12月16日の海外株式・債券・為替・商品市場(Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドルは下落、欧州首脳会議が債務問題を協議

ニューヨーク外国為替市場ではドルがほとんどの主要通貨に対し て下落。欧州連合(EU)内では域内金融危機に対する広範な方策を めぐり意見が分かれるなか、EU首脳会議が2日間の日程で開催され ている。

ドルはユーロに対して下落。EU首脳会議は恒久的な危機管理メ カニズムの2013年創設に向けた条約修正の文言で合意した。ドル は円に対しても値下がり。米国債利回りが1カ月ぶりの大幅低下とな り、米国資産の需要が減退したことが背景。

ナショナル・バンク・オブ・カナダの外為担当マネジングディレ クター、ジャック・スピッツ氏(トロント在勤)は、「米国債利回り の低下に伴いドルが売られている」と指摘。「ドル・ロング(買持ち) をじりじりと解消する動きが広がった」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時37分現在、ドルはユーロに対して前 日比0.2%安の1ユーロ=1.3243ドル(前日は1.3214ドル)。 ドルは円に対して0.3%安の1ドル=84円ちょうど(同84円24 銭)。ユーロは円に対してほぼ変わらずの1ユーロ=111円27銭。

米10年債利回りは前日比で一時11ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)低下の3.42%と、日中取引では11月16日以 来の大幅な下げとなった。これより先には3.56%と、5月13日以 来の高水準を付ける場面もあった。

EUサミット

EU首脳会議では、ポルトガルとスペインへの債務懸念の波及を 防止する措置をめぐって意見の相違が広がった。欧州によるギリシャ とアイルランド向けの支援で最大の拠出国のドイツは、ユーロ圏の 「防衛が不可欠な場合に」金融支援を認め、将来の救済コストの一部 を債券保有者に負担させる可能性のあるメカニズムの創設について合 意を推進した。

ドイツのメルケル首相は、現行7500億ユーロ(約83兆円) の欧州金融安定基金の規模拡大や運用面で柔軟性を高める可能性を否 定した。

バークレイズの通貨ストラテジスト、アループ・チャタジー氏 (ニューヨーク在勤)は「これまでに発表された声明に基づくと、ユ ーロ圏共同債の構想といった一段と急進的な変化については協議され ないだろう」と指摘。「みんなが大変革を支持しているわけではない ことは確かだ」と述べた。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ギリシャの現地通 貨および外貨建て国債格付けを引き下げ方向で検討すると発表した。 現在の格付けは「Ba1」。

国際通貨基金(IMF)はこの日、アイルランド向け225億ユ ーロの融資(期間3年)を承認したと発表した。

米経済指標

フィラデルフィア連銀が発表した12月の同地区製造業景況指数 は24.3と、前月の22.5から上昇した。同指数はゼロが拡大と縮 小の境目を示す。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト 調査の予想中央値は15だった。

米労働省が発表した11日に終わった1週間の新規失業保険申請 件数(季節調整済み)は前週から3000件減少して42万件。前週 は42万3000件(速報値は42万1000件)に修正された。

米商務省が発表した11月の住宅着工件数(季節調整済み、年率 換算、以下同じ)は前月比3.9%増の55万5000戸となった。前 月は53万4000戸と、速報値の51万9000戸から上方修正され た。

UBSの為替ストラテジスト、アメリア・ブルドー氏は「フィラ デルフィア連銀の景況指数は市場予想よりも強い内容だった」と指摘。 「仕入れ価格指数の急上昇はインフレ加速を意味している」と述べた。

◎米国株:上昇、失業保険申請の減少や住宅着工増を好感

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は2008年9月以来 の高水準をつけた。朝方発表された週間失業保険申請件数が予想外に 減少したほか、住宅着工件数の増加が好感された。

アルミ生産のアルコアを含む製鉄メーカーが上昇。米2位の証券 取引所を所有するナスダックOMXグループも高い。同社はドバイ取 引所から自社株を買い戻すことで合意した。一方、決済ネットワーク のビザとマスターカードは大幅下落。連邦準備制度理事会(FRB) がデビットカード決済手数料に新たな制限を提案したのが嫌気された。

