12月15日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドルが上昇、欧州債務危機と米経済指標で買い

ニューヨーク外国為替市場ではドルがほとんどの主要通貨に対 して上昇。スペイン格下げの可能性を背景にユーロ圏の金融危機が拡 大しているとの懸念が再燃、安全通貨としてのドルに買いが集まった。

ドルはユーロに対して上昇。この日発表の米経済指標では、景気 回復が進行している一方、インフレは低水準にあることが示された。 ドルは円に対しては伸び悩んだ。投資家による持ち高解消が背景。カ ナダ・ドルもほとんどの主要通貨に対して上昇。11月の米鉱工業生 産指数が市場予想を上回る伸びとなったことが手掛かりになった。

みずほフィナンシャル・グループの米通貨セールス担当責任者、 ファビアン・エリアソン氏は、「欧州の債務をめぐる不安が続き、ユ ーロを圧迫している」と指摘。「全体的な欧州情勢と、その解決方法 が不透明だからだ」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時40分現在、ドルはユーロに対して前 日比1.1%高の1ユーロ=1.3235ドル(前日は1.3378ドル)。 ドルは円に対して0.7%高の1ドル=84円24銭。一時は84円 51銭まで値上がりする場面もあった。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は一時1.2%高と3日ぶりの高値となった。

対米証券投資

米財務省がこの日発表した10月の対米証券投資統計によると、 外国の政府と投資家の中長期金融資産取引額は外国人からみて276 億ドルの買い越しとなった。買越額は前月の772億ドル(速報値 810億ドル)から縮小した。ドルは10月に円に対して3.8%安、 ユーロに対しては2.3%下げていた。

欧州連合(EU)加盟国の首脳はユーロ圏の恒久的な債務危機対 応メカニズムを承認するため、16、17両日にブリュッセルで会議を 開催する。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはこ の日、スペインの信用格付け「Aa1」を引き下げ方向で見直すと発 表した。ギリシャやアイルランドに次いでスペインも救済を模索する 可能性があるとの懸念が強まるなか、スペインは16日に今年最後の 国債入札を予定している。

ムーディーズの試算によると、スペインは来年1700億ユーロ を調達する必要がある。地方政府の借り入れニーズは総額300億ユ ーロ、銀行のニーズは約900億ユーロになるという。その上で、ス ペイン救済が必要になる可能性は高くないと指摘した。

トラベレックス・グローバル・ビジネス・ペイメンツの市場アナ リスト、ジョー・マニンボ氏は、「ムーディーズのリポートはEU首 脳会議の前日に発表されたことで、ユーロの値動きはより抑制された ものとなった」と述べた。

ユーロの見通し

シティグループは、米国資産への需要が減退し国債が下落すれば、 ユーロはドルに対して来年は11%戻すとの見通しを示した。両通貨 が1970年代および90年代にみられた取引と同じような動きになる と予想した。70年代には住宅市場が最近と同様の落ち込みとなった ほか、90年代は債券相場が低迷した。

カナダ・ドルは米ドルに対して0.3%高。ユーロに対しては

1.3%上昇の1ユーロ=1.3288カナダ・ドルと、3日以来の高値 となった。

トロント・ドミニオン銀行のチーフ通貨ストラテジスト、ショー ン・オズボーン氏は、「カナダ・ドルは米経済指標の改善に伴う現在 の北米買い、北米売りのメンタリティーから恩恵を受けている。米国 にとって好ましいことは、多かれ少なかれカナダにとっても好ましい と受け止められている」と述べた。

11月の米鉱工業生産は、市場予想を上回る増加となった。コン ピューターや家電製品が伸びた。

米労働省が発表した11月の米消費者物価指数(CPI、季節調 整済み)は前月比0.1%上昇。ブルームバーグ・ニュースがまとめ たエコノミストの予想中央値は0.2%上昇だった。前月は0.2%上 昇。

◎米国株:下落、割高感で売り-金利コスト上昇を懸念

米株式相場は下落。S&P500種株価指数は7営業日ぶりに下げ た。前日までの連続高で、株価収益率(PER)が6月以来の高水準 に押し上げられたほか、債券の利回り上昇に伴い、借り入れコストの 高まりに対する懸念が広がった。

