長期金利に低下余地、1.2%超え定着は来夏以降-HSBC証の白石氏

HSBC証券の白石誠司チーフエ コノミストは、債券市場が景気の二番底リスクの後退や需給悪化とい った売り材料を消化したとみている。このため、長期金利にはファン ダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)悪化を反映して低下余地が見込 まれ、1.2%超えで定着するのは早くとも来夏以降との見方を示した。

白石氏は1日のインタビューで、世界経済の先行き不透明感が和 らいだことが10月以降に日米両国で金利上昇を促すきっかけとなっ たと述べた。しかし、2008年秋のリーマン・ショックによるバブル崩 壊後の構造調整が続くことから、過去2カ月に及んだ長期金利の上昇 はすでにピークに達し、長期金利は今後1.1%付近でもみ合いながら 来年前半には0.9%台への低下も考えられると予想する。

長期金利の指標となる新発10年国債利回りは9月6日に1.195% を付けた後に下げに転じ、1カ月後には7年3カ月ぶりの低い水準と なる0.82%を付けた。しかし、その後はじり高推移が2カ月近く続い て、今月2日には約5カ月半ぶりに1.2%乗せとなった。

しかし、日本ではエコカー補助金の終了など政策効果のはく落が 見込まれており、白石氏は過去にも金利の節目とされた1.2%が当面 の天井となると読む。実際、日本の実質国内総生産(GDP)は09 年1-3月期に前期比年率15.8%のマイナス成長に落ち込んだ後に 持ち直し、今年7-9月期には同3.9%のプラス成長となったが、10 -12月期は反動減もあって再びマイナス成長が見込まれている。

さらに、現物市場では需給改善が期待できることも、今後の金利 上昇圧力を緩和させる見通し。白石氏は、11月には事前予想に反して 金利上昇が続いたことから、大手銀行などがリスク管理的な売りを膨 らませたと指摘。しかし、2年債や5年債利回りまでが急騰するに及 んでろうばい的なポジション(持ち高)圧縮はほぼ終わったと言い、 現物需給の最悪期は峠を越えたとみている。

銀行売りが11月の金利上昇加速

10年債利回りは9月に大きく低下した後、しばらくは0.9%割れ でのもみ合いが続いた。都市銀行が10月に長期債を大幅に買い越すな ど好需給が支えとなったが、市場ではその後に銀行勢が売りに転じた とみられており、11月の金利上昇を加速させる一因となった。

また、11年度の国債発行計画における国債増発も意識され始める が、市場では市中発行額が大きく膨らむとの見通しには至っていない ことも需給悪化懸念を緩和させそう。

ブルームバーグ・ニュースが行った債券利回り予想に関するサー ベイでは、アナリスト17人に聞いた10年末の長期金利は1.06%、来 年末は1.27%となっている。

米国の金利上昇も行き過ぎ

米国でも長期金利の上昇基調が続いていることについて、白石氏 は、景気回復期待やインフレ懸念が影響しているとしながらも、「足元 の金利上昇は行き過ぎの感が強く、米10年債利回りは一時的に3%を 上抜けても金利上昇余地は限界的」だと予想する。

米10年債利回りは10月前半には2.4%台を割り込み、09年1月 以来の低い水準に到達したが、その後は徐々に水準を切り上げ、2日 には約4カ月ぶりに3%台に乗せる場面があった。

市場では、民間部門の雇用者数が予想以上に増加したことが材料 視され、株式買い・債券売りの取引が活発化した。しかし、白石氏に よると、足元で雇用情勢が改善しているとはいっても失業率を低下さ せるには不十分だと分析。3日に発表される11月の雇用統計が予想通 りに改善して市場で景気回復期待が一段と強まっても、金利上昇や株 高が持続するとはみていないとも話した。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加緩和を決めた11 月以降、市場でインフレ懸念が高まったことに関して、白石氏は家計 部門のバランスシート調整が続く中では個人消費は盛り上がらず、今 後もインフレ率が下がる傾向は続くとの見方だ。10月の米消費者物価 指数(CPI)によると、食品とエネルギーを除いたコア指数は3カ 月連続で前月比横ばいだった。

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