【コラム】元ウォール街の女性が際どい本に込めた告発-Sアンティラ

女性がウォール街の仕事を失った 後で富や名声をつかむ方法が分かった。

①セックスやデートのアドバイスをする②自分にしかない専門分 野を確立する。例えば、多様な人種にわたる豊富な男性経験など③ブ ログを立ち上げ、中南米系、アジア系、中東系、黒人、白人の中で誰 がセックスの相手、またはセックスなしの夜のデートの相手として最 適か、迷っている女性たちにアドバイスする。以上がすべて良いアイ デアだと思うなら、さまざまな人種の若い愛人風の男性5人が表紙を 飾る本を書いてみるといい。

ともかく、それがJ・C・デービーズさんが選んだキャリア復活 の方法だ。デービーズさんはカリフォルニア大学バークレー校、ハー バード大大学院を卒業後、2000年に証券アナリストとしてINGベア リングスに入社。01年にゴールドマン・サックス・グループに移籍。 08年に信用危機のあおりでリム・セキュリティーズでの職を失った。

デービーズさんは先週、筆者との電話インタビューで、自身のブ ログ「レイシー(際どい)JC」や、さまざまな人種の男性との交際 経験を生かして金もうけをしようという大胆なもくろみについて語り、 「ウォール街を去ってから数カ月後にこの考えを思いついた」と述べ た。ウェブサイトでは「中南米系、アジア系、ユダヤ系、黒人、中東 系など多様なカルチャーの男性と付き合った20年以上の経験」がある と説明しており、「I Got the Fever: Love, What’s Race Gotta Do With It?(仮題:発熱:愛に人種なんて関係ない)」という本の作者として これほどうってつけの人物はいないだろう。

火に油

ところで、本の表紙の裸の男性5人はモデルで、実際に作者が付 き合った男性ではない。「確かに見事な体をした男性と付き合ったこと もあるが、一般の男性で素晴らしい体をしている人はいない。だから、 実際に知っている男性は表紙に載せなかった」とデービーズさんは話 す。

楽しい最中にお堅い話題に話を移したくはないが、彼女のような 才能こそ、ウォール街で働く女性にとって必要ないものだ。彼女のこ とを頭が良くないとは言い難いし(ハーバードで医療政策マネジメン トの修士号を取得)、彼女のブログに特定の読者を引きつけるものがな いとも言い難い。

ただ不幸なことに、こういったことは、女性を真剣に受け入れる べきではないという理由を探すウォール街の時代遅れの男性にとって は、さらに火に油を注ぐことになってしまうのだ。

「虹の7色」

彼女は、恐らく想像に任せておいた方がいいような内容の悪口を 言われてきた。批評の大半は金融関連のウェブサイト、ディールブレ ーカー・ドット・コムのようなサイトに載せられ、同サイトからは「虹 のようなさまざまな色」の男性の専門家と名付けられた。

デービーズさんに言わせれば、彼女を批判するウォール街の男性 の一部はそれほど大した仕事もせずに多額の給与を得ているが、彼女 は出版関連ベンチャー企業立ち上げの元手にするため、アパートを売 却するというリスクを取った。彼女は批判について「この本を書いた のが男性だったら、そんなことは起きなかったはずだ」と述べた。間 違いなくその通りだし、それだけではなく、男性が女性の体について 同じようなことを書いたら、ウォール街の男性の多くはこぞって応援 するに違いない。

それでも、元ウォール街の女性が、金融界への女性進出を妨げる ためのあら探しをする多くの男性に格好の材料を提供するようなこと をしてくれたと、私は気になって仕方がない。金融危機後にウォール 街でレイオフされた人の大部分は女性だった。あまりにも状況が悪い ので、女性の求職者の中には、面接に通る可能性を少しでも高めよう と、履歴書に自分の名前をイニシャルで書く人さえいる。

問題点

私が女性のイニシャルを使う傾向について知ったのは、数週間前 にウォール街で働くベテラン女性が連絡してきたことがきっかけだっ た。彼女のような女性から電話をもらう時はいつもそうだが、仕事へ の悪影響を恐れてオフレコでしか話をしてくれない。

そこにこそ問題点がある。会社の利益に貢献する信用できる女性 からは、女性が直面する困難な問題について意見がほとんど聞けない のだ。その一方で、デービーズさんのような際どい話は、世間の注目 を浴びたり(当コラムもその一つであると認めなければならない)、冷 笑の対象になったりする。

デービーズさんは、金融界にとどまって業界の決まりに従う女性 とはかなり違った道に進んでしまったかもしれない。ただ、10年前に 彼女は今のウォール街で働く女性の多くと全く同じ決断をしていた。 それは、彼女が最初の調査リポートを準備していたときのことだ。黒 人男性の同僚が彼女にこう言った。アナリストとして成功するのは彼 女ではなく自分の方であり、それは「リポートで自分は黒人と分から ないが、君は女性だと分かるからだ」と。

それ以降、ジェシカ・セレスト・デービーズは自分の名前を「J・ C」と記すようになり、残りのウォール街のキャリアを通してイニシ ャルを使うことになった。それから10年たっても、彼女のように性別 を隠すことは、敵対的な業界で成功しようとする女性にとっては依然 として重要な戦略なのだ。 (スーザン・アンティラ)

(スーザン・アンティラ氏はブルームバーグ・ニュースのコラ ムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です))

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE