【今週の債券】長期金利1.2%中心か、米金利高に警戒も需給改善が支え

今週の債券市場では、長期金利は

1.2%が取引の中心となる見通し。米国で金利上昇が続いていることへ の警戒感が根強く残るものの、20年債の入札を通過すると年内は長期 や超長期ゾーンの発行が一巡するほか、国債大量償還も控えており、 需給改善期待が支えとなりそうだ。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、米金利の上 昇に伴って国内投資家の敗戦処理的な売りが続いており、今週も引き 続き金利の振れの大きい展開が続くと予想。ただ、ここまで金利水準 が上振れてくる過程で持ち高調整売りがかなり進んだ可能性もあり、 長期金利のピークは近いのではないかとも話す。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で1.13%-1.27%となった。

前週の長期金利は乱高下。11月の米雇用統計が弱めだったことか ら週初は1.1%台半ばで推移したが、オバマ米大統領が減税措置の延 長に同意すると米国の金利上昇に連動して売られ、一時は半年ぶり高 水準となる1.27%を付けた。しかし、週末には買いが優勢となってお り、結局は3日終値より2ベーシスポイント(bp)低い1.185%で終 了した。

米金利にらんだ需給がポイント

長期金利は、11月後半以降は1.2%付近で高止まっていたが、前 週には1.27%まで上昇してこの水準を上抜ける展開となった。米金利 の上振れを背景にリスク回避の姿勢が強まり、結果的に日米両国の国 債持ち高を圧縮する売りが膨らんだもよう。足元の金利急騰の要因が 需給悪化にあるだけに、週初はむしろ10日の米金利が上昇した影響が 意識されそうだ。

もっとも、足元の金利上昇過程で持ち高調整売りが進展した可能 性もあり、一方で来週の国債大量償還も視野に入ってくることから過 度の需給懸念も緩和される見通し。三井住友海上火災保険投資部の高 野徳義グループ長は、国債償還が接近するタイミングにあたって、「ク リスマス休暇や年末・年始の利息収益を確保する狙いから、ある程度 は買っておきたいニーズがあるはずだ」と読む。

20年債入札は無難見通し

今週14日には20年利付国債の価格競争入札が実施される。内外 市場で超長期ゾーンの金利上振れが懸念されているものの、20年ゾー ンは利回り曲線上で割高感が薄れているほか、金利水準自体も前週末 には4月以来の高い水準を付けるなど投資妙味が増している。

20年債の表面利率(クーポン)が2.1%に引き上げられれば、5 月発行の117回債以来の高い水準となるため、生命保険会社などから 一定の需要が見込まれる。三井住友海上きらめき生命保険経理財務部 の堀川真一部長も、市場のボラティリティー(変動率)が高まってい るだけに方向感を見極めたいのは確かだが、これまで売り込まれた反 動で買われる場面があってもおかしくないと言う。

みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジストは、 米国の金利上昇が嫌気されると20年債の入札が低調な結果となるリ スクがあるが、これを通過すると年内最後の買いがにじみ出ることも 考えられ、その場合は相場の戻りを試す展開だとみている。

こうした中、米国では14日に連邦公開市場委員会(FOMC)が 開催されるほか、物価や小売関連の指標発表が続く。FOMCでは政 策金利フェデラルファンドの(FF)の誘導目標が据え置かれる見通 しだが、声明文で最近の長期金利の上昇をどのように受け止めている かに注目が集まる。

一方、15日には日本銀行が企業短期経済観測調査(短観、12月調 査)を公表する。今回の調査では企業の景況感が悪化する公算が大き いが、市場の関心が米金利の動向やこれを受けた現物需給に向かって いることから、短観自体は特段の材料にならないとの見方が有力だ。

ブルームバーグ・ニュースの事前調査によると、大企業・製造業 の業況判断指数(DI)はプラス3となり、前回調査のプラス8から 5ポイント悪化する見込みとなっており、大企業・非製造業のDIは 2ポイント悪化の0が予想されている。

市場参加者の予想レンジとコメント

12月10日夕までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週 の予想レンジは以下の通り。

◎みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト

先物3月物139円40銭-140円40銭

新発10年債利回り=1.13%-1.23%

「引き続き方向感の定まらない展開。ポジション整理の売買は金 利のレベルに関係なく出るため、今週も不安定な推移が続く可能性が 高い。大手銀行の売りが一巡したか確認できないため、材料次第で再 びろうばい売りが出る可能性があるが、一方で売られ過ぎの反動買い が入る場面もありそう。景況感や金融政策を考えると売られ過ぎの感 がある」

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物3月物139円00銭-140円50銭

新発10年債利回り=1.15%-1.25%

「金利変動の大きい展開が続く。20年債の入札では落札利回りが 上振れることも考えられる。ただ、20年債利回りが2%を超えるとこ ろでは買い手が出てくるため、利回り曲線の傾斜化もそろそろ一服し てきそう。今後、円安や株高が一段と進むようなことがなければ、10 年債についても想定レンジが1.2%以上に修正される状況ではない」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物3月物139円20銭-140円30銭

新発10年債利回り=1.15%-1.26%

「長期金利は1.2%中心の推移。米金利の動向に引き続き一喜一 憂するものの、10年債利回りの1.2%台はやや売られ過ぎの水準だと みる。20年債利回りが4月の水準まで上昇したため、入札は生保など の需要を背景に無難にこなしそう。市場はなお波乱含みながらも入札 通過で需給不安が弱まれば、先物3月物には売り方の買い戻しが入り やすい」

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物3月物138円85銭-140円35銭

新発10年債利回り=1.15%-1.27%

「債券相場の調整局面が続きそう。買いの手がかり材料は金利の 水準感しかなく、市場の不安心理が沈静化するには時間の経過が必要 だ。米国では小売売上高などの指標発表を受けて景気の底堅さが再確 認される可能性がある。米10年債利回りが3%台で定着してくるよう だと、国内の10年債利回りの1.2%割れは戻り売りが出やすくなる」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,

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