債務危機の幕引きに期待、欧州版「ブレイディ債」か-ユーロ圏共同債

【記者:Matthew Brown】

12月10日(ブルームバーグ):欧州の債券市場を沈静化させる手 だてがなくなりつつある各国首脳らの間で、ユーロ圏共同債を発行す る構想が新たな火種として浮上している。

欧州連合(EU)首脳会議のブリュッセルでの開催を来週に控え て、イタリアとルクセンブルク、ベルギー、ギリシャの当局者はこの 提案を検討すべきだと主張し、独仏とオーストリアがこれに抵抗して いる。一方、ゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタン レー、HSBCホールディングスのエコノミストやアナリストらは、 共同債の発行がユーロ圏の債務危機を終わらせる可能性があると前向 きに受け止めている。

共同債構想は、新たに創設する欧州債務管理庁(EDA)を通じ て債券を発行し、EU加盟国の借り入れの最大50%を賄う。市場で資 金調達が困難な諸国には最大100%まで認め、欧州中央銀行(ECB) に債券市場の下支えを求める圧力を取り除くことができるとみられる。 これに対して、財政が比較的健全な諸国が借り入れコストの上昇で負 担を強いられるというのが反対する国々の主張だ。

HSBCの債券調査グローバル責任者、スティーブン・メージャ ー氏は「何らかの共通債の発行と財政政策の一元管理を強化する方向 で協議が続くことが極めて重要だ。ECBの力仕事に頼るようなやり 方を続けることはできず、もっと持続可能は解決策が必要だ」と話す。

1989年にはコロンビアやブラジル、ベネズエラなどの中南米諸国 がブレイディ元米財務長官の提案に基づくいわゆる「ブレイディ債」 を発行したが、特定の国のために別の国が協力して共同で債券を発行 するケースはユーロ圏共同債が最初となりそうだ。

最善のスキーム

財政危機に陥ったユーロ圏諸国を支援する欧州金融安定ファシリ ティー(EFSF)は、アイルランドの救済資金を賄うため、来年1 月に起債を計画している。クレディ・アグリコル・コーポレート・ア ンド・インベストメント・バンクによれば、EFSF債はユーロ圏共 同債とほぼ同じ諸国の信用力を裏付けとするが、信用強化の措置が講 じられたことで、トリプルA格付けが付与され、共同債よりも低い利 回りで資金調達できる公算が大きい。

ゴールドマンの金利ストラテジスト、フランチェスコ・ガルザレ リ氏らは9日、ユーロ圏共同債について、「最善のリスク分担スキー ム」になり得ると評価。モルガン・スタンレーのエグゼクティブディ レクター、アルノー・マール氏も、正しい制度設計が行われれば、財 政の慎重さを促すインセンティブを生み、モラルハザード(倫理の欠 如)を抑制するのに役立つとの見方を示している。

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