カナダの学生が「物価水準目標」実験-日米のデフレ回避にも役立つか

カナダ・モントリオールの大学生 が同国の金融政策立案見直しに貢献するかもしれない。米連邦準備制 度理事会(FRB)のバーナンキ議長や日本銀行の白川方明総裁にデ フレ回避の手掛かりを与える可能性もある実験を学生たちは行ってい る。

マギル大学近くの25階建てのコンピューター研究棟で約240人 の学生がこれまで2時間を費やし、平均30カナダ・ドル(約2470 円)を稼いだ。失業や国内総生産(GDP)を含む経済統計の組み合 わせを検証し、物価情勢に何が起こるか予想するアルバイトだ。

カナダ銀行(中央銀行)の研究員らもこのプロジェクトに参加し ている。政策当局者がインフレ率目標の代わりに、物価水準の目標を 定める「物価水準目標(プライス・レベル・ターゲット)」を採用し た場合、一般国民は物価の予想がより容易になるかどうかを調べてい る。うまくいけば、家計や企業が消費や投資の見通しを立てやすくな るかもしれない。

この実験では正確な予想を示すほど、多くのアルバイト料が支払 われる。参加している学生の1人は非常に上手に予測しており、実験 を支援しているカナダ中銀のボアバン副総裁は「われわれはこの学生 を採用できるかどうか、彼女に注目した」と話した。同副総裁はバー ナンキFRB議長と共同論文も執筆したこともある。

ボアバン副総裁によれば、実験はカナダが2012年にインフレ率 目標から物価水準目標に移行すべきかどうか決め、カナダ中銀が金融 政策を国民により分かりやすく説明するのに役立つ可能性がある。

米国ではFRBの当局者らが10月15日に物価水準目標について 協議し、日本で10年余り続いているような広範な物価下落、つまり デフレを回避するため、11月3日に追加量的緩和策として6000億 米ドル(約50兆円)を銀行システムに投入することを決めた。モン トリオールでの実験の結果が、FRBの金融政策にも寄与するかもし れない。

「安心感」

オタワのカナダ中銀本店でインタビューに応じたボアバン副総裁 は「各中銀はインフレ期待がどのように形成されるかをもっと知る必 要がある」と語った。

FAFアドバイザーズ(米ミネアポリス)で890億米ドル相当 の運用に携わるマネーマネジャー、ワンチョン・クン氏は「他のどこ でも物価水準目標は採用されておらず、カナダにとってはもちろん未 知のものだ。当初は投資家の反応は極めて慎重で、カナダ債相場を押 し下げる方向の圧力をかけるだろう」と述べた。

同氏は「カナダ中銀が経験を積み、市場が同行のインフレ抑制能 力に一段と安心感を覚えるようになれば、最終的には恐らく市場にと って極めて信頼できるものになるだろう」と話した。

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