森本日銀委員:上下のリスクはほぼバランスしている(Update1)

日本銀行の森本宜久審議委員は9 日午前、さいたま市内で講演し、先行きのリスク要因として、為替円 高が進めば「実体経済に対して悪影響を及ぼす可能性がある」としな がらも、上振れと下振れのリスクは現段階では「ほぼバランスしてい る」との見方を示した。

同委員はまた、欧州について「先般アイルランドの国債利回りが 大きく上昇したことにみられるように、金融市場において不安定な動 きがうかがわれる」と指摘。さらに「各国の公的債務残高は大きく増 加しており、今後本格化する財政再建策次第では、当該国および世界 経済に対する予想以上の下押し圧力となる可能性がある」と述べた。

日銀は10月5日の金融政策決定会合で包括的な金融緩和策を打 ち出し、政策金利を0-0.1%とするとともに、物価の安定が展望でき るまで実質ゼロ金利政策を継続すると表明。さらに、国債、社債、指 数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)な ど金融資産を買い入れる5兆円規模の基金創設を決めた。

森本委員は国内経済の先行きについては「新興国・資源国主導で 海外経済の成長率が再び高まっていけば、輸出増加を起点とした回復 経路に復していく可能性が高い」と述べた。また、消費者物価指数(除 く生鮮食品、コアCPI)については「前年比プラスの領域に入るの は2011年度中」との見方を示した。

上振れのリスクも

森本委員はリスク要因としては「為替円高となれば、それを追い 風に海外M&A(合併・買収)に踏み切るなどの前向きな動きも出て くるが、輸出企業にとっては収益圧迫要因となるし、マインドが悪化 して国内における企業行動の見直しにつながれば、実体経済に対して 悪影響を及ぼす可能性がある」と語った。

一方、新興国・資源国経済の動向については「内需を中心に高め の成長を続ける公算が高い中にあって、先進国における大規模な金融 緩和の継続を受け、資本流入が加速する可能性がある。株価、住宅価 格は既に上がっている。これらの国の景気が一段と強まれば、輸出の 増加を通じて、わが国経済が上振れる可能性がある」と述べた。

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