぶっている。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、ユー ロについて、スペインの格下げ懸念を引きずっているとした上で、「ポ ルトガルぐらいは救済などといった話になるのかもしれないが、スペ インとなるとスケールが違う。そうした話がくすぶっている限り、ユ ーロは重たい」と指摘した。

ポルトガル政府が15日に実施した入札は不調に終わり、同国債相 場は8営業日続落。ドイツとの10年債利回り格差は拡大している。

そうした中、16日から2日間の日程で欧州連合EU首脳会議が開 かれる。EUのファンロンパイ大統領は15日に電子メールで公表され た首脳会議招集の書簡で、「2013年1月1日の発効に向けEUと各国 政府の両方のレベルで手続きをできる限り早急に開始するために、こ の首脳会議で草案段階の合意に達することが必要だ」との見解を示し ている。

東京市場のユーロ・ドル相場は午後の取引でユーロが下値を切り 下げ、一時は1ユーロ=1.3207ドルと、3営業日ぶりの安値を付けて いる。午後3時50分現在は1.3224ドル近辺で推移。ユーロ・円相場 は前日の海外市場で一時1ユーロ=111円23銭と、2営業日ぶりのユ ーロ安値を付け、東京市場で111円53銭まで値を戻した後、同時刻現 在は111円42銭付近で取引されている。

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