信頼失う欧州の健全性審査-「財政破綻と支援不能」、市場が考慮迫る

【記者:Simon Clark, Gavin Finch】

12月8日(ブルームバーグ):米政府が2009年に銀行ストレステ スト(健全性審査)の結果を公表した後の5カ月間で、S&P500種 金融指数は25%上昇した。欧州連合(EU)が域内銀行の健全性審査 の結果を発表して5カ月が経過するが、ブルームバーグ欧州銀行・金 融サービス指数はこの間4%下げている。

アイルランド政府が先月、ストレステストで「問題なし」とされ た同国の2大銀行に資本増強を命じたことで、EUの健全性審査が域 内銀行の信頼回復に失敗したことが浮き彫りになった。

ブルームバーグのデータによれば、審査結果が公表された7月23 日以降、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場での欧州 の銀行110行の優先債保証コストの平均は114ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)急上昇した。これは米銀上位34行の30倍を上回 る上昇率だ。

欧州の債務危機が拡大する中で、EU監督当局は来年再度実施す る審査の手法の改善を図る方法を探っている。ブリュッセルにあるシ ンクタンク、ブリューゲルの上級研究員で、米ピーターソン国際経済 研究所の客員研究員でもあるニコラス・ベロン氏は、各国首脳と中央 銀行が銀行監督権限をEUの中央機関に委譲することに引き続き消極 的である限り、審査手法の改善は容易ではないだろうと話す。

「金融ナショナリズム」

ベロン氏は「審査が真に有用で、信頼に足るものとなるのを金融 ナショナリズムが妨げている。欧州各国は金融の安定という共通の利 益を確保する手段としてではなく、競い合うゲームとして健全性審査 を捉えている」と批判する。

ロンドンのカス・ビジネススクールで金融学を教える元シティグ ループのピーター・ハーン氏は、すべての国が乗り気でないかもしれ ないが、次回のストレステストの信頼性を高めるには、ソブリン債の デフォルト(債務不履行)リスクを考慮に入れる必要があると主張し ている。

同氏はインタビューで、「欧州での政府のデフォルトと銀行を支 援できない可能性という概念は、市場にとって重要な問題だ。自分の 銀行に大きな信頼を置く人々は現在、極めて少数派だ。信頼を置いて いるのは銀行を支える国家であって、銀行それ自体ではない」と語っ た。

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