【クレジット市場】日本はあと8年デフレ脱却できない-債券市場示唆

日本銀行は2011年度中のデフレ 脱却を予想し、総額35兆円の資産買い入れなどの基金を創設したが、 債券市場の見方を変化させるには至っていない。投資家はあと8年間デ フレが続くと予想している。

日本の物価連動国債は、物価が今後5年間に平均0.6%のペースで 下落し、2018年まで年間0.4%低下すると市場が予想していることを 示している。ブルームバーグのデータによると、物価変動に連動する国 債がデフレ持続の予想を示しているのは、世界で日本だけ。

債券ファンド運用最大手、米パシフィック・インベストメント・ マネジメント(PIMCO)日本部門、ピムコジャパンの正直知哉ポー トフォリオマネジャーは、「日銀は積極的なリフレ政策ミックスに向か わないという当社の見方が強まり、日本のデフレが長引く可能性が高ま っている」と述べた。同氏は電子メールで英語で質問に回答し、日銀の 措置は「かなり表面的」だとの見方を示した。

菅直人首相は、日銀の白川方明総裁に、日本の景気回復の足かせ になっているデフレへの対策を繰り返し要請してきた。日本は一時、中 国に世界2位の経済大国の座を明け渡した。ブルームバーグが集計した データによると、09年までの20年間の日本の国内総生産(GDP) 伸び率は15%。米国は158%、中国は20倍だった。

10月の日本の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は前 年同月比0.6%低下と20カ月連続のマイナスとなった。

「センチメントが変化」

日銀の金融緩和策は市場の物価予想に多少の影響を与えている。日 銀は10月、国債や社債など金融資産を買い入れる5兆円規模の基金の 創設を発表。これを受け、残存期間8年の国債と物価連動国債の利回り 格差であるブレークイーブンレートは、3日にマイナス0.45%となり、 昨年12月のマイナス1.32 %から87ベーシスポイント(bp、1b p=0.01%)マイナス幅が縮小した。

三菱UFJ投信の下村英生チーフファンドマネジャーは、英語でイ ンタビューに応じ、日銀のデフレとの戦いは奏功していると指摘。セン チメントは変化しており、あと何年かはかかるだろうが、日本のデフレ 脱却への期待が高まっている、と述べた。

民主党の有志でつくる「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連 盟」(デフレ脱却議連、松原仁会長)は先月、国会内で総会を開き、政 府が物価安定目標(インフレターゲット)を設定して日銀に示すことな どを柱とする日本銀行法改正案の事務局案を公表した。

政治的圧力

債券ファンドでアジア1位の国際投信投資顧問の加藤章夫円債運 用グループリーダーは、「今のところ日銀が過去にやってきたことは実 際足元で効果が出ていない」と指摘。これに対する投資家への刷り込み は大きく、「日銀が本気でやってきた結果としてこうだったのか、それ とも政治からの圧力に耐えかねてポーズとしてやったのか、というとこ ろはあると思う」と述べた。

日銀は10月28日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、 コアCPIが11年度に0.1%上昇するとの見通しを示した。

日銀は10月5日の金融政策決定会合で、政策金利を0-0.1%程 度に引き下げ、物価の安定が展望できる情勢になるまで実質ゼロ金利政 策を継続すると表明した。昨年12月に導入した10兆円の新型の資金 供給オペは、後に30兆円に拡大した。

金利上昇

長期金利の指標とされる新発10年債利回りは9日、1.27%に上 昇し、6月以来の高水準となった。10年債利回りは10月に7年ぶり 低水準となる0.82%を付けて以来、40ベーシスポイント上昇したが、 米国の利回り上昇は日本を上回っている。経済指標が景気回復の加速を 示しているほか、オバマ大統領が減税措置の延長に合意したことを受け 、米国の財政赤字が拡大するという懸念が高まったことが背景にある。

日米の10年債利回り格差は10日、213.40bpと、5月以来の高 水準に拡大した。9月7日の格差は146bpだった。

ドル・円相場は11月1日には1ドル=80円22銭と、15年ぶり の円高水準に達していたが、今月10日には一時1ドル=84円02銭の ドル高・円安水準となった。

三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、日本のような 先進国では成長が頭打ちとなり、総需要が先細りするため、デフレは当 然出てくる状況だとの見方を示した。同氏は「そもそもデフレから脱却 可能かということになるが、可能ではないと思う」と述べた。

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