複合企業のゼネラル・エレクトリック(GE)、銀行のJPモル ガン・チェース、アルミ生産のアルコアはいずれも下落。ダウ工業株 30種平均の中でも特に大きく下げた。決済ネットワーク大手のビザ とマスターカードは米連邦準備制度理事会(FRB)との会合を16 日に控えて下落。会合では一部取引手数料の上限案が発表される可能 性がある。半導体メーカーも安い。米調査会社ガートナーが来年の半 導体設備投資は減少するとの見方を示したのが嫌気された。

S&P500種株価指数は前日比0.5%下げて1235.23。S& P500種のPERは前日終値時点で15.5倍と、過去6カ月弱の最高 だった。ダウ工業株30種平均は19.07ドル(0.2%)下落し

11457.47ドル。BGキャンター・マーケット・データによると、米 10年債利回りは最大5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 上げて3.53%。

ファースト・シティズンズ・バンクシェアーズのエリック・テ ィール最高投資責任者(CIO)は、「株式投資家は債券市場動向に 注目している」と述べ、「FRBが金利を低水準で抑えようと努力し ているにもかかわらず、市場参加者は借り入れコストの上昇を懸念し ている。欧州への懸念も強い。加えて、最近の株価上昇で、バリュエ ーション(株価評価)からみて中立水準に相場はある」と説明した。

S&P500種株価指数は、今年8月27日にバーナンキFRB議 長が国債購入プログラムの拡大を検討していることを示唆して以来、 これまでに18%値上がりした。FOMCは11月の会合後に6000億 ドルの追加国債購入プログラムを発表した。

NY連銀景況指数

ニューヨーク連銀が発表した12月の同地区の製造業景況指数は

10.6。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中 央値は5だった。同指数ではゼロが景況の拡大と縮小の境目を示す。

また、FRBが発表した11月の鉱工業生産指数(製造業、鉱業、 公益事業の生産を対象、季節調整値、2002年=100)は前月比

0.4%上昇となった。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想 中央値は0.3%上昇だった。

アルコア、ビザなど

アルコアは1.6%安。ダウ平均銘柄の中で最大の値下がりだった。 JPモルガンは1.4%下落。GEは1.1%安だった。

ビザは4.6%安。マスターカードは1.9%下落した。

半導体株は1%安。S&P500種業種別24指数の中で下落率で 3位だった。ガートナーによると、来年の半導体設備投資は1%減少 する見通しだ。今年は131%増の384億ドルと予想されている。

テレビのセットトップボックス向け半導体最大手、ブロードコム は1.5%下落した。

◎米国債:下落、景気回復の兆候でロングポジションの解消広がる

米国債相場は下落。10年債利回りは7カ月ぶり高水準となった。 景気回復の兆候から、ロング(買い持ち)ポジションを解消する動き が広がった。

また、オバマ大統領が同意した減税延長法案が議会を通過し、経 済成長の下支えや財政赤字の拡大につながるとの観測も国債を押し 下げた。前日は、米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委 員会(FOMC)で景気回復の継続を指摘したほか、6000億ドルの 国債購入プログラムを維持する方針を表明したことに反応し下落し ていた。

RBCキャピタル・マーケッツの米国債トレーディング責任者、 トーマス・トゥッチ氏は「債券市場は力強い経済成長シナリオを再び 織り込みつつある。ロングポジション続けている投資家もまだいる」 と指摘。「半年に及ぶ強気姿勢の解消だ。よって今後こうした大きな 売りが見られる時があるだろう」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後3時58分現在、10年債利回りは前日比4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の3.51%。同年債(表面利率

2.625%、2020年11月償還)価格は10/32下げて92 19/32。 利回りは一時3.56%と、5月13日以来の高水準を付けた。

30年債利回りは一時9bp上昇し4.62%と、4月29日以来の 高水準を付けた。2年債利回りはほぼ変わらずの0.66%。

米国債のボラティリティ

償還年限2-30年の米国債の店頭オプション価格を基にしたボ ラティリティの指数であるバンク・オブ・アメリカ(BOA)メリル リンチのMOVE指数は前日、118.40と、2009年10月以来の高 水準を付けた。

