ADB総裁:日本の経済から正当化できず-ここ数年の円上昇

アジア開発銀行(ADB)の黒田 東彦総裁は1日午前、都内で記者会見し、2008年ぐらいから円がほか の主要国および新興国通貨を含めすべての通貨に対し上昇し、最も強 い通貨となっていることは、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条 件)から正当化できないと述べた。

黒田氏は2008-09年以降、多くの通貨が上昇したり下落したりし ている中で、「円だけがどの通貨に対しても上昇を続けている」と指 摘。その間の日本経済は景気後退を経て若干持ち直したものの、円が 「世界の中で上昇を続けて、最も強い通貨になることを正当化できる ファンダメンタルズではない」と語った。

その上で「とりわけ、ここ2、3年の円の上昇はファンダメンタ ルズに見合わない」との認識を示した。

一方、急激な資本流入を防ぐためアジア諸国が相次いで導入して いる資本規制については、「各国のマクロ経済や金融システムの状況 によって、資本規制が正当化される場合もある」との見解を示した。

黒田総裁は、アジアの開発途上国が巨額の短期資金の資本流入と 流出のリスクに直面した場合、「1つは為替を上昇させて対応する場 合がある」と述べる一方、通貨の急激な上昇を抑えるための為替介入 は「インフレやバブルの発生」をもたらすリスクがあるとも指摘。そ の上で「為替の上昇でもなく、介入でもない場合は、資本規制が必要 ということがあるかもしれない」と語った。

  通貨安競争に関しては、タイ、マレーシア、インドネシア、フィ リピンなどの東南アジア諸国の通貨が対ドルで上昇していることを挙 げ、「通貨安競争はしていない。すでに上昇している」と強調した。一 方、中国の人民元がそれほど上昇していないことに触れ、アジア各国 間での通貨上昇の度合いが違うことに懸念を示し、「できるだけ域 内で為替の協調が行われることが望ましい」と語った。

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