大塚Hの初値は公募比3%高と順調-抗精神病薬で成長期待

医薬品や健康食品が主力の大塚ホ ールディングスがきょう、東証1部市場に新規上場した。午前9時10 分に付いた初値は2170円で、公募価格の2100円を3.3%上回った。そ の後も買い注文が優勢で、一時2234円まで上昇、順調な船出となった。

ベイビュー・アセット・マネジメント運用第二部長の高松一郎氏は 「落ち着いた寄り付きで良かった。時価総額が大きく注目度も高い」と 語る。初値で計算した時価総額は1兆2100億円。医薬品企業では武田 薬品工業、アステラス製薬、第一三共に次いで4位。

高松氏は、今後の株価形成では成長性に対する評価がポイントと指 摘したうえで、「医薬品企業を見るように、新薬パイプライン(品ぞろ え)などの変動が重要になろう」と述べていた。

日興コーディアル証券首席アナリストの山本義彦氏は、大塚HDの 株価バリュエーションは、「統合失調症治療薬『エビリファイ』で決ま る」と指摘。同薬の中長期見通しが良好な点や、特許満了後の競合対策 も万全なことを挙げ、株価は中長期的に3000円になると予想する。

山本氏は11月26日開催の大塚HDの投資家向け説明会に出席し、 同社の現状の新薬パイプライン(品ぞろえ)を検証した。「エビリファ イの4週1回投与のデポ(徐放性製剤)に加え、エビリファイよりプロ ファイル(薬効や安全性)の良い『OPC-34712』(開発コード)も有し ており、同薬の特許切れ対策は万全」と結論付けた上で、世界の大手医 薬品企業が主力製品の特許満了問題に頭を抱える中、大塚HDは「一歩 も二歩も進んでいる」との心証を得たという。

エビリファイは年商5000億円へ

エビリファイは大塚HDが創製した治療薬で、1999年9月に米ブ リストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)に共同開発権などのライセ ンスを供与、02年11月に米国で新薬承認を取得した大塚HDの屋台骨 を支える医薬品。フリーアナリストの小野田照子氏は「エビリファイが 統合失調症領域でナンバーワンの製品となったことで、大塚の世界的な 名声が高まった」と振り返る。

年商1000億円を超えると「ブロックバスター(大型製品)」と呼 ばれる医薬品業界にあって、10年3月期の同薬のグローバル売上高は 3745億円に達する。売上高に対するロイヤルティー比率は、10年の契 約更改でBMS58%対大塚42%となった。大塚HDコーポレートコミ ュニケーション部の中嶌康氏によると、今後大塚の取り分は段階的に増 えていく契約で、15年4月以降は、27億ドルまではBMS50%対大塚 50%、27億ドル以上の売り上げ分は大塚に有利に配分される予定。

コスモ証券投資情報部・副部長の清水三津雄氏は、エビリファイは 近い将来、武田薬品工業の糖尿病治療薬「アクトス」(前期連結売上高 3847億円)を抜き去り、日本のナンバーワンセールス製品になると予 想。「米特許満了までの残存期間も、アクトスの1年以内に対しエビリ ファイは4年以上あり、今後の収益貢献が見込める。ナンバーワン製品 を持つ会社としてもっと株価は評価されるべき」と清水氏はみている。

医薬品担当アナリストらは、エビリファイの15年3月期のグロー バル売上高を5000億円以上と試算、大塚HDの収益に大きく貢献する とみている。清水氏は、大塚HDの今期予想株価収益率(PER)が初 値時点で13.6倍となったことに触れ、「今後はアステラ薬のPER17 倍を参考にバリュエーションが決まっていくのではないか。それだけで も株価は2700円前後までの値上がりが見込める」と予測していた。

大塚HDの11年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比5%増 の1兆1380億円、営業利益が同22%増の1200億円、1株利益(EP S)は159円28銭。

ブランド価値は最大1000億円

「大塚HDのブランド価値は最大1000億円程度。日本企業の中で はトップ20に入る」――。インターブランド・ジャパンの田中英富エグ ゼクティブ・コンサルタントはこう話し、大塚HDのブランド戦略を高 く評価している。

清涼飲料水「ポカリスエット」「オロナミンC」、大豆菓子「ソ イ・ジョイ」、害虫捕獲器「ごきぶりホイホイ」、レトルト食品「ボン カレー」、飲料水「クリスタルガイザー」――。日本の消費者なら、一 度は聞いたことがあるロングセラー商品が同社のラインアップに並ぶ。

田中氏は、同社が製品ブランドを前面に押し出す一方、メーカー名 を控え目に扱っている点について、ブランド戦略で羨望(せんぼう)を 集めるスイスのネスレや米プロテクター&ギャンブル(P&G)に匹敵 すると指摘。「テレビコマーシャルなどでの世界観のつくり方、本質を 捉えたネーミング、そして何より根気強くブランドを育て上げていく企 業姿勢など、グローバルに成長できる体制を有している」と語る。

上場に際し8000万株の公募と1450万株の売り出し(オーバーアロ ットメントを含む)を実施した。公募は日本での募集が約3割、海外が 7割。主幹事は野村証券。このほかUBS証券やモルガン・スタンレー が海外売り出しなどで協力する。公募価格2100円で計算したIPO規 模はおよそ1980億円。

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