中国のインフレは「岩盤」厚く、利上げ6回・3年物オペも-みずほ総

みずほ総合研究所中国室の鈴木 貴元上席主任研究員は、中国のインフレは天候などに左右されない「岩 盤」の厚みが増しており、当局は預金準備率の引き上げ余地が縮小する 中、2011年末までに5-6回利上げすると見ている。世界的な金融危 機の前に用いた3年物の資金吸収オペ(公開市場操作)を復活させる可 能性もあるという。

鈴木氏は、北京五輪や米リーマン・ショック前の08年6月から上 海に駐在し、今月帰国した。15日のインタビューでは、中国の金融政 策では「窓口指導と預金準備率による量的な操作が主流」だが、預金準 備率は20%に迫っており「いずれ利上げが避けられない」と分析。 「来年末までに1.5%ポイント程度、利上げしてもおかしくない」と語 った。経済全体に影響が及ぶ利上げは金融危機後の超金融緩和を是正す るのが狙いで、景気を冷やすほどの引き締めには至らないと述べた。

中国の景気過熱抑制策は「複数の政策手段を組み合わせ、総合的に 取り組むのが特徴だ」とも指摘。期間がやや長めの余剰資金を吸収する ため、07年に実施した一部大手銀行向けの3年物オペを用いる公算も あると予想した。鈴木氏によると、中国の短期金融市場では預金準備率 の度重なる引き上げで、安定的に預金が流入する大手4、5行以外は皆 、資金の取り手となっている。実際、短期金利が急騰し、市場が不安定 化する場面も散見される。

インフレ加速、高まる不満

中国人民銀行(中央銀行)は10日、市中銀行の預金準備率を20 日付で0.5%ポイント引き上げ18.5%とした。引き上げは5週間で3 回目。一部大手行のみに対する分を除いても、今年6回目だ。10月に は07年12月以来となる利上げに踏み切った。11月の消費者物価指数 (CPI)は前年比5.1%上昇。08年7月以来2年4カ月ぶりの高さ となった。政策金利については、1年物貸出金利は5.56%だが、同預 金金利は2.5%にとどまり、インフレ率を下回っている。

人民銀の調査によると、物価水準についての消費者の満足度は10 -12月に1999年以来最も低くなった。価格が高過ぎるとの回答は

73.9%を占め、前期(7-9月)を15.6ポイント上回った。

胡錦濤国家主席や温家宝首相らが経済政策の基本方針を議論した中 央経済工作会議は12日、来年は経済の発展方式の転換を加速するとと もに、物価安定に重点を置くと約束した。ただ、国務院発展研究センタ ーの余斌マクロ経済研究部長は14日、来年のインフレ率が4%を若干 上回る可能性があると発言。中央テレビ局(CCTV)は、政府が来年 のインフレ率目標を4%、成長率目標を8%に設定したと報じた。

鈴木氏は、中国では経済発展に伴い、燃料や流通マージン、社会的 な安定への配慮から抑制されてきた公共サービス料金などインフレ圧力 の「岩盤」が厚みを増していると指摘した。「経済成長が10%前後な ので、4-5%のインフレはやむを得ない」と分析。11月の国務院 (内閣に相当)会議を受け、一部の地方政府がインフレに連動した所得 補償制度を導入するなど、取り組みが広がりつつあると指摘した。

人民元、緩慢な上昇で投機抑制

中央経済工作会議は人民元政策に関し、相場の「基本的な安定」を 確保するとした。国営新華社が報じた。国家外為管理局(SAFE)は 13日、「ホットマネー」(投機的な短期資金)など「異常」な資本流 入を抑制する方針を示した。

鈴木氏は、中国当局が人民元の対ドル相場の上昇を「それほど抑制 しているとは言えない」と強調。「年5%程度で4年続ければ20%前 後になる」うえ、05年7月からの3年間で約17%上昇した分も考慮す べきだと説明した。

しかも、上昇率を年3-4%に抑えれば、輸出企業への打撃を回避 するだけでなく、人民元高だけを狙った短期的な投機資金が集まりにく くできると指摘。「リスク要因も考慮すると、主要国の国債利回りと大 差がない」水準となるうえ「長期的な成長性を買う投資家には妨げにな らない」と語った。

中国は05年7月、人民元相場の対ドル連動(ペッグ)制を廃止。 緩やかな元高の容認に転じたが、08年7月以降は1ドル=6.8元台に 抑制。世界的な金融危機の中、対ドル相場を事実上固定していた。今年 6月には、オバマ米大統領らが人民元相場は過小評価されていると批判 する中、人民元相場の弾力性を高めると発表。ただ「大規模な切り上げ 」の根拠は存在しないとした。

人民元の対ドル相場は20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット) 初日の11月11日に一時6.6217元と、人民銀が公定・実勢レートを 統合した1993年末以来の高値をつけた。9月初めからの約2カ月半で

2.9%上昇。その後は6.65元台を中心に一進一退となっている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE