金融危機時の米納税者リスク、FRBの公表データでは推定不可能

米納税者が金融危機時の米連邦準 備制度理事会(FRB)の緊急融資プログラムによってどの程度のリ スクにさらされたかを数値で示すのは、FRBが1日公表した融資時 の担保に関するデータでは大まか過ぎて不可能だ。市場関係者がこう した見方を示した。合わせて約8850億ドル(約74兆4100億円)を借 り入れた金融機関が差し出した担保のデータが公表された。

FRBは、金融危機拡大阻止を目的とした総額3兆3000億ドル規 模の緊急融資プログラムで行われた取引2万1000件のデータを公表。 7月に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)により、FR Bは借り手の名前や融資の規模、金利のほか、「差し入れた担保ないし 移管された資産の種類や額を特定する情報」を開示するよう義務付け られた。

FRBは、6種の緊急融資プログラムのうち3種について、差し 入れられた担保の資産クラスと格付け別の総額を公表したが個々の証 券の具体的な内容は示さなかった。

アトランタ連銀の元調査局長で、現在はカンバーランド・アドバ イザーズの主任金融エコノミストを務めるロバート・アイゼンバイス 氏は「これは半歩前進にすぎない」と指摘。「もしもこれらの融資プロ グラムを監査するとしたら、このデータで可能だろうか。答えはノー だ。個々の担保の額とデータの内訳を実際に調べる必要があるだろう。 それこそがドッド・フランク法の規定の精神だ」と説明した。

FRBのスーザン・スタウィック報道官はコメントを控えた。

「FRBは国民への義務怠る」

R&Rコンサルティング(ニューヨーク)のプリンシパル、シル ベーン・レインズ氏は、資産クラスと格付けで分類された担保のプー ルを見ることで納税者がさらされていたリスクの大きさを知るのは 「特に不可能」だと言明。「20億ドルのプールといっても、20億ドル 規模の資産一つという極めて高リスクの場合もあれば、各100万ドル の資産2000件という全くリスクのない場合もあるため、個々の構成を 知る必要がある」とし、「ドッド・フランク法の精神は尊重されなかっ た。FRBは法律の文言のあいまいさを利用して米国民への義務を怠 った」と指摘した。

一方、米スタンフォード大学のダレル・ダフィー教授(金融学) は、融資データの開示は関連する銀行での取り付け騒ぎにつながり得 ることから控えるべきだったとの考えを示した。

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