政府税調が証券優遇税制1年延長も検討-金融庁は難色(Update1)

政府税制調査会(会長・野田佳彦 財務相)は2011年度税制改正の焦点の一つとなっている証券優遇税制 について、同年末に迎える軽減税率(10%)の期限を1年間延長する 方向で検討に入った。税率を本則(20%)に戻す際に導入する少額株 式投資の非課税制度(日本版ISA)の拡充は見送る。複数の政府関 係者が明らかにした。

財務省は10日、同案を金融庁に示したが、2-3年の延長期間が 必要とする同庁の主張と隔たりは大きい。政府税調は15日に来年度税 制改正大綱を取りまとめ、16日の臨時閣議で決定する方針だが、最後 までもつれ込む可能性がある。

五十嵐文彦財務副大臣は13日の税調会合後の記者会見で、証券優 遇税制について「現行法通り廃止するか、さらに延ばすか、両論が出 たまま対立しており決着していない」と説明。一方で、「財務省として 妥協案を提示している」ことを明らかにしたが、金融庁と「一致を得 ておらず、折衝中だ」と語った。同席した尾立源幸財務政務官は、14 日に財務相と自見庄三郎金融・郵政担当相が協議する見通しを示した。

財務省は株式譲渡益と配当にかかる軽減税率を12年から廃止、金 融所得課税の一体化を進め、損益通算の範囲を拡大するとともに、こ れに併せて小口の個人投資家への対応策として日本版ISAも導入す る方針だった。これに対し、金融庁は株価に影響を及ぼし、景気の下 振れに拍車を掛けるほか、金融機関のシステム変更に時間がかかると し、軽減税率の延長を要望していた。

政府税調は、軽減税率を予定通り11年末に廃止した場合、12年 から導入する日本版ISAを当初計画から拡充する方向で検討してい たが、金融庁側は、東祥三副大臣が「軽減税率の延長と非課税制度の 拡充は相殺しない」とし、受け入れない考えを示していた。

金融庁の眞下利春広報室長は13日、ブルームバーグ・ニュースの 取材に対して「金融庁としては現下の厳しい経済金融情勢や、先行き の悪化懸念、配当の二重課税の問題等に鑑み、証券の軽減税率の延長 を要望している」と述べた。その上で、11年度の税制改正大綱取りま とめに向け「今後とも関係者のご理解が得られるよう努力してまいり たい」と語った。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は「投資家にとってはグ ッドニュースと言えるが、重要な点はこの減税が本当に株を買う要因 になっていたのかどうかが不透明であるということ」と指摘。「日本の 厳しい財政を考えると、この措置もいずれは廃止ということになるだ ろう」と述べた。

証券優遇税制は民間金融機関の不良債権処理問題を背景に、03年 に5年間の特例措置として導入された。その後も、米国のサブプライ ムローン問題やその後のリーマン・ショックによる金融不安を受け、 08年に1年間、09年に3年間延長された経緯がある。

日本版ISAは3年間の暫定措置。金融機関に個人非課税口座を 創設し、年間投資額100万円を上限に非課税とする方向だ。開設対象 者は20歳以上の国内居住者で、年間1人1口座に限定する。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE