走る「ちょい悪おやじ」はカッコいいか-東京マラソンでブーム拡大へ

スタンダード・バンク東京支店長 の池水雄一さんは、毎朝3時に起きてランニングに出かける。距離は 長い時で21キロにもなる。ランニングを終えると池水さんはツイッタ ーで、ランニングクラブ仲間の走りをチェックするのが日課だ。

「1日の中で楽しみな時間です」。池水さん(48)は2007年にラ ンニングを始めてから体重が15キロ落ち、ズボンのサイズは3回変わ った。

こうしたランニング熱は日本全国に広がっており、個人消費全般 が減速する中で、スポーツウエアやシューズへの支出は大きく伸びて いる。20年に及ぶデフレや高齢化、世界最大の公的債務などで経済は 伸び悩んでおり、国民の間ではランニングのようなお金のあまりかか らないスポーツへの関心が高まっている。来年2月に開催される東京 マラソンでは、独高級車メーカーのBMWとみずほフィナンシャル・ グループが初めて公式スポンサーに参加し、成長市場への参入を狙う。

BMWジャパンの製品広報マネジャー、前田雅彦氏は「東京マラ ソンというと、年々大会自体が大きくなっている。注目も浴びている し、スポンサーになったのはもちろんそういうマラソンブームも背景 にある」と説明。「BMWユーザーを見ると、いわゆる格好良く年を 取っている方にお乗りいただいているケースも多い。結果的にはうま くつながる」と述べた。

7.7%増

日本の経済規模は20年前からほぼ変わっていない。総務省統計局 のデータによれば、日本の1カ月当たり平均の家計支出は昨年、1.4% 減った。こうした傾向とは逆に、矢野経済研究所の先月の発表による と、全国のランニングシューズの出荷量は昨年、7.7%増加している。

スポーツ用品大手アシックスの佐野俊之・取締役執行役員によれ ば、同社は新たにランニングを始める人をターゲットにし、向こう5 年間で売上高を2倍の4000億円に増やす方針だ。同社は売上高全体の 74%を運動靴が占めている。

スポーツ用品大手のミズノは11月10日、11年3月期の純利益予 想を25%上方修正した。ランニングシューズの販売が好調なためと説 明している。

第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、「マラソンブ ームが消費、特に関連産業を助けているのは間違いない」と分析。 「『ちょい悪おやじ』をターゲットにするのは良い狙い。バブルの上く らいの世代は、今の若者よりも財布のひもが緩い」と指摘した。

公益財団法人「日本生産性本部」によれば、国民全体の27%余り が昨年ジョギングに興じ、一昨年の23%から増加した。五輪では、マ ラソン女子の高橋尚子選手が2000年、野口みずき選手が04年にそれ ぞれ金メダルを獲得している。

33万5000人

2月27日開催の東京マラソンでは、男子マラソンの現世界記録保 持者のハイレ・ゲブレシラシエ選手が招待選手として出場する。今回 の東京マラソンでは、定員3万5000人のところ33万5000人を超える 応募があった。

東京マラソンを主催する東京マラソン財団の早野忠昭事務局長 (52)は、女性には浸透したので、「今後はお金のあるちょい悪おや じを狙っている。走る男だって素敵だぞというような取り組みをして いきたい」と抱負を語る。

米CMEグループ東京事務所の久野喜夫所長(57)は、北海道で の100キロレースに6回出場し、うち3回は完走した。

久野氏は「初心者には走ることによってスリムなイタリアンスー ツを着られるようになるよとアドバイスしています」と述べ、「年を 取ったって、誰も格好悪く見られたいとは思わない」と語った。

「女性で成功したように、ちょい悪おやじを引き込むことができ れば、ランニング熱で国中が盛り上がりますよ」。東京マラソン財団 の早野事務局長の思いは熱い。

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