S&P500種株価指数は前日比0.6%上げて1242.87。ダウ 工業株30種平均は41.78ドル(0.4%)上昇し11499.25ドル。 2008年9月8日以来の高水準。

シマング・キャナル・トラストの上級投資責任者、トム・ワース 氏は「発表された経済統計は景気改善を示す内容だ」と述べた上で、 「景気は上向いているわけではないが、安定した成長軌道にある」と 続けた。

失業保険申請件数

米労働省が発表した11日に終わった1週間の新規失業保険申請 件数(季節調整済み)は前週から3000件減少して42万件。ブル ームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は42万 5000件への増加だった。

米商務省が発表した11月の住宅着工件数(季節調整済み、年率 換算、以下同じ)は前月比3.9%増の55万5000戸となった。ブ ルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は55 万戸だった。前月は53万4000戸と、速報値の51万9000戸か ら上方修正された。

米投資会社ブラックロックのロバート・ドール副会長は、S&P 500種株価指数は来年末までに約10%値上がりし、1350あたりを つける可能性が高いと指摘する。景気改善や企業利益の拡大がその理 由だ。同氏はさらに、債券利回りの上昇が株価に打撃を与えるとは考 えていないと述べた。

アルコアは3.6%高。ダウ工業株30種平均銘柄で最大の値上 がりだった。AKスチール・ホールディングやスチール・ダイナミク スも高い。

デビットカード決済手数料

FRBは16日、ウェブサイトで発表した文書で、デビットカー ドの決済処理手数料についての規制案を発表。同案の中には、決済処 理1件につき手数料を最大12セントに制限しているものもある。現 在の手数料は平均約1%となっている。

ビザは13%安。マスターカードも10%下落と、2009年1月 以来で最大の値下がりとなった。

小荷物輸送のフェデックスは上昇。フェデックスの9-11月 (第2四半期)決算は利益がアナリスト予想を下回ったが、通期の利 益予想を引き上げた。

カジノ会社のラスベガス・サンズは7.1%高。モルガン・スタ ンレーは、アジアで事業拡大を続ける同社は今、株安の後で買いの好 機だと述べた。同社株は今月2日から前日まで18%下落した。

同業のウィン・リゾーツも上昇。JPモルガン・チェースは、ウ ィンの株式投資判断を「ニュートラル」から「オーバーウエート」に 引き上げた。

◎米国債:上昇、10年債高利回りで妙味-欧州危機も支援

米国債相場は1カ月ぶりの大幅高となった。10年債利回りが7 カ月ぶり高水準付近で推移していたことから、投資家を引き寄せた。 欧州ではソブリン債危機が悪化しつつある兆候が示された。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがギリシ ャの格付けを引き下げ方向で見直すと発表したことを受け、利回りは 低下。朝方の米経済統計では、フィラデルフィア連銀の製造業景況指 数は市場予想を上回り、新規失業保険申請件数は小幅ながら減少。ま た住宅着工件数は増加した。これらを手掛かりに利回りは早い段階で 上昇していた。米国債のボラティリティ(変動性)はここ1年余りで 最も高まった。

グッゲンハイム・パートナーズの米政府トレーディングディレク ター、ジェーソン・ローガン氏は「欧州からはなおも懸念材料が続い ており、米国債相場を支援する形となっている」とした上で、「年末 に向けて投資家がポジションを縮小するため、ボラティリティは高ま り、流動性は低下する。相場の動きはかなり不安定になるだろう」と 続けた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時11分現在、10年債利回りは前日比9ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下の3.45%。同年債(表面利率

2.625%、2020年11月償還)価格は23/32上げて93 5/32。

10年債利回りは一時11bp低下と、11月16日以来の大幅な 下げとなった。それより早い段階では3.56%と、5月13日以来の 高水準を付ける場面もあった。2年債利回りは3bp低下し0.65%。 一時0.69%と、6月23日以来の高水準まで1bp以内に迫った。

