日本株は6月来高値、円安を好感-時価総額300兆円回復

東京株式相場は反発し、日経平均 株価、TOPIXとも6月以来の高値を更新した。為替市場で円が対ド ルを中心に円安方向に振れ、収益の先行き懸念の後退で電機や自動車な ど輸出関連、鉄鋼など素材、陸運など内需関連株まで幅広く上昇。東証 1部の時価総額は、約5カ月半ぶりに300兆円台を回復した。

東海東京投資顧問の宮島孝典運用第1部長は、日米でファンダメン タルズが緩やかながら改善に向かう中、「1ドル=80円を割り込む円 高進行に対する警戒感が遠のきつつあることで、日本株買いを見送って きた投資家が動き始めている」と話した。

日経平均株価の終値は前日比91円23銭(0.9%)高の1万232円 33銭、TOPIXは同8.29ポイント(0.9%)高の887.39。日経平均 は6月21日以来、TOPIXは6月22日以来の高値で終えた。

オバマ米大統領が、ブッシュ前政権時に導入された中間層向け減税 措置の延長で共和党と妥協案をまとめたことで、7日のニューヨーク外 国為替市場ではドルが主要通貨に対し上昇。この流れを引き継ぎ、東京 時間8日は1ドル=83円台後半と、円は前日の対ドルでの3週ぶり高 値水準から下げた。円は対ユーロでもやや円安方向に動き、日本株市場 ではソニーや日立製作所など電機、ホンダなど輸送用機器、ブリヂスト ンなどゴム製品といった輸出関連株に買いが優勢になった。

過剰流動性、出遅れ業種や市場に資金流す

東証1部業種別33指数は、パルプ・紙やガラス・土石製品、陸運、 鉄鋼、ゴム製品、医薬品など32業種が上昇。幅広い業種が上げたこと について、丸三証券の牛尾貴投資情報部長は「日米欧先進国での量的金 融緩和が長期化するとのコンセンサスが市場参加者の間で形成されつつ ある」と指摘。過剰流動性への期待感を背景に、世界的にリスク資産へ の資金流入バイアスが強まっており、「為替の円相場が落ち着きさえす れば、出遅れている日本株に業種を問わず資金が向かいやすい」として いた。

また、カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは、「中 国や韓国、インドといったアジアの主要株価指数がさえないなか、日本 株の上昇が目立った」と受け止めていた。出遅れ感に着目した海外投資 家からの買いが引き続き入っているほか、株価指数先物・オプションの 特別清算値(SQ)算出を控え、「SQ関連の株式需給もきょうはプラ スに働いた」という。

12月限先物・オプションのSQ算出日は今週末10日。山田氏によ ると、日経平均のオプション権利行使価格でもある1万250円が意識さ れ、先物に断続的に買いが入ったといい、「年末にかけては昨年末終値 (1万546円)を意識した展開になりそう」と見ていた。

東証1部の売買高は概算で19億2800万株、売買代金は1兆4327 億円。騰落銘柄数は値上がり1260、値下がり280。

イハラケミやアルテック急伸、SUMCOとDNAは急落

個別では、2010年10月期の連結営業利益が従来予想を5割上回っ たもようのイハラケミカル工業、11年11月期に3期ぶりの営業増益が 期待できると、東洋経済四季報オンライン版が伝えたアルテックがとも に急伸。ゴールドマン・サックス証券が「買い」の投資判断を強調した JR東日本、クレディ・スイス証券が投資判断を「中立」に上げた三井 金属も高い。11月度の単体売上高が前年同月比11%増となった電通も 買われた。

半面、半導体シリコンウエハーの出荷減などが響くとし、11年1 月期の連結業績予想を下方修正、期末配当予想を無配としたSUMCO が大幅安。SUMCOに関連する持ち分法投資損失を11年3月期に 187億円計上する三菱マテリアルも売られた。公正取引委員会が独占禁 止法違反(不公正な取引方法)の疑いでこの日午前に立ち入り検査した ディー・エヌ・エーは、午後に急落。米エアコンメーカー買収に向けて 協議に入ったダイキン工業は、財務負担などが警戒され連日安。

国内新興市場は、ジャスダック指数が前日比0.3%高の51.03と小 幅に8日続伸、東証マザーズ指数は0.1%安の398.98と小幅に続落し た。投資ファンドのイザベル・リミテッドが株式を購入したことが明ら かになった幻冬舎が急伸。ジャストシステムが大幅続伸し、日本風力開 発やACCESSも高い。半面、11年1月期に営業赤字に転落する見 通しとなったクリムゾンが急落。サイバーエージェント、スタートトゥ デイ、メディネットも下げた。

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