【今週の債券】長期金利は1.2%前後か、入札通過後には低下の見方

今週の債券市場で長期金利は1.2% 前後での推移が予想されている。米国では前週末に発表された雇用統 計を受けて景気楽観論がやや後退している。日本でも長期金利の

1.2%台では投資家の買いが見込まれており、過度な金利上昇懸念は薄 れている。週内に実施される2つの入札通過後には低下に転じるとの 見方が出ている。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、今週の長期 金利は1.2%付近での推移を予想する。「国内市場では10年債利回り の1.2%は投資家の買い目線にあり、ここから持続的に上昇が続くと はみていない」と指摘。一方で、「米国では景気回復を織り込んだ反動 が出てくる可能性がある」とも話した。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グが3日夕までに市場参加者4人に聞いた今週の予想レンジは全体で

1.14-1.245%となった。前週末終値は1.205%。

前週の長期金利は上昇した。2日に5カ月半ぶりとなる1.2%台 に乗せ、3日には6月22日以来の高水準となる1.205%を付けた。米 国市場で経済改善などから景気回復期待が広がり、米長期金利が約4 カ月ぶりに3%台に乗せたほか、内外株価が堅調に推移したことなど が売り材料となった。

しかし、市場で注目された3日発表の米雇用統計では、11月の非 農業部門雇用者数は前月比3万9000人増加と、ブルームバーグ調査の 15万人増を下回った。また、11月の失業率は9.8%で前月の9.6%か ら上昇し、4月以来の高水準を記録した。

長期金利1.2%台では需要

米雇用統計悪化を受けて、3日のニューヨーク外国為替ではドル が売られ、ドル・円相場は1ドル=82円台半ばと約3週間ぶりのドル 安・円高水準を付けた。円高を警戒して国内株価が軟調に推移すれば、 債券相場の支えとなりそう。みずほ証券の三浦哲也チーフマーケット アナリストは、「10年債の1.2%乗せは売られ過ぎとみる向きが多く、 雇用統計発表後に米国株相場が一段と上昇しない限り、徐々に債券買 いが出てきそうだ」と話した。

長期金利が6月以来となる1.2%台に乗せたことで、投資家から 買いが入りやすいとの見方も出ている。トヨタアセットマネジメント の浜崎優チーフストラテジストは、長期金利の節目の水準である

1.2%での需要に支えられていると指摘した。

一方、今週発表される経済指標は強めとなりそうだが、市場では 織り込み済みで相場への影響は限定的とみられている。8日発表の10 月の機械受注統計では、船舶・電力を除く民需は、前月比0.1%減少 と、前月の10.3%減からマイナス幅が大幅縮小する見込み。9日発表 の7-9月期の国内総生産(GDP)改定値では、ブルームバーグ調 査によると実質GDPは前期比1.0%増、年率では4.1%増へ上方修正 される見通し。速報値は同0.9%増、3.9%増だった。

30年、5年債入札に注目

需給面では、7日に30年債、9日には5年債の入札が実施される。 最近の金利上昇を受けて相場が不安定になっているものの、いずれの 入札でも前回債より表面利率(クーポン)の引き上げが見込まれてお り、過度な警戒感は出ていない。

岡三アセットマネジメントの山田氏は、30年債と5年債の入札通 過後には「これまでの金利上昇基調が転換することも考えられる」と の見方を示した。日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラ テジストは、「5年債入札を終えたら中短期債は相場が好転するのでは ないか」とみている。

30年債入札では、33回債利回りが2.1%台に上昇している。この ため、今回の同入札では、クーポンは前回債より0.1ポイント高い

2.1%が予想されている。5年債入札でも0.1ポイントのクーポンの引 き上げが見込まれている。

市場参加者の予想レンジとコメント

3日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは312回債。

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物12月物140円20銭-141円40銭

新発10年債利回り=1.175%-1.245%

「引き続き長期金利は1.2%をめぐる攻防ではないか。調整局面 の長期化で市場センチメントの好転は見込みづらい。買い手掛かり材 料に乏しいことや調整の期間の長さなど、9月から10月上旬にかけて の相場の戻り局面とは状況が違うとみている。半面、5年債入札を終 えたら中短期債相場の地合いは好転するのではないかとみている」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物140円50銭-141円50銭

新発10年債利回り=1.14%-1.24%

「長期金利は1.2%付近での推移。市場センチメントが悪化する 中で金利がじり高に推移しているので、投資家はなかなか買いのきっ かけをつかめない。ただ、米国では景気回復を織り込んだ反動が出て くる可能性がある。国内債市場は30年債と5年債の入札を通過するこ とで、これまでの金利上昇基調が転換することも考えられる」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物12月物140円50銭-141円25銭

新発10年債利回り=1.15%-1.23%

「長期金利は1.2%近辺では投資家からの需要が期待される。こ れまで相場が下落したことによって、需要が出てくることに支えられ るのではないか。景気回復期待を背景にした金利上昇局面にはまだ早 いと見ている。実際に景気が一足飛びに立ち上がるとも思えない。今 週行われる30年債、5年債の入札に絡んだ動きは限られるだろう」

◎みずほ信託銀行債券運用部の吉野剛仁チーフファンドマネジャー

先物12月物140円70銭-141円40銭

新発10年債利回り=1.16%-1.23%

「先物は最終売買日に向け、限月交代に絡んだ買い戻しが入りや すい。一方、現物債は入札が焦点。30年債は証券会社の持ち高からみ て悪くないのではないか。一方、5年債は割高な面がある。今週発表 の指標は、機械受注は振れが大きく、単月では相場への影響は限定的 とみており、GDPも年率プラス4%近辺であれば意外感はない」

--取材協力:赤間信行 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 池田祐美 Yumi Ikeda +81-3-3201-2490 yikeda4@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

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