トヨタ:エティオス発売、印で低価格車市場参入-新興国強化

自動車メーカー世界最大のトヨタ 自動車は1日、インドに小型車「エティオス」を投入した。同国市場 で主流を占める小型・低価格車に参入し、マルチ・スズキなどのライ バルに対抗する。インドからエティオスの輸出も検討しており、中国 なども含め、出遅れている新興国市場での反転攻勢を狙っている。

豊田章男社長は同日、インド南部のバンガロールで開いた新車発 表会に出席し、エティオスの詳細を公表。それによると、排気量1.5 リットルのセダンタイプの価格は49万6000ルピー(約92万8000円) から68万6500ルピー(約128万4000円)。1日から受注を開始し、 納車は来月の予定。2011年4月から同1.2リットルのハッチバックタ イプも発売する。当初の年間販売台数は7万台を見込む。

豊田社長は発表会見で、エティオス投入により、「インド市場で存 在感を最大限発揮する」と話した。トヨタはインドで「カローラ」な ど比較的高価格帯の車を主に手がけてきたが、ボリュームゾーンの小 型・低価格車に本格参入する。

エティオスの価格について、自動車調査会社カノラマのアジア・ ディレクターの宮尾健氏は「最低価格93万円でトヨタ品質を実現した ということはマーケットへのインパクトとなる」と述べながらも、イ ンド市場で圧倒的シェアのスズキを脅かす価格は提示できず、市場シ ェアを塗り替えるきっかけにはならないだろうという見方を示した。

宮尾氏は背景として、現地サプライチェーンの価格対応力が違う ことを挙げ、「マルチ・スズキはトヨタよりも1-2割低い価格で部品 を調達できている」と指摘し、それが車両価格の違いにつながってい るとコメントした。

インド市場で苦戦

トヨタはグループで昨年781万3000台を販売したが、新車市場 227万台規模のインドで苦戦。トヨタのインド販売は今年7万台程度 にとどまる見通しだ。調査会社インディア・オートモーティブ・マン スリーによると、同国でのシェアはマルチ・スズキや現代自動車、タ タ・モーターズなどに水をあけられ、10月時点で7位に甘んじている。

JDパワー・アンド・アソシエーツのシニアマーケットアナリス ト、ダリウス・ラム氏はリポートで、トヨタが4年にわたり、2000人 以上のエンジニアを開発に投入したエティオスで、インド市場での形 勢逆転を狙っていると指摘。「トヨタのインドでの今後の成功はこのエ ティオスにかかっているといっても過言ではない」と指摘している。

価格と品質のバランスを心掛ける

エティオスの則武義典チーフエンジニアは発表会見で、06年の開 発開始以来、インド全土を回って消費者の声を集めてきたと説明。「品 質は高いが、価格が高い」という同国内でのトヨタ車への定評をもと に、価格と品質のバランスが取れた車づくりを心掛けたと述べた。

エティオスを生産するバンガロール近郊の工場周辺には日系や欧 米などの部品メーカー20社が工場を設立。トヨタのインド法人、キル ロスカー・モーターズの中川宏社長は、エティオス投入により、新し く関係が生まれた30社を含め、取引関係がある現地メーカーは約100 社になったと説明。エティオスの生産開始時点で現地部品調達率が 70%と述べ、エンジンとトランスミッションの生産を開始する12年に は90%を達成できると話した。

米国を抜き世界最大の自動車市場となった中国でも、トヨタは苦 戦している。中国で今年1-10月の販売台数は、シェアトップの米ゼ ネラル・モーターズ(GM)が前年同期比36%増の198万台、独フォ ルクスワーゲン(VW)が同38%増の165万台に対し、トヨタは同17% 増の64万4000台だった。エティオスの反響次第で輸出も検討し、出 遅れている新興国でのてこ入れを図る。

「21世紀のカローラ」

トヨタの布野幸利副社長は10月のインタビューで、エティオスを 「会社に務めている人の手に届く車」という意味を込めて「21世紀の カローラ」と呼びたいと語った。インドだけでなく、中国やブラジル、 タイなどにも投入するなど、おおむね排気量1-1.5リットルで、イ ンドでは乗用車の新車販売の34%を占める「Bセグメント」と呼ばれ る小型サイズの品揃えを充実させ、出遅れている新興国でてこ入れを 図る考えを示した。

JDパワーのラム氏は、世界的な大規模リコール(無料の回収・ 修理)問題があっても「トヨタブランドはインドの多くの消費者にと って、いまだにあこがれの存在」と指摘。これで「Bセグメントで戦 える条件が揃った」と評価する一方、マルチ・スズキなど現地でブラ ンドが浸透しているライバルとの厳しい競争を見越し、エティオスの 11年の販売については、トヨタ側の予測を下回る5万台とみている。

--取材協力:萩原ゆき、Makiko Kitamura、Siddharth Philip

Editors:Hideki Asai、Tetsuzo Ushiroyama

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