ECB総裁:政府は救済ファンド拡大検討を、柔軟性を望む

欧州中央銀行(ECB)のトリ シェ総裁は、欧州各国の政府で域内救済ファンドの規模や用途の拡大 を検討するべきだとの見解を示した。

同総裁は13日遅くにフランクフルトで記者団に、「量と質の両面 で、最大限の柔軟性と能力を求めたい」と語った。欧州金融安定ファ シリティー(EFSF)による国債購入を認めるべきかとの問いに答 えた。

ECBは域内財政危機への対応で各国政府の役割強化を求めてい る。アイルランドの救済要請後も市場は沈静化せず、ECBは先週、 6月以来で最大額の国債を購入した。

バークレイズ・キャピタルの欧州担当チーフエコノミスト、ジュ リアン・キャロー氏(ロンドン在勤)は、ECBの「政策委員会は明 らかに、国債購入をこれ以上拡大することにかなり難色を示している。 このため、債券市場の緊張に対し措置を取るように暗に政府に求めて いる」と指摘した。

ECB政策委員会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁 は10日に、欧州の中銀は「通常なら必要のないリスクを多種負わされ ている」とし、資本増強が必要かもしれないと述べていた。トリシェ 総裁は資本については「特にコメントすることはない」と述べた。コ ンスタンシオ副総裁は10日、救済ファンドの増額と柔軟性向上は「有 用」だろうと発言した。

共同債

また、トリシェ総裁はユーロ圏共同債の構想について、「ECB は以前に、そのような債券の発行は必ずしも適切ではないとの見解を 表明している」とし、「現時点で、ECB政策委員会の新たな姿勢と いうものはない」と続けた。

アイルランドについては、財政再建のプログラムが「国内経済に 持続的安定をもたらすとともに、財政問題や銀行セクター再編に絡む 金融市場の緊張を沈静化させるのに適切だと確信している」と語った。 「プログラムはユーロ圏全体の信頼回復と金融の安定維持にも貢献す るだろう」と付け加えた。

総裁はユーロ圏の一部の政府が「厳しい」市場環境に直面してい るとも指摘した。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S& P)はこの日、ベルギーの格付け見通しをネガティブに引き下げた。

トリシェ総裁はまた、各国が財政規律強化の措置を取ることも必 要だと指摘。財政規律の違反国への罰則を強化する案について「われ われが創設した通貨統合にふさわしく、必要な経済ガバナンス(統治) に向けた飛躍的前進とはまだ言えない」として、違反国への制裁は 「半自動的」で、罰金に加え「違反がなかなか是正されない国につい ては場合によって議決権の制限」も盛り込むべきだとの考えを示した。

2つの手段

金融政策に関しては、「現在活用している2つの政策手段は、標 準的な手段である金利と非標準的な措置だが、これらは比較的、互い に独立したものだ」として、「一方を上か下に動かして片方を据え置 くことも、双方を動かすこともあり得る」と述べた。

域内の市中銀行が中銀の資金に頼り過ぎる問題については、「正 常な状況に戻ることを可能にするあらゆる要素を検証する」とし、正 常に戻るためにはECBの「非標準的措置を段階的に解除する」こと と、中銀の流動性供給に対して「市中銀行が正常な姿勢になる」こと が必要だと指摘。

「総じてこの方向への動きを支援しようとしているが、もちろん 現実を考慮しなければならない」と続けた。ECBは現時点で、金融 政策姿勢を「変更しない」ことに特別な執着があるとも述べた。

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