米国債のボラティリティ

償還年限2-30年の米国債の店頭オプション価格を基にしたボ ラティリティの指数であるバンク・オブ・アメリカ(BOA)メリル リンチのMOVE指数は前日、125.20と、2009年9月以来の高 水準を付けた。

ブルームバーグのデータによれば、10年債利回りの相対力指数 (RSI、期間7日)は3日連続で70を上回った。同指数が70以 上になると、利回りが低下する可能性がある。

トラディション・アシール・セキュリティーズのブローカー、ポ ール・ホルマン氏(ニューヨーク在勤)は「相場は、心地良いと感じ られる利回りの水準を見つけ出そうとしている」と分析。「魅力的と 思え始める水準付近にはあるが、売りの動きが強いことを踏まえ、誰 も手を出し過ぎないようにしている」と述べた。

ムーディーズがギリシャの現地通貨および外貨建て国債格付け 「Ba1」を引き下げ方向で検討すると発表したことに反応し、米国 債は下げを消した。

ギリシャの見通し

ムーディーズは、債務を「持続可能な水準」に削減する同国の能 力や今年の歳入不足に対する懸念が今回の見直しの一部要因になった と説明。複数段階の格下げもあり得るとしている。

スペイン政府は16日に国債入札を実施。10年債の応札倍率は

1.67倍で、前回の11月18日の入札時の1.84倍を下回った。ム ーディーズは15日、スペインの格付け「Aa1」を引き下げ方向で 見直すと発表した。

◎NY金:続落、利益確定売りで2週間ぶり安値-終値1371ドル

ニューヨーク金先物相場は続落。2週間ぶりの安値をつけた。今 年は最高値更新を続けたため、投資家が利益確定に動いた。

金は年初から25%上昇。年間ベースで10年連続高に向かって いる。金現物に裏打ちされた上場投資信託(ETF)への投資が過去 最高に上ったことが背景にある。7日には1オンス=1432.50ドル と最高値を更新した。欧米で債務の膨張を背景に、価値保存手段とし ても金が買われた。

リンド・ウォルドック(シカゴ)の市場担当シニアストラテジス ト、アダム・クロフェンシュタイン氏は「金は守りに入っている。今 年は価格が大幅に上昇したため、多くの投資家が利益確定に動くだろ う」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 2月限は前日比15.20ドル(1.1%)安の1371ドルで終了した。 一時は1361.60ドルと、中心限月としては11月29日以来の安値 をつけた。

◎NY原油:反落、ドル上昇を嫌気-終値87.70ドル

ニューヨーク原油先物相場は反落。2週間ぶりの安値をつけた。 米新規失業保険申請件数が予想外に減少し、住宅着工件数が増加。こ れを背景にドルが強含んだため、売りが出た。

ドルが対ユーロでこの日の安値から反発、代替投資としての商品 の魅力が弱まり、原油は下落した。ドルは過去4週間で3.2%上昇 している。

PFGベストの調査部門バイスプレジデント、フィル・フリン氏 (シカゴ在勤)は「経済指標の好転はドル高につながるため、原油に は売り材料だ。経済指標の改善は必要な景気刺激策の減少を意味し、 それはドル高を意味する」と解説した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物1月限は前日 比92セント(1%)安の1バレル=87.70ドルで終了した。年初 からは11%上昇している。

◎欧州株:上昇、米経済指標を好感-エリクソンとダニスコが高い

欧州株式相場は上昇。過去9営業日で8日目の上げとなった。米 経済統計が予想を上回ったことから、同国の景気回復が軌道に乗って いるとの期待が高まった。

スウェーデンの無線通信ネットワーク機器メーカー、エリクソン は上昇。スベンスカ・ハンデルスバンケンが同銘柄の投資判断を引き 上げたことが買いにつながった。デンマークの食品素材メーカー、ダ ニスコは8-10月期業績が予想を上回ったことから買われた。

