ユーロ下落、EU間対立を嫌気-米金利上昇でドル・円は84円台回復

東京外国為替市場ではユーロ売 りが先行。週後半に欧州連合(EU)首脳会合(サミット)を控え、欧 州救済基金の拡大やユーロ共同債構想をめぐってEU各国間での対立が 深まっていることが嫌気された。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.32ドル台前半から一時、1.3183 ドルまでユーロ安が進行。欧州時間帯に入り、ユーロはやや戻している 。また、好調な米経済指標を背景に米債利回りの上昇傾向が続くなか、 ドルは主要通貨に対し堅調な展開が続き、対円では一時、1ドル=84 円17銭と3営業日ぶり高値をつけた。

日興コーディアル証券国際市場分析部の為替ストラテジスト、松本 圭史氏は、「今週はユーロ・ドルからくるドル・円への影響を考えてお く必要があり、その意味ではEUサミットが1つのポイントになる」 と指摘。その上で、欧州救済基金の拡大などが決まればポジティブサプ ライズとなるが、足元ではアイルランドあるいはポルトガル、スペイン に対し新たな対策を打ち出すような切迫感もなく、「基本的には何もな しという可能性の方が高い」と語った。

一方、今週は14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ るほか、小売売上高や生産者および消費者物価指数、鉱工業生産、住宅 着工、景気先行指数など注目の米経済指標の発表が相次ぐ。

松本氏は、「仮にFOMCで足元の米長期金利の水準に対する言及 が何もないとなるとFRB(米連邦準備制度理事会)が今の金利上昇を 許容しているともとられかねない」と指摘。また、米金利上昇が正当化 されるかどうかという意味では「米指標も慎重に見極めていく必要があ る」と述べた。

EU間の対立深まる

EUは16、17の両日開く首脳会議で、財政危機に陥ったユーロ圏 諸国を支援する恒久的な危機対応メカニズムの創設を討議する。欧州中 央銀行(ECB)はこれと並行し、中銀の緊急の流動性供給に依存する 最も脆弱(ぜいじゃく)な金融機関の支援策を取りまとめようとしてい る。

ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は10日の会談 で、ユーロ圏の低成長国に対し債務危機の克服に向けて競争力を高める ように呼び掛け、EUサミットでユーロ存続に必要なあらゆる措置を講 じることを表明。両首脳はまた、イタリアとルクセンブルクが提唱した ユーロ圏共同債構想を否定し、ユーロ圏の救済を目的に5月に設立され た4400億ユーロ規模の救済基金の拡大に反対を表明した。

一方、アイルランドでは最大野党、統一アイルランド党のスポーク スマンを務めるレオ・バラドカー氏が、EUと国際通貨基金(IMF) による総額850億ユーロ(約9兆4200億円)のアイルランド支援策を めぐる15日の議会採決で、同党が「反対票を投じる」との予想を示し た。IMFは10日、救済パッケージをめぐるアイルランド政府内の議 論がまとまるのを待つため、同国向け融資の手続きを延期した。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、EUサミットを前に独仏首脳が基金の拡大やユーロボン ド構想に反対を表明したことが嫌気されているとした上で、FOMCを あすに控えて、目先は米長期金利の動向次第でドルが売られ、「理由も なく相対的にユーロの価値が上がってしまう難しさ」もあると指摘。た だ、その場合でも「本質的に敵の失点によるユーロ高だと理解した方が いい」と語った。

米長期金利

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト62人を対象に実施した 調査(中央値)によると、米商務省が14日発表する小売売上高は前月 比0.6%増と、前月の同1.2%増に続きプラスを維持したとみられる。

東海東京証券金融市場部の二瓶洋トレーディンググループマネージ ャーは、米国の指標好調を素直に好感して、米金利が上昇しており、景 気の回復期待を背景に「安定したドルの買い戻しにつながっている」と 説明。週内は引き続き米国でインフレ関連指標の発表が控えており、物 価の上昇基調が確認されれば、米金利が一段高の展開となる可能性があ るとして、「ドルが買い進められやすい地合いが続く」とみている。

一方、みずほコーポ銀の唐鎌氏は、「最近の金利上昇はFOMCに とって恐らくあまり嬉しいことではないはずで、ひょっとしたらけん制 が入る可能性もある」と指摘している。

前週末の米国債市場では10月の米貿易赤字の予想以上の縮小やロ イター・ミシガン大学消消費者マインド指数の上振れを手掛かりに10 年債利回りが6カ月ぶりの高水準となる3.33%へ上昇。ブルームバー グ・データによると日本時間13日午後4時41分現在、同利回りは前 週末比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)高い

3.34%となっている。

日興コーディアル証の松本氏は、「今のところマーケットは米金利 上昇を少なくとも結果論としてはポジティブにとらえているが、これが いつネガティブな材料になるのかも懸念されるところだ」と指摘。実際 、「マーケットがマクロ面からサポートされる実体経済に応じた『良い 金利上昇』と思っていれば、ドル・円はもう少し上に行っていてもおか しくない」とし、米金融政策の先行き不透明感や財政悪化懸念がドルの 上昇を抑えている可能性があると語った。

クロス円は堅調

ユーロ・円相場は午前に1ユーロ=111円ちょうどを割り込み、一 時、110円66銭までユーロ安が進行。しかし、中国の利上げ見送りな どを手掛かりにアジア株が堅調ななか、その後はクロス円(ドル以外の 通貨の対円相場)全般で円売り圧力が強まり、ユーロは対円で111円 台前半まで値を戻す展開となった。

中国人民銀行(中央銀行)は10日、市中銀行の預金準備率を引き 上げると発表。翌11日発表の11月の消費者物価指数(CPI)は前 年同月比5.1%となり、工業生産と小売売上高もそれぞれ前年同月を上 回ったが、利上げは見送った。

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