ニューヨーク連銀はこの日、14年4月から16年5月に償還を迎 える米国債67億8000万ドルを買い入れた。プライマリーディーラ ー(政府証券公認ディーラー)が差し出した額は131億1400万ドル だった。16年6月から17年11月が償還期限の国債を買い入れた13 日は、差し出した額は182億6800万ドルだった。

米連邦準備制度理事会(FRB)が15日に発表した11月の鉱 工業生産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季節調整値、 2002年=100)は前月比0.4%上昇となった。前月は0.2%低下 (速報は横ばい)に下方修正された。また労働省が発表した11月の 米消費者物価指数(CPI、季節調整済み)では、食品とエネルギー を除いたコア指数が前年同月比で0.8%上昇と、予想(0.6%上昇) を上回る伸びとなった。

シティグループのニューヨーク在勤金利ストラテジスト、ジョゼ フ・リアリー氏は「きょうはコアインフレ率が市場予想を上回った ほか、全体的に経済指標に改善が見られた。これが長期債には重しと なっている」と分析した。

実質利回り

投資家のインフレ期待を示す10年債と同年限のインフレ連動債 (TIPS)との利回り格差(ブレークイーブンレート)は2.33ポ イントと、5月5日以降で最大となった。

インフレ調整後の10年債の実質利回りは1.65%。過去20年間 の平均は2.65%となっている。

◎NY金:反落、ドル先高観から売り-終値1386.20ドル

ニューヨーク金先物相場は反落。ドルの上昇が続くとの観測を背 景に、代替投資としての需要が弱まった。

米経済指標が低インフレ下での景気回復を示唆したため、ドルは ユーロと円に対して上昇した。11月の消費者物価指数(CPI)は 前月比0.1%上昇。金は年初から26%上昇、7日には1オンス=

1432.50ドルと過去最高を更新した。

フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レ シュ氏(シカゴ在勤)は「経済活動が改善しているようで、それはド ルの地合いを強め、金には打撃となる。インフレ指標もやや金の悪材 料となった。インフレに備えて商品を買っているのなら、この日の指 標はその取引がまだ正しくないことを示唆している」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 2月限は前日比18.10ドル(1.3%)安の1386.20ドルで終了し た。

◎NY原油:反発、在庫急減で買い-終値88.62ドル

ニューヨーク原油先物相場は反発。原油在庫が2002年以来の大 幅な減少になったことを受け、買いが入った。原油輸入の減少と製油 所の生産増が在庫減の背景。

米エネルギー省によると、原油在庫は前週比985万バレル減の 3億4600万バレル。ブルームバーグの調査では250万バレル減少 が見込まれていた。輸入は15%減少し、08年9月以来の低水準。製 油所の稼働率は88%と、9月以降の最高となった。

オプベスト・ウェルスマネジメントの最高財務責任者(CFO) 兼シニア市場ストラテジスト、アンドレ・ジュリアン氏は「原油在庫 の数字はショッキングだ。米国では原油が短期的に不足しつつある。 この在庫統計を基にすると、価格は年末までに容易に1バレル=100 ドルに達する」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物1月限は前 日比34セント(0.4%)高の1バレル=88.62ドルで終了した。 終値としては7日以来の高水準。過去1年では25%上昇している。

◎欧州株:8日ぶり下落、スペインの格付け見直しで-銀行株が安い

欧州株式相場は反落。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・ サービスがスペインの信用格付けを引き下げ方向で見直すと発表し たことが背景にある。前日までは過去6カ月で最長の上げだった。

スペインのサンタンデール銀行とビルバオ・ビスカヤ・アルヘン タリア銀行(BBVA)が下げた。スペインの衣料小売り、インディ テックスは5.5%下げた。売り上げの伸び悩みが嫌気された。

