12月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ユーロ下落、アイルランド格下げで危機深刻化か

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロが主要通貨の大半に対 して下落。アイルランドの格下げで欧州債務危機が深刻化するとの 懸念が強まった。

ユーロは主要16通貨のうち12通貨に対して下落。格付け会社 フィッチ・レーティングスは、アイルランドの信用格付けを3段階 引き下げた。主要6通貨のバスケットに対するドル指数は4日続伸。 午前に発表された週間失業保険申請件数が、予想以上に減少したの が好影響を与えた。ブラジル・レアルは同国中銀が政策金利を据え 置いたことが嫌気され下落した。

トラベレックス・グローバル・ビジネス・ペイメンツの市場ア ナリスト、ジョー・マニンボ氏は、「アイルランドの政治不安はユー ロ圏内のソブリン債危機懸念を和らげることなく、引き続きユーロ への売り圧力をかける可能性が高い」と指摘。新規失業保険申請は 「雇用統計が示した内容よりも若干、景気回復の状態が良好である との楽観につながった」と続けた。

ニューヨーク時間午後3時53分現在、ユーロは対ドルで0.2% 下げて1ユーロ=1.3241ドル。前日は1.3262ドルだった。ユー ロは対円では0.6%下げて1ユーロ=110円81銭(前日111円45 銭)。ドル指数は0.1%上昇して80.104をつけた。

アイルランド格付け

フィッチはアイルランドの格付けを投資適格の下から3番目と なる「BBB+」と、従来の「A+」から引き下げた。

フィッチは発表資料で、「格下げは銀行システムの再編と支援に 向けた追加の財政負担を反映したものだ」と説明。「アイルランドの ソブリン債の性質はもはや、投資適格級の上位の格付けと一致しな い」と指摘した。

アイルランドのカウエン首相は9日、欧州連合(EU)と国際 通貨基金(IMF)からの850億ユーロの支援策をめぐり、15日に 議会投票を実施すると発表した。

米労働省が発表した4日に終わった1週間の新規失業保険申請 件数 (季節調整済み)は前週から1万7000件減少して42万1000 件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央 値は42万5000件だった。前週は43万8000件に修正された。

GFTフォレックスの外為調査ディレクター、ボリス・シュロ スバーグ氏は、「雇用に関する良好な統計は、強気派の投資家をさら に強気にさせる材料となる。これは構造的にドルにとって前向きな はずだ」と指摘した。

先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関加重通貨指 数によると、ドルは年初から1.1%下落。ユーロは9.3%安、一方、 円は11.3%上昇となっている。

ブラジル・レアル

ブラジル・レアルは主要16通貨のうち、対ドルでの下落率が

1.2%と最もきつかった。

ブラジル中央銀行は8日の金融政策委員会の会合で、政策金利 を10.75%に据え置いた。

調査会社アイデアグローバルのエコノミスト、エンリケ・アル バレス氏は、「インフレ期待値の大幅な上昇を考えると、市場は1月 に利上げが決定されるとの見方に強い確信を抱いている」と述べた。

レアルは対ドルで1ドル=1.7103レアルに下落した。

◎米国株:上昇、PIMCOの米成長予想引き上げなど好感

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は2日連続で2年ぶ り高値を記録した。米パシフィック・インベストメント・マネジメ ント(PIMCO)が米経済成長の見通しを引き上げたことや、失 業保険申請件数の減少が好感された。

ダウ工業株30種平均では、バンク・オブ・アメリカ(BOA) が上げを主導。アメリカン・インターナショナル・グループ(AI G)は大幅高となった。米財務省の当局者が「可能な限り速やかに」 持ち株を売却する考えを示したことが好感された。ディーン・フー ズも上昇。同社が4億ドル規模の社債を発行すると、事情に詳しい 関係者が語ったことに反応した。

