長期金利は1.27%、米債安で半年ぶり高水準-5年入札後には買いも

債券市場では長期金利が1.27%と 半年ぶりの高い水準に上昇した。米国で景気不安の後退や財政悪化懸 念から金利上昇が続いていることが引き続き売り材料視された。5年 債の入札通過後に買いが優勢となる場面もあったが、市場の地合いを 修復するには至らなかった。

トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー は、10年債の1.2%台後半や5年債の0.5%台半ばではさすがに押し 目買いが膨らんだと指摘。もっとも、こうした買いは単発に終わって しまうため、金利上昇になかなか歯止めがかからないとも話した。

現物市場で長期金利の指標とされる新発10年物の312回債利回り は2ベーシスポイント(bp)高い1.25%で開始。午前10時過ぎに

1.265%まで上振れて、新発10年債として6月4日以来の高水準を付 けた。午後には5年債の入札結果発表後に4.5bp低下の1.185%まで 低下したが、この水準では再び売り圧力が強まる展開となり、午後3 時過ぎには4bp高い1.27%まで上昇。半年ぶり高水準を更新している。

米国で金利上昇が続いていることが売り材料視された。米国では オバマ大統領が国の失業保険の給付延長と引き換えに、ブッシュ前政 権時代のすべての減税措置を2年間延長することに同意すると表明し たため、景気の先行き不透明感が後退する一方で財政赤字拡大を警戒 する見方が広がっている。米10年債利回りは8日には一時3.33%ま で上昇して、6月4日以来の高い水準まで売り込まれていた。

その後、米10年債利回りがアジア市場の取引で3.2%台前半に水 準を下げたほか、5年債入札も予想対比で大きく落ち込まなかったた め、これまでの金利急騰の反動もあって買いに転じる場面もあった。

クレディ・スイス証券の海老原慎司債券ストラテジストは、5年 債の入札結果は懸念されたほど悪化しなかったと言い、市場の地合い が悪い中でも一定の需要が入った様子がうかがえた安心感が広がり、 いったんは金利上昇に歯止めが掛かったとの見方を示した。

もっとも、午後の取引で買い一巡後は再び売りが優勢となった。 大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダー は、きょうは先物の買い戻しのほかに現物買いも入っていたが、市場 関係者の多くは追随的な買いにはかなり懐疑的だと言い、逆に戻り売 りが出始めるとすぐに腰が引けてしまう展開だったとも話した。

先物は3日続落

東京先物市場ではきょう12月物の取引最終日を迎えて、中心限月 は期先の2011年3月物に移行した。3月物は前日比15銭安い139円 05銭で始まり、午前は139円20銭を中心に上下20銭程度の値幅で推 移。午後に買いが膨らむと一時は77銭高の139円97銭まで急騰した が、取引終盤には失速して、結局は8銭安の139円12銭で終了した。

12月物は前日午後の取引で一時は1円14銭安い140円07銭まで 急落して、中心限月として5月20日以来の安値を付けた。しかし、き ょうの午前には現物市場で売りが続く中でも一足早く上昇に転じてお り、ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、これまで3月 物を売り込んでいた向きの買い戻しが膨らんだとの見方を示した。

5年債の入札通過後の午後の取引では大幅な上昇となったが、最 終的には下げに転じて終わるなど市場の地合いは悪化したまま。トヨ タアセットマネジメントの深代氏は、市場で金利上昇が転換したとの 見方が広がれば、国債償還の手当て買いなどが膨らむだろうが、足元 ではなお持ち高(ポジション)圧縮を迫られる売りが残っているとみ ており、「相場は今後も不安定な展開が続きそう」だと話した。

5年債入札結果はやや低調

5年債の入札結果に対して市場ではやや低調との評価があった。 大和住銀投信投資顧問の伊藤氏は、入札結果自体はさほど良くなかっ たが、一部の投資家から0.5%台半ばのレベルでは買いが入ったと指 摘。ただ、残存4年前後のゾーンで戻り売りが多いことから、新発債 への打診的な買いが相殺されてしまったとの見方も示した。

5年物の93回債(12月発行)の入札結果によると、最低落札価 格が99円64銭、平均落札価格は99円68銭だった。最低価格は市場 予想の99円65銭を下回り、最低と平均価格の差であるテールは前回 債の1銭から4銭に拡大。応札倍率は3.93倍から2.78倍に低下した。

ドイツ証の山下氏は、今後は債券残高を圧縮してきた銀行勢の動 向に注目している。5年債は日銀の時間軸を考えると金利が上振れて おり、どの時点で銀行勢の買いが復活するかがポイントだと言い、中 期ゾーンの金利が安定すれば市場全体の雰囲気も好転すると話した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE