企業の円高抵抗力は90年代より低下、価格競争激化で-内閣府報告書

内閣府は10日午後公表した報告 書「日本経済2010-11」の中で、日本の輸出企業の円高への耐久力は、 海外生産の拡大にもかかわらず、自動車などを中心に90年代よりも低 下しているとの分析を示した。韓国など競合国製品の品質向上や価格 競争の激化などが背景にあるとしている。

報告書は、円高が輸出数量を押し下げる効果について、90年代よ り2000年代の方が高いとし、特に自動車などの輸送機械で円高に対す る感応度が高まっていると指摘。背景には、新興国の台頭により日本 企業の輸出品が「激しい価格競争に巻き込まれる機会が多くなった可 能性がある」としている。また、09年以降、米国で韓国車のシェア拡 大が見られることから、とりわけ円高・ウォン安が輸出数量の押し下 げに働いた可能性があるとみている。

内閣府政策統括官付参事官の西崎文平氏は、企業が円高に対応す るため、「海外生産の比率を高めてきており、いろいろな方法でヘッジ している」としながらも、円高の影響は必ずしも緩和されていないと 指摘。以前は品質面で競争力があり、価格競争の影響が少なかったが、 韓国などの競合国が力をつけた結果、「そういう時代ではなくなった」 と説明した。

円の対ドル相場は今年の年央から秋にかけて急速に上昇。11月1 日には一時1ドル=80円22銭と、戦後最安値の79円75銭を記録し た1995年4月19日以来の水準まで上昇した。10日午後3時現在は1 ドル=83円67銭。

円高でも買収増加につながらず

報告書は円高と株価下落の相関について、90年代よりも2010年 代の方がやや高まっているとし、円高で下落しやすい電気機器、輸送 機用機器、精密機械などの株価を考慮すると、「海外生産の拡大は為替 リスク分散化には不十分か、少なくとも株式市場はその点を十分に評 価していない」と指摘した。

また、円高メリットの活用で海外企業の買収を進めやすくなると の見方について、実際にはそうなっていないと指摘。実質実効為替レ ートと日本企業の海外企業買収には、予想に反し「負の相関関係」が あるしている。一方で、買収件数は、資金調達を容易にする株価の上 昇と正の相関関係があるとし、この関係は日本だけでなく先進国で広 く推察されるとしている。

「景気再起動の条件」と題した今年の報告書では、日本経済が現 在の「足踏み状態」から脱却する条件として、①中国など新興国を中 心とした世界景気の回復が継続する②アジアと国内で在庫率が高まっ ている半導体集積回路などの在庫調整圧力が軽微にとどまる③設備投 資や個人消費など国内民需が回復する-ことなどを挙げている。

一方、リスク要因としては、①中国や米国景気の下振れ②輸出や 設備投資への円高の影響③自動車の生産調整の長期化-などを指摘し ている。

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