商船三井:業績順調で負債削減へ-優良格付けも契約に活用

船隊数で世界最大の商船三井は今 期(2011年3月期)末の有利子負債の削減に取り組む。実現すれば4 年ぶりの減少となる。背景には、ばら積み船などのドライバルク市況 の堅調など、業績が順調に推移していることがある。

商船三井の青砥修吾常務は11月24日のインタビューで、今期末 の有利子負債について「いまの営業キャッシュフロー、業績からみて 7500億円前後に少なくとも圧縮させる」と述べた。前期末は7751億 円だった。中期計画では今期末7700億円としていた。

商船三井は財務改善を進め、優良格付けを積極活用し、長期貸船 などの契約獲得を目指す考えだ。リーマンショック後は企業が契約に 慎重になる中、海運会社では最上級の格付けを「武器」に、液化天然 ガス(LNG)の長期貸船契約を獲得している。青砥常務は、財務力 の強さがこれまで以上に他社との競争で重視される要因になるだろう との認識を示した。

青砥常務は、米エクソンモービルが3月にLNG船の長期貸船契 約を商船三井と締結したことを例に挙げ、選ばれた理由は優良な財務 基盤や格付けだとの見方を示した。リーマンショック直後には契約キ ャンセルなどが相次ぎ、荷主側がより慎重に契約するようになったと 指摘する。

また、中国の鉄鋼メーカーなどの荷主が日本船と契約する際、中 長期的な運搬事業の継続性を担保するものとして、海運会社の財務内 容をこれまで以上に重視してきているという。

ビジネスの武器

青砥常務は、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サー ビスが海運会社に最上級のシングルAを付与しているのは商船三井と マレーシアのMISCだけと前置きした上で、「これまで財務基盤の強 化策はビジネスを行う上での基盤だったが、今後はビジネスを行う上 で武器になると考えている」と述べた。また、格付けに関しては「そ の意味でも、最低でも現状維持、改善を目指すつもりだ」と強調した。

ムーディーズは11月18日、商船三井の長期発行体格付けと無担 保長期債務格付けA3の見通しを「ネガティブ」から「安定的」に変 更した。変更の理由は、収益力の回復に伴い、財務内容の改善が期待 されるためとした。

青砥常務は、特に重視する経営指標として、有利子負債を自己資 本で割ったギアリングレシオの1倍と、自己資本比率の40%を、中期 経営計画の達成最終12年度にそれぞれ達成したいとの考えを示した。 10年9月期末で、ギアリングレシオが1.2倍、自己資本比率は34%だ った。

独立系のバリューサーチ投資顧問の松野実社長は、商船三井はラ イバルの日本郵船と比べ2倍程度、市況連動の船契約が多いと指摘。 その上で、「商船三井は今後、不確実性の高い市況連動契約よりも長期 的で安定した契約の比率を高めたいとの思惑があるのだろう」と語っ た。さらに、「一定の評価はできるものの、安定を得る代わりにダイナ ミックな妙味は薄まる可能性もあり、株式市場の視点では両刃の剣で もある」と述べ、今後の事業展開を見極めたいとの考えを示した。

-- Editor:Hideki Asai、Takeshi Awaji、Tetsuzo Ushiroyama

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