債券大幅安、長期金利は半年ぶり高水準-米景気懸念緩和や5年入札前

債券相場は大幅続落。オバマ米大 統領が減税措置延長に同意したことを受けて米国景気の先行き懸念の 緩和で米金利が急騰した。為替市場でのドル高・円安や国内株高のほ か、あすの5年債入札に向けた売り圧力も強まり、長期金利は午後の 取引で半年ぶり水準まで上昇した。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、米国の金利はきのうから上昇に転じていたが、米雇用統計が 弱めだったことで国内債市場は危機感が乏しかったと言い、「きょうに なってポジション(持ち高)整理が殺到した」との見方も示した。

現物市場で長期金利の指標とされる新発10年物の312回債利回り は、前日比3ベーシスポイント(bp)高い1.20%で開始。しばらくは

1.195-1.20%でもみ合っていたが、午前10時半過ぎには1.21%に上 昇。午後に入って再び売りが膨らむと1.245%まで上昇して、新発10 年債として6月11日以来の高い水準に並んだ。

3日に発表された11月の米雇用統計で景気の楽観見通しが弱ま ると、312回債利回りは週明けに1.1%台半ばから後半で推移。しかし、 オバマ大統領が減税延長を打ち出したことを受け、市場で米景気の先 行き不透明感が弱まったことで朝方から売りが優勢となった。

米10年債利回りはアジア市場でほぼ半年ぶりに3.2%台を突破し ており、為替市場におけるドル高・円安や国内株相場の堅調ぶりもあ って、日本の10年債利回りも節目とされた1.2%を上抜ける展開。大 和住銀投信投資顧問の伊藤氏は、銀行勢による9-10年ゾーン売りを 皮切りに、あすに入札を迎える5年債や先物市場が総崩れとなるなど、 「久しぶりに売りが売りを呼ぶ展開となった」と話した。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、日本銀行 による時間軸効果や現物市場の需給改善期待など、いわゆる債券市場 のロジックが完全に否定された格好だと言い、市場の地合いが修復さ れるには相当の時間を要するのではないかとの見方を示した。

あすの5年債入札に対する警戒感も広がった。5年物の92回債利 回りは前日比10bp高い0.515%まで上昇して、新発5年債としては4 月以来の0.5%台に乗せた。

あす5年債入札、利率0.5%に引き上げか

財務省はあす9日に5年利付国債(12月発行)の価格競争入札を 実施する。5年債の表面利率(クーポン)について、市場では前回債 より2bp引き上げの0.5%が有力視されており、その場合には5月に 入札された88回債と同じ水準に並ぶ。

5年債利回りは日銀が追加緩和に踏み切った翌日の10月6日に は0.20%まで低下して、03年6月以来の低水準を記録したが、その後 の2カ月間はじりじりと水準を切り上げた。

さらに、きょう午後には一段と売り込まれるなど市場の地合いは 最悪だが、利回り0.5%台では需要が膨らむとの期待がある。トヨタ アセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、米景気の先 行き不透明感がなおくすぶるほか、欧州の債務問題や中国の金融政策 など不確実な要因も多いと指摘。その上で、「5年債は金利水準が切り 上がったこともあって相応の需要を集めそうだ」とみる。

大和証券キャピタル・マーケッツの小野木啓子シニアJGBスト ラテジストは、5年ゾーンは利回り水準や相対価値からの買いにくさ は乏しく、入札自体は無難な結果が見込まれるとしながらも、相場を 取り巻く外部環境面からは追随的な買いは期待しづらいと言う。

先物は1円超の下げ幅

東京先物市場の中心限月の12月物は前日比42銭安の140円79 銭で始まり、いったんは140円91銭まで下げ幅を縮めたが、その後は じりじりと水準を切り下げた。午後に入ると140円20銭台まで急落し、 取引終盤にかけてさらに売り込まれると一時は140円07銭と、中心限 月として5月20日以来の安値を付けた。結局は1円11銭安の140円 10銭で引けた。

みずほ証の三浦氏は、米国の減税議論は想定範囲内であっても今 の債券市場は売り材料に敏感だと言い、「午後には買い方が完全に手を 引く中で、損失確定売りが殺到している状態」との見方を示した。

あすに中心限月交代を控えるタイミングにあたって、12月物につ いては新規取引を手掛けにくい雰囲気もあった。しかし、市場ではこ れまでの上昇基調が転換したとの見方が出ており、大和住銀投信投資 顧問の伊藤氏は、期先の2011年3月物には商品投資顧問(CTA)な どから売りが膨らんだとの憶測も広がったと言う。

--取材協力:近藤雅岐 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 赤間信行 Nobuyuki Akama +81-3-3201-8842 akam@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Rocky Swift +81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE