債券は反発、米景気回復期待はく落で先物高値引け-中長期債にも買い

債券相場は反発。米雇用情勢がな お厳しい状況が示されたことが買い材料視され、債券先物相場はこの日 の高値で引けた。現物市場でも中長期ゾーンを中心に買いが優勢となり 、10年債利回りは1.1%台半ばまで低下している。

三井住友海上きらめき生命保険経理財務部の堀川真一部長は、米 雇用統計は事前予想が強かったこともあり、市場の景気回復期待に水を 差した格好だと指摘。国内債市場は先物の買い戻しにけん引されたとは いえ、ようやく金利上昇からの反転が視野に入ったとも言う。

東京先物市場の中心限月の12月物は前週末比19銭高い141円 07銭で始まり、直後に買いが先行すると141円25銭まで上昇した。 その後いったんは140円93銭まで上昇幅を縮めたが、午前の取引終盤 から再び買いが優勢の展開となり、午後にはじりじりと水準を切り上げ た。結局は60銭高の141円48銭でこの日の高値引けとなった。

米国で3日に発表された雇用統計によると、11月の非農業部門雇 用者数は前月比3.9万人の増加にとどまり、市場予想の同15万人程度 の増加見通しから下振れた。また、失業率は前月比0.2ポイント上昇 の9.8%と、こちらも事前予想の9.6%から悪化した。

米景気の不透明感が広がるとニューヨーク外国為替相場は1ドル =82円台半ばまで1円以上もドル安・円高となった。きょうの東京市 場は円売りがやや優勢だったが、日経平均株価は4営業日ぶりに反落す るなど上値が重くなり、みずほインベスターズ証券の落合昂二チーフマ ーケットエコノミストは、米雇用情勢が予想ほど強くないことが明らか になり、国内債市場も先物中心に買いで反応したと言う。

午後に債券先物相場の上昇ピッチが加速したことについて、大和 住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダーは、米 国景気に対する楽観見通しがしぼむ中、先物12月物には限月交代の接 近が売り方の買い戻しを促したとも言う。先物市場は12月物の取引最 終日の9日までに中心限月が2011年3月物に移行する。

米国で追加緩和の憶測も

また、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、5日 放送予定のCBSの報道番組「60ミニッツ」のインタビューで、米国 の失業率が通常の水準に低下するまでに5年を要する可能性があると述 べ、国債購入額が先月発表した6000億ドル(約49兆6000億円)を 超える公算があるとの見解を示した。

RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、米国の景気 は決して悪くはないものの、失業率が上昇したことから今後も金融緩和 が続くとの見方になったと指摘。米利回り曲線はスティープ(傾斜)化 したが、金利は安定しやすい状況だとの見方も示した。

米国債市場では追加緩和観測を手がかりに短い年限で買いが優勢 となり、米5年債利回りはアジア時間に5ベーシスポイント(bp)低 下の1.56%程度で推移した。長期や超長期ゾーンではインフレ懸念が 警戒されたが、みずほインベスターズ証の落合氏は、米国でも金融緩和 の時間軸効果が意識されれば短中期ゾーンが売られにくくなり、長めの 金利についても上昇余地が限られてくると話した。

10年債利回りは1.155%

現物市場で新発10年物の312回債利回りは3日終値より0.5bp 低い1.20%で開始。いったんは横ばいの1.205%を付けたが、午前の 取引終盤には1.195%を付けた。午後に入るとさらに買いが膨らんで、 4時11分現在では5bp低下の1.155%で取引されている。

312回債利回りは前週末に1.205%まで上昇して、新発10年債と して約5カ月半ぶりの高水準に到達したが、米国で景気回復期待が後退 したことを手掛かりにきょうは買いが優勢だった。三井住友海上きらめ き生命の堀川氏は、日本の長期金利にも影響力のある米雇用統計が買い 方向の材料となったことを受け、「10年債利回りはしばらく1.2%を 背中にして低下余地を探る」との見方を示した。

中期ゾーンにも買いが優勢となって、2年物の299回債利回りが 1bp低い0.175%を付けたほか、5年物の92回債は4bp低下の

0.395%を記録した。一方、30年債はあすの入札を前に売り込まれて、 33回債は5.5bp高の2.16%を付ける場面があった。

あす30年債入札、利回り2.1%台で需要も

財務省はあす7日に30年債の価格競争入札を実施する。新発30 年債は9月に入札された33回債と銘柄統合されるリオープン発行とな り、表面利率(クーポン)は2.0%に据え置かれる。

30年物の33回債利回りは10月7日の日中取引で1.75%まで低 下したが、その後は2カ月間にわたってじり高推移が続き、きょうは新 発30年債として5月20日以来の高い水準となる2.16%を記録した。

米国債市場も利回りスティープ化が続くなど、超長期ゾーンでは 需給不安がくすぶるものの、金利水準面からは投資妙味が出始めたとの 声が聞かれる。大和住銀投信投資顧問の伊藤氏は、30年債は20年債 対比で利回り格差(スプレッド)が縮小するなど、超長期ゾーンの中で 相対的には割高だが、金利の絶対水準からは2.1%台で相応に魅力があ るため、あすの入札は無難にこなせると予想する。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジ ストも、30年債の相対価値は割高にあるとしながらも、半年ぶりの高 い水準まで利回りが切り上がったことで需要を喚起できると言い、生命 保険会社などの買いを背景に波乱なく通過するとみている。

--取材協力:池田祐美 Editors:Joji Mochida, Masaru Aoki

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