一方、英石油会社BPは1.4%下落。メキシコ湾の原油流出事 故に関連して環境関連法に違反したとして、オバマ米政権に提訴され たことが嫌気された。

ストックス欧州600指数は前日比0.4%高の277.59で終了。 この日の取引は方向性のない展開に終始した。業績改善に加え、米連 邦準備制度理事会(FRB)が景気刺激策として6000億ドル相当 の国債買い入れの方針を示したことや、欧州連合(EU)によるギリ シャとアイルランドの救済を背景に、同指数は年初来では9.3%上 げている。

UBSのエコノミスト兼資産配分ストラテジスト、ラリー・ハサ ウェー氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「欧州の財政問題に はある程度慣れつつある」と述べ、「それ以外では、とりわけ米国か ら数多くの良い材料がある。一連の根底を成すデータは引き続き改善 しており、これがリスク資産のパフォーマンスを支えるだろう」と続 けた。

米経済指標

米国では、住宅着工件数が11月に3カ月ぶりに増加に転じ、 55万5000戸となった。ブルームバーグがまとめたエコノミストの 予想中央値は55万戸だった。また、先週の失業保険申請件数は予想 に反して前週比で減少。米フィラデルフィア連銀管轄地区の製造業活 動は12月に前月比で拡大し、2005年4月以来の最高を記録した。

16日の西欧市場では、18カ国中10カ国で主要株価指数が上 昇。エリクソンは4.3%高、ダニスコは4.4%上げた。

◎欧州債:スペイン10年債が下落-入札で借り入れコストが上昇

欧州債市場ではスペイン10年債相場が下落し、同利回りは2週 間ぶり高水準を付けた。スペインの信用の質に対する懸念が高まる中、 この日行われた国債入札で同国の借り入れコストが上昇したことが響 いた。

経済データで米景気が回復しつつあることが示されたことを背景 に、ドイツ国債は米国債に追随して下落。独10年債利回りは5月以 来の高水準となった。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは前日、資 金需要に関する懸念などを理由に、スペインの信用格付けを引き下げ 方向で見直すと発表した。欧州連合(EU)の各国首脳はこの日、債 務危機の解決策を協議するため2日にわたる会合を始めた。

ウニクレディト(ミラノ)の債券ストラテジスト、ルカ・カツラ ーニ氏は、「スペインの資金調達コストは今回の入札で著しく上昇し た。スペインの信用の質が劣化したことを反映したとの認識で、同国 債にとって良い前兆ではない」と語った。

ロンドン時間午後4時現在、スペイン10年債利回りは前日比2 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の5.54%。同国 債(表面利率4.85%、2020年10月償還)価格は0.14ポイント 下げ94.86。ドイツ10年債利回りは4bp上昇し3.07%。

スペインは10年債と15年債で24億ユーロ(約2700億円) を調達した。目標上限は30億ユーロだった。10年債の平均落札利 回りは5.446%と前回の11月18日の入札時の4.615%を上回っ た。15年債の落札利回りは5.953%。前回10月の入札では

4.541%。

◎英国債:10年債続落,7カ月ぶり高利回り-インフレ連動債を入札

英国債市場では10年債相場が5営業日続落。同利回りは7カ月 ぶり高水準を付けた。英公債管理局(DMO)はこの日、2042年償 還のインフレ連動債を8億2500万ポンド発行した。

5日続落は10月以来の最長。10年債利回りは月初来で40ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇している。世界景気 への見通しから安全資産とされる英国債に対する需要が後退したこと が背景にある。

10年債利回り利回りは前日比1bp上昇の3.64%。一時は5 月20日以来の高水準となる3.654%を付けた。同国債(表面利率

4.75%、2020年3月償還)価格は0.85ポイント下げ108.67。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net ニューヨーク 大塚 美佳 Mika Otsuka +1-212-617-5823 motsuka3@bloomberg.net Editor:Tsuneo Yamahiro、Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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