中国は来年金融緩和も、「低成長・低インフレ」で-野村資本研の関氏

野村資本市場研究所シニアフェロ ーの関志雄氏は、来年の中国経済について、過熱化したインフレが沈 静化し、成長率は年央にも8%台後半に鈍化するとの見通しを示した。 インフレ抑制を強化する必要性は薄れ、中国人民銀行は来年後半に金 融引き締めから緩和に転じる可能性があり、人民元の上昇ペースも加 速することはないという。

中国経済は物価上昇が目立つものの、足元の景気は減速傾向を示 しており、関氏は景気動向に遅れて物価もようやく来年に沈静化する と指摘。「今年は第3四半期(7-9月)まで、平均に比べて『高成 長・高インフレ』が続いたが、来年は『低成長・高インフレ』を経て、 後半には『低成長・低インフレ』に移行する」との見方を示した。同 氏は11月29日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じた。

当面の追加利上げの可能性については「やったとしてもあと1回 限り」にとどまると指摘。資本規制が不十分な中では、利上げは「ホ ットマネーの流入を招き、インフレ抑制に逆行する恐れもある」とし て、人民銀は預金準備率引き上げなどの引き締め手段を中心に模索す るとの見方を明らかにした。来年については、景気減速を背景に、金 融緩和局面に入るとみており、預金準備率の引き下げや貸出規制を緩 める可能性があるという。

中国人民銀行は10月、2007年以来の政策金利(1年物貸出基準 金利)引き上げに踏み切ったほか、預金準備率引き上げや窓口規制強 化などの引き締め措置を講じてきた。

景気と物価に3四半期分の時間差

今年の中国の実質国内総生産(GDP)成長率は、第1四半期(1 -3月)に前年同期比11.9%とピークを付けた後、第2四半期 (10.3%)、第3四半期(9.6%)と少しずつ鈍化している。これに対 し、消費者物価(CPI)は今年に入り、ほぼ一貫して上昇。10月に は前年同月比4.4%上昇と、約2年ぶりの高水準となった。

関氏によれば、過去10年間の中国の景気循環パターンではCPI はGDPの動向に約3四半期遅れて追いついてくる傾向にある。さら に、これまでの金融引き締め効果もあり、CPI上昇率は今年第4四 半期(10-12月)にピークアウトすると指摘。来年第2四半期には前 年同期比で1.8%に鈍化するとともに、GDP成長率も同8%台後半 に減速する可能性があるとの見方を示した。

もっとも2012年には景気は反転。「地方の役人・党幹部が中央進 出をかけて、成長力底上げに励む」共産党大会の開催年に当たり、急 回復が予想されるという。

人民元の上昇ペース

中国はインフレが加速した08年前半に人民元の上昇率を年率 10%程度まで引き上げたことがあるが、関氏はインフレ抑制が予想さ れる来年は、今年6月の相場柔軟化以降と同じ年率6%程度に据え置 くとの見通しを示した。

中国は05年7月、人民元相場について、ドルとのペッグ(連動) 制を止め、08年7月までの3年間で約20%もの元上昇を容認した。米 リーマンショックなど金融危機を背景に、08年8月以降は再び、事実 上のペッグ制に戻していたが、今年6月、危機対応モードを解除、相 場の柔軟化に踏み切った。

巨額の対中経常赤字に苦しむ米国は、中国に一段の元切り上げを 求めており、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合 などの場で、人民元をめぐる米中対立が先鋭化していた。

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