製薬株が上昇したため、相場全体の下げは限定的となった。スイ スの製薬会社、ノバルティスが眼科製品の米アルコンの経営権を完全 把握すると発表したことが買いを誘った。

ストックス欧州600指数は前日比0.4%安の276.53で終了。 一時は0.7%下げた。中国の利上げ見送りや、米小売統計で世界景気 に対する楽観が高まったことから、同指数は前日まで7日続伸してい た。

BGCパートナーズのマーケットアナリスト、デービッド・ビュ ーイック氏(ロンドン在勤)は、「大きな不透明感が市場に広がった」 と述べ、「スペインは大きな国で、経済規模はギリシャとアイルラン ド、ポルトガルを合わせた2倍に相当する。ただ、相場は若干下落し ても、再び上昇するだろう」と続けた。

15日の西欧市場では、18カ国中10カ国で主要株価指数が下落。 スペインのIBEX35指数は1.5%下げた。ムーディーズは、スペ インの信用格付け「Aa1」を引き下げ方向で見直すことを明らかに し、同国政府が来年1700億ユーロを調達する必要があると指摘した。

サンタンデール銀は2.6%安、BBVAは2%下げた。

◎欧州債:ポルトガル債が8日続落、入札不調で-スペイン債は反発

欧州債券市場では、ポルトガル国債相場が8営業日続落。ポルト ガルがこの日実施した国債入札で、借り入れコストが上昇したことが 響いた。

スペイン国債は8営業日ぶりに上昇。同国債の10年物利回りは 2000年9月以来の高水準まで6ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)に迫った後、下げに転じた。格付け会社ムーディーズ・イ ンベスターズ・サービスがこの日、資金需要に関する懸念などを理由 に、スペインの信用格付けを引き下げ方向で見直すと発表した。スペ インは16日に今年最後の国債入札を実施する。ドイツ国債は前日か らほぼ変わらず。

コメルツ銀行の債券ストラテジスト、デービッド・シュナウツ氏 は電話で「ポルトガルには利回り上昇から隠れる場所はない。ストレ スの水準は極めて高い」と述べた。

ロンドン時間午後4時32分現在、ポルトガル10年債利回りは 前日比2bp上昇の6.57%。同国債(表面利率4.8%、2020年6 月償還)価格は0.12ポイント下げ87.75。ドイツ10年債利回りは 5月以来の高水準となる3.07%まで上げた後、ほぼ変わらずの

3.03%。

ポルトガル債券発行機関IGCPによると、2011年3月18日 償還の証券の平均落札利回りは3.403%。前回の11月3日の入札 では1.818%だった。応札倍率は1.9倍で、11月の2.2倍を下回 った。

スペイン10年債利回りは前日比7bp低下の5.49%。ムーデ ィーズの格付け見直しの発表を受け、一時は5.61%まで上昇した。

◎英国債:10年債下落、7カ月ぶり高利回り-インフレ懸念が台頭

英国債市場では10年債利回りが7カ月ぶり高水準付近で取引さ れた。イングランド銀行(英中央銀行)がインフレ抑制で難航すると の懸念が広がった。

この日発表された、11月の英国の失業者数は市場予想よりも小 幅な減少にとどまった。インフレ見通しの指標となる10年物ブレー ク・イーブン・インフレ率(BEI)は6カ月ぶり高水準に達した。 14日の経済統計で、英国のインフレ率が11月に政府目標上限の 3%を上回ったことがきっかけ。

RBCキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、サム・ヒ ル氏(ロンドン在勤)は、「債券相場がこのような急激なトレンドに ある場合、こうした流れを支援する要因に便乗するのは容易だ」と発 言。「経済データは緩やかな回復が続くことを示している」ことから、 イングランド銀から近い将来に「極端な政策を打ち出される公算は小 さいだろう」と続けた。

ロンドン時間午後4時28分現在、10年債利回りは前日比2ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.62%。一時は5 月20日以来の高水準となる3.65%を付けた。同国債(表面利率

4.75%、2020年3月償還)価格は0.18ポイント下げ108.80。 5年債利回りは4bp上げ2.35%。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor:Tsuneo Yamahiro 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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