米BOAはさながら「バンク・オブ・アジア」-メリル統合効果で変貌

米銀バンク・オブ・アメリカ(B OA)の香港オフィス17階にある同行幹部ジャヤンティ・バジパイ 氏の部屋の黒革ソファは、同行がアジアで遂げた変貌を目の当たりに してきた。

1年8カ月前、バジパイ氏はBOAに買収されたことで意気消沈 するメリルリンチ出身の同僚らとこのソファに座り、統合のプラス面 に集中しようと1人1人に言い聞かせたものだと話す。昨年末までに は、同じソファで交わされた会話は同行の手掛ける取引につながって いった。

ブルームバーグがまとめたデータによると、今年はBOAにとっ て、アジア太平洋地域での企業の合併・買収(M&A)助言業務で2005 年以降最良の年となりそうだ。新規株式公開(IPO)取りまとめで は07年以来の年間ベスト。また、事情に詳しい関係者1人によれば、 メリル統合後の伝統的投資銀行業務からのアジア地域での収入は2社 が別々だった時と比べて30%増えた。同関係者は公表数字ではないと して匿名で明らかにした。

メリルに23年間在籍したベテランで、09年3月にBOAのアジ ア太平洋地域の法人・投資銀行担当共同責任者に起用されたバジパイ 氏(45)は「船を安定させるのに5カ月を費やしたが、その後はしっ かり航行している」と指摘。「心配されていたのは銀行のビジネスとい うよりも銀行の将来についてだった」と振り返った。

シェア奪取

BOAは株式引き受けでスイスのUBSやクレディ・スイス・グ ループ、米シティグループなどからシェアを奪っている。09年の早い 時期から400人近くを新規採用したことに加え、メリルの投資銀行業 務をBOAの法人向け銀行業務と統合させることに注力したことが寄 与した。M&Aではシティや野村ホールディングスから市場シェアを 奪った。

ブルームバーグのデータによれば、BOAは今年、アジア地域で M&A助言番付6位、IPO引き受けでは5位となっており、メリル 買収が発表された08年の10位からランクを上げた。

大和SBインベストメンツ香港で運用を手掛けるアンブローズ・ チャン氏はBOAについて、「今年は明らかな改善を見せた。鍵となる 経営体制が決まってからアジアのチーム全体がしっかりした」と指摘。 「統合発表直後は、BOAのブローカーからはめったに電話がかかっ てこなかった。将来に不安があったのだろう。今は平常時に戻り、I PO引き受けや販売業務を拡大している」と説明した。

投資銀行部隊

BOAはアジアに投資銀行部隊を抱えていなかったが、メリルと の統合で同社が持っていたアジア太平洋地域における資本市場ビジネ スの強みから恩恵を受けた格好だ。ブルームバーグのデータによれば、 メリルは03年と05年を除く01年から07年の期間に、同地域でのI PO取りまとめでトップ5強に入っていた。

チャン氏は「BOAははしごを下から上り始めたが、まだまだ上 に行く余地がある」と指摘した上で、「2社統合の相乗効果がどれぐら いになるかは不透明だ。というのも銀行はリスクテークに一段と慎重 なためで、これがメリルのような純粋な証券会社の事業拡大を阻む恐 れがある」と語った。

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