S&P500種株価指数は前日比0.4%高の1233。米証券取引所 全体の騰落比率は約3対2。ダウ工業株30種平均は2.42ドル下げ て11370.06ドル。

米資産運用会社コモンファンドのマネジングディレクター、マ イケル・ストラウス氏は「景気は多くの人が考えるよりも良好だ」 と指摘。「労働市場は改善しつつある。労働市場はリセッション(景 気後退)脱却後で最後に改善している分野の1つだ。株価にとって は素晴らしい環境といえる」と述べた。

失業保険申請

米労働省が9日発表した4日に終わった1週間の新規失業保険 申請件数(季節調整済み)は前週から1万7000件減少して42万 1000件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の 中央値は42 万5000件だった。これに反応し、買いが先行した。

また株価は取引終盤に上げ幅を拡大。PIMCOのモハメド・ エラリアン 最高経営責任者(CEO)は、政策当局者による大規模 な景気刺激策を理由に来年の米国の経済成長を引き上げたことを明 らかにした。PIMCOは2011年10-12月期の経済成長率を前 年同期比3-3.5%と予想。従来は2-2.5%の予想だった。

フェデレーテッド・インベスターズの株式市場チーフストラテ ジスト、フィリップ・オーランド氏(ニューヨーク在勤)は「弱気 な見方を抱いていた一部の投資家は、ここでタオルをリングに投げ 入れ、投資する必要があると自覚しつつある」と指摘。「投資家は刺 激策が経済成長を生み出していると気づき始めている」と続けた。

BOAは5.4%高の12.65ドル。ダウ平均で値上がり率最大と なった。JPモルガン・チェースは1.4%上げて40.81ドル。

環境改善

資産運用会社も上昇。英バークレイズは、株式市場環境の改善 を理由に資産運用会社の株式を買うよう勧めた。ジャナス・キャピ タル・グループは4.5%高の12.31ドル。レッグ・メイソンは2.1% 上昇し35.92ドル。

AIGは13%高の47.78ドル。米財務省のマサード次官補代 理は、「われわれの投資を可能な限り速やかに処分する意向をこれま で常に明確にしてきた」と説明。その上で「売却方法についてはま だ何も決めていないと言っておきたい」と付け加えた。

ディーン・フーズは13%高の8.39ドル。

◎米国債:反発、30年債入札が好調-高利回りが需要喚起

米国債市場では30年債が3日ぶりに上昇。利回りが7カ月ぶり の高水準に接近していたため、この日の30年債入札(発行額130 億 ドル)が好調となった。

10年債も反発。オバマ米大統領が今週、前政権時代に導入され た減税措置の2年間延長で議会と同意したことをきっかけに前日ま での2日間に大幅下落。2日間の下げとしては2008年9月以降で 最大となっていた。この日の30年債入札の需要は8月以来の高水準 となり、落札全体に占める海外の中央銀行を含む間接入札の割合は、 過去1年余りの最高だった。

バークレイズの米債券戦略責任者、アジェイ・ラジャディアク シャ氏は「国債相場は上昇局面にある」と指摘。「こうした利回り水 準は魅力的だ。インフレが当面は誘発されることもない。当局は引 き続き国債を購入している」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク 時間午後4時7分現在、10年債利回りは前日比6ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下の3.22%。同年債(表面利率2.625%、 2020年11月償還)価格は1/2上げて95。

30年債利回りは6bp低下の4.40%。前日は4.50%と、5月 13日以来の高水準を付けていた。この日の2年債利回りは前日比ほ ぼ変わらずの0.63%。一時は0.64%と、7月28日以来の高水準 となった。

一段の魅力

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、カール・ ランツ氏は「好調な入札は魅力が増した利回りに反応したものだ」 と指摘。「インフレリスクがあると考えないのなら、長期債は割安の ようにみえる。当局が購入している上、米連邦公開市場委員会(F OMC)が来週会合を開くため、国債相場は比較的堅調となるだろ う」と述べた。

FOMCは14日に開催される。バーナンキFRB議長は5日放 送された米CBSの番組で、国債購入額が先月発表した6000億ド ルを超える公算があるとの見解を示した。その上で、「同プログラム の効果」とインフレや経済の見通しに左右されると述べた。

この日の入札で、最高落札利回りは4.410%と、ブルームバー グがプライマリーディーラー7社を対象に実施した入札直前の予想 の4.477%を下回った。投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.74 倍と、8月12日実施の入札以来の高水準となった。

間接入札

海外の中央銀行を含む間接入札の落札全体に占める割合は

49.5%と、09年7月以来の高水準。

7日に実施された3年債入札(発行額320億ドル)では、応札 倍率が2月以来の低水準となっていた。前日の10年債入札(発行額 210億ドル)では、最高落札利回りが3.34%と7カ月ぶりの高水準 を付けた。次回入札は今月27-29日の2年、5年、7年債。

国債相場は一時伸び悩む場面もあった。ニューヨーク連銀が量 的緩和プログラムの一環としてこの日購入した7年債の規模が一部 市場予想を下回ったことに反応した。

ニューヨーク連銀は償還期限が2016年11月から2017年11 月までの国債を83億900万ドル買い入れた。同連銀は2016年6 月から2017年11月までの国債70億-90億ドルの購入を検討する と明らかにしていた。

キャンター・フィッツジェラルドの金利責任者、ブライアン・ エドモンズ氏は「NY連銀はこうした年限の国債を引き続き大量に 購入したが、期待はもっと大きかったようだ」と述べた。

30年債利回りは8bp低下の4.38%。前日は4.50%と、5月 13日以来の高水準を付けていた。この日の2年債利回りは1bp低 下の0.62%。一時は0.64%と、7月28日以来の高水準となった。

◎NY金:反発、通貨の代替投資需要で-終値1392.80ドル

ニューヨーク金先物相場は反発。最近の高値更新後に軟化して いたが、通貨に替わる投資先として押し目買いが入った。

アイルランドの格下げを受けて、欧州債務危機が深刻化すると の懸念が高まり、ユーロはほとんどの主要通貨に対して下落した。 金は7日に1オンス=1432.50ドルと最高値を更新した後、過去2 日間で2.3%下げていた。

キャピトル・コモディティ・サービシズのラニー・コーエン社 長は「投資家は紙幣に対する信頼をなくしている。金は選択通貨と しての役割を続けるだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先 物 2月限は前日比9.60ドル(0.7%)高の1392.80ドルで終了 した。年初からは27%高となっており、このままいけば10年連続 の上昇となる。

◎NY原油:小反発、失業保険申請減で買い-88.37ドル

ニューヨーク原油先物相場は小反発。米新規失業保険申請件数 が減少したため、米国の景気回復基調が続いているとの見方から買 いが優勢になった。

労働省によると、失業保険申請件数は前週比1万7000件減少 し42万1000件。フィッチ・レーティングスのアイルランド格下げ をきっかけにドルが上昇すると、高値から伸び悩んだ。

ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチ のマイケル・リンチ社長は「失業保険統計が好感された。景気回復 の勢いが増し、燃料需要が回復する兆しだ」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物1月限は前 日比9セント高の1バレル=88.37ドルで終了した。過去1年では 25%上昇している。

◎欧州株:2年ぶり高値、回復継続との観測で-金融株高い

欧州株式相場は上昇し、2年ぶり高値を付けた。各種の経済統 計で世界景気の回復継続が示されたことを背景に、金融株を中心に 買いが膨らんだ。

仏ソシエテ・ジェネラルと英バークレイズが銀行株の上げを主 導。オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディング スも上昇した。10-12月(第4四半期)の受注見通しを引き上げた ことが手掛かり。英石油・天然ガス生産会社BGグループは1年半 ぶり高値に上昇。同社がブラジル沖合にあるトゥピとグアラの両油 田からの当初産油量が約600万バレルになると発表したことが買い 材料となった。

一方、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)を中心に自動車株 が安い。中国が乗用車購入者を対象にした税制優遇措置を2011年 に打ち切る可能性を示唆したことが嫌気された。

ストックス欧州600指数は前日比0.4%高の275.93と、2008 年9月以来の高値で引けた。業績改善に加え、米連邦準備制度理事 会(FRB)が景気刺激策として6000億ドル相当の国債買い入れ の方針を示したことを背景に、同指数は年初来では8.7%上げてい る。

リブラ・インベストメント・サービシズの創設者、クリス・テ ィンカー氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「株式は魅力的な 投資先として注目され続けるだろう」と発言。フリーキャッシュフ ロー(純現金収支)と業績の改善が「ファンダメンタル面での支援 要因となり、株式相場の見通し改善につながるだろう」と述べ、来 年に向けて「状況は一段と安定するだろう」との見方を示した。

米国では先週分の失業保険の申請件数が減少し、雇用市場の改 善継続が示された。また、日本の今年7-9月期の実質国内総生産 (GDP)2次速報は前期比年率4.5%増と、1次速報(3.9%増) から上方修正された。

イングランド銀行(英中央銀行)は9日の金融政策委員会(M PC)で、資産買い取りプログラムの規模を据え置くとともに、政 策金利も過去最低に維持することを決めた。

ソシエテ・ジェネラルは3.8%、バークレイズは4.5%それぞ れ上げた。ASMLは8%の大幅高。BGグループは3.6%上昇し た。

◎欧州債:ドイツ国債が上昇-フランスも共同債構想に反対表明

欧州債市場では、ドイツ国債相場が上昇。フランスが欧州連合 (EU)の4400億ユーロ規模の救済基金の拡大やユーロ参加国が 共同で債券を発行する案への反対で、ドイツに同調したことが背景 にある。

ドイツ30年債利回りは約7カ月ぶり高水準から低下した。オラ ンダとベルギー国債相場も上昇。欧州中央銀行(ECB)はこの日、 危機対応で緊急的に導入した流動性供給措置を「必要な限り」継続 することを明らかにした。

アイルランド国債は前日からほぼ変わらず。格付け会社フィッ チ・レーティングスはアイルランドの信用格付けを引き下げた。

BNPパリバ(ロンドン)の金利ストラテジスト、マテオ・レ ゲスタ氏は「実際の相場の変動要因は、フランスがドイツを支持す ることを表明したことだ」と述べ、周辺国債に襲いかかるであろう 「嵐の前の静けさのようだ」と続けた。

ロンドン時間午後4時25分現在、ドイツ10年債利回りは前日 比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.95%。 同国債(表面利率2.5%、2021年1月償還)価格は0.49ポイント 上げ96.13。独30年債利回りは9bp低下し3.39%。前日は5月 20 日以来の高水準となる3.51%まで上昇した。

オランダ10年債利回りは6bp低下の3.14%。ベルギー10 年 債の利回りも6bp下げ3.97%となった。

◎英国債:上昇、10年債利回り3.5%-中銀は金融政策を堅持

英国債相場は上昇。10年債利回りは前日比6ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下し3.5%、2年債利回りは5bp下 げ1.06%となった。

イングランド銀行(英中央銀行)はこの日の金融政策委員会(M PC)で、資産買い取りプログラムの規模を2000億ポンド(約26 兆5000億円)据え置くとともに、政策金利も過去最低の0.5%に 維持することを決めた。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査では、 34人全員が資産買い取り規模の維持を見込んでいた。別の調査でも、 全員が金利据え置きを予想していた。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 楽山 麻理子 Mariko Rakuyama +1-212-617-4903 mrakuyama@bloomberg.net Editor:Tsuneo Yamahiro ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: Mariko Rakuyama 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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