短観:大企業・製造業DIは7期ぶり悪化へ、市場への影響は限定的か

15日発表される日本銀行の企業短 期経済観測調査(短観、12月調査)は、円高に加えエコカー補助金制 度の終了などを受けて7期ぶりに悪化する見込みだ。市場では悪化は 織り込み済みで、影響は限定的とみられるが、為替相場など市場環境 次第で日銀が追加緩和に踏み切るとの見方は根強く残っている。

ブルームバーグが調査機関12社を対象にまとめた予想調査では、 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引い た業況判断指数(DI)が、大企業・製造業はプラス3と前回調査(9 月)から5ポイント悪化、大企業・非製造業は0と2ポイント悪化と、 リーマンショックで景気が大きく落ち込んだ2009年3月調査以来7 期ぶりの悪化となる。

業況判断DIの悪化は濃厚とみられるが、先行きDIは大企業・ 製造業がプラス0、大企業・非製造業がマイナス3と、いずれも前回 調査の先行き予測(マイナス1、マイナス2)は上回る見込み。ドイ ツ証券の安達誠司シニアエコノミストは、景気ウオッチャー調査など 各種サーベイで既に景況感の悪化が示されており、短観の結果が「マ ーケットにネガティブサプライズを与える可能性は低い」とみている。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、足元の 業況判断DIは悪化するものの、同時に円高リスクや米景気腰折れリ スクが減退したことから、予測DIは底堅い数字となり、景気腰折れ が考えにくいことを示唆する数字の並びになるだろうと予想している。

日米金利差背景に円高は一服

日銀は10月5日の金融政策決定会合で、コマーシャルペーパー (CP)、指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J- REIT)などリスク性資産を購入する5兆円の基金創設など包括的 な金融緩和策を発表した。一方、11月3日の米連邦公開市場委員会(F OMC)では6000億ドルの国債購入が決定された。

長期金利の指標である新発10年物の312回債利回りは9日、一時

1.27%と半年ぶりの水準に上昇。0.8%台半ばまで下落した10月初め から水準を切り上げている。日米とも長期金利は上昇しているが、米 国の方が上昇幅は大きく、日米の長期金利格差は拡大傾向にある。金 利格差の拡大背景に円の対ドル相場は円高が一服。足元では1ドル= 84円台前半で推移している。

為替相場の円高一服や株価の堅調で、目先、日銀の追加緩和観測 はやや後退しているが、為替相場など市場環境次第で、日銀がリスク 性資産を含む資産買い入れ等基金を拡大するとの見方は引き続き根強 い。日本経済は7-9月期に前期比年率4.5%増と1次速報の3.9%増 から上方修正されたものの、10-12月期には政策効果のはく落や輸出 鈍化見通しからマイナス成長に陥るとの見方が強い。欧州の金融市場 が不安定化していることも懸念材料だ。

日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト は「踊り場の後に緩やかな回復に戻れるかは、10-12月の落ち込みか ら来春にかけて持ち直せるかが正念場」とした上で、この時期に円高、 株安など金融市場の混乱が生じるようなら、日銀が今年度内に資産買 い入れ等基金の増額を検討する可能性もあるとみている。

--取材協力Minh Bui Theresa Barraclough Editor:Hitoshi Ozawa, Norihiko Kosaka

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 日高正裕 Masahiro Hidaka +81-3-3279-2894 mhidaka@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Chris Anstey +81-3-3201-7553 canstey@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE