森本日銀委員:大きな悪影響与える状況でない-長期金利上昇

日本銀行の森本宜久審議委員は9 日午後、さいたま市内で会見し、長期金利がこのところ上昇傾向にあ ることについて「大きな悪影響を与えるまでの状況とは今はまだ考え ていない」と述べ、当面情勢を注視する姿勢を示した。

同日の債券市場では、長期金利の指標である新発10年物の312 回債利回りが一時1.27%と半年ぶりの高水準に上昇した。森本委員は 「株式市場が活況を呈している一方で、債券市場の地合いが悪いとい う米国市場の地合いがある程度反映されているのは事実であり、そう したこともあり日本の長期金利も幾分上昇している」と指摘。長期金 利の動向を「しっかり注視していきたい」と述べた。

日銀が10月5日の金融政策決定会合で、包括的な金融緩和策を打 ち出し、政策金利を0-0.1%とするとともに、物価の安定が展望でき る情勢になるまで実質ゼロ金利政策を継続すると表明した。森本委員 はこうした時間軸政策の効果が「長期金利にも影響することが期待さ れる」と述べた。

為替相場については「急激な変動は影響が大きいし、ずっと注視 してきている。特に企業、家計のマインドに影響を与え、実体経済に 影響を与えていくことが大きい。私どももそうした点を意識しながら いろいろな金融政策対応をとっている」と述べた。

成長貸し出しの拡大に含み

その上で「包括的な金融緩和策を含めた極めて緩和的な金融政策 をしっかりやっていくという強い姿勢を続けていくことによって、実 体経済を通じて為替にもいろいろと影響を与えていけばありがたいと 思っている」と語った。一方、足元の為替相場の動向については「ド ル安一辺倒から流れが若干変わったのかな」と述べた。9日の東京外 為市場で円の対ドル相場は1ドル=83円台後半で推移している。

日銀は7日、成長基盤強化の支援のための資金供給の第2回目を 実施。累計額は1兆5000億円に達した。3兆円の限度額に達した時、 限度額を引き上げるどうかについて、森本委員は「その段階でのいろ いろな活用状況をしっかり見て、経済、物価情勢についてもよく見極 めて対応していきたい」と述べ、一段の拡大に含みを持たせた。

日銀は10月5日の金融政策決定会合で包括的な金融緩和策を打 ち出し、国債、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資 信託(J-REIT)など金融資産を買い入れる5兆円規模の基金創 設を決めた。

基金拡大は有力な選択肢の1つ

森本委員は包括緩和の効果について「銀行間市場のターム物金利 はもともと極めて低い水準だったが、さらに少しではあるが低下して いるし、社債の発行環境も改善しており、国債に対するスプレッドも 縮小してきている」と指摘。さらに、「株価や、まだ買い入れを始めて いないがJ-REITは価格も上がってきており、投資家の安心感が 広がって市場が拡大しつつあるのではないか」と述べた。

一方で、将来、経済、物価情勢が悪化し、政策対応が必要になっ た場合は、基金の規模を拡大することは「効果と副作用をしっかり比 較考量した上で、有力な選択肢の1つになる」